愛しい番に愛されたいオメガなボクの奮闘記

天田れおぽん

文字の大きさ
24 / 28

第24話 楽しい学園生活 6

しおりを挟む
 初等科といっても、初めての学園生活は刺激がいっぱい。
 ボクは我が家の末っ子で、可愛がられまくっていたので基本は甘やかされている。
 家庭教師による教育を受けているといっても、外の世界のことはあんまり知らない。

「お前か? オズワルドさまの番というのは」
「はい。アイリスと申します」

 だから中等部の生徒がいきなり教室へやってきて廊下に呼び出され、上から下まで舐めるように値踏みするような視線で見られたのも初めてだ。

「ふん。商会「火の鳥」を率いるミッチェルさまの息子で、王太子殿下の信頼も厚いオズワルドさまの番と聞いたから、どんなものかと見に来てみたが。それなりだな?」

 上級生はアイリスを見下すような視線を投げて、踵を返して帰っていった。

「なんだよあれ」

 ボクはポカンとして上級生の後ろ姿を見送った。
 金髪で青い瞳のそれなりに綺麗なオメガ男性のようだったけど、名乗りもしないし、馬鹿にしたような視線を向けただけの失礼な奴だった。
 見た目だけよくて食べたら不味かった菓子のように印象が悪い。

 ボクの後ろからセインがひょいと顔を出して、去っていく上級生の背中を眺めながら口を開いた。

「あー、やっぱり学園には色々なタイプがいるなぁ」
「セイン。お前は王子さまなんだから、ドーンと自分の席に座ってたら?」

 隣国の王子さまは色々なことに興味を持って首を突っ込むのが好きだ。

「そうですよ、セインさま。学園内は安全といっても、変な輩が来ないとは限りません。ほいほい出て行って、何かあったら困ります」

 最近はカーティスもセインへ意見するようになった。
 学園生活も2ヶ月ほど過ぎ、慣れてきたからだろう。

 マキシムがボクの背中に絡みついてきた。

「ねーねー、そろそろ夏休みになるよね? 予定はあるの?」
「んー、特にないけど。あ。でも今年は最初の夜会が行われる前に、王太子殿下の御子さまのお披露目お茶会があるよね?」

 王太子殿下がオメガ男性と結婚して男の御子さまが生まれた。
 アルファの御子さまが生まれたということで、早々にボクたち若年層の貴族たちにもお披露目されるのだそうだ。
 政治的な事情はよく分からない。

「ああ、そうだね」

 マキシムがボクの背中で気のない返事をした。
 獣人族は人間族とは身分制度が違うみたい。
 だけどマキシムは族長の息子ということだから、身分は上みたいだよ。
 だからお披露目のお茶会にも招待されている。

「堅苦しいのは嫌いだな」
「でもね、マキシム。王室主催のお茶会は、美味しいお菓子が出るよ」
「えっ⁉ そうなの? それは楽しみ」

 マキシムは食いしん坊だから食べ物で釣れるよ。
 単純で可愛いね。

「もちろん我も呼ばれている。この若さで外交に一役買うのだから、身分が高いのも大変だ」

 セインが胸を張ると右手で髪を払い、金髪をキラキラさせて気取っているよ。
 単純すぎて心配になるね。

 セインの隣でカーティスが焦った様子で言う。

「そうです、お茶会! その準備のために色々と揃えなければなりません」

 カーティスも大変だなぁ。
 仕方ない。ここはボクも力になろう。

「それならボクのお母さまに相談してみたら? 商会の会長だから色々と扱っているし、貴族向け商品を扱っている知り合いも沢山いるよ」
「そうですね。そうしていただけると助かります」

 カーティスがホッと息を吐いてニコニコしている。

 こうして週末にボクの家へ皆が集まることになった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】可愛いあの子は番にされて、もうオレの手は届かない

天田れおぽん
BL
劣性アルファであるオズワルドは、劣性オメガの幼馴染リアンを伴侶に娶りたいと考えていた。 ある日、仕えている王太子から名前も知らないオメガのうなじを噛んだと告白される。 運命の番と王太子の言う相手が落としていったという髪飾りに、オズワルドは見覚えがあった―――― ※他サイトにも掲載中 ★⌒*+*⌒★ ☆宣伝☆ ★⌒*+*⌒★  「婚約破棄された不遇令嬢ですが、イケオジ辺境伯と幸せになります!」  が、レジーナブックスさまより発売中です。  どうぞよろしくお願いいたします。m(_ _)m

流れる星、どうかお願い

ハル
BL
羽水 結弦(うすい ゆずる) オメガで高校中退の彼は国内の財閥の一つ、羽水本家の次男、羽水要と番になって約8年 高層マンションに住み、気兼ねなくスーパーで買い物をして好きな料理を食べられる。同じ性の人からすれば恵まれた生活をしている彼 そんな彼が夜、空を眺めて流れ星に祈る願いはただ一つ ”要が幸せになりますように” オメガバースの世界を舞台にしたアルファ×オメガ 王道な関係の二人が織りなすラブストーリーをお楽しみに! 一応、更新していきますが、修正が入ることは多いので ちょっと読みづらくなったら申し訳ないですが お付き合いください!

番に見つからない街で、子供を育てている

はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。 異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。 現世の記憶は失われているが、 この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。 街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、 ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。 だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。 再会は望まない。 今はただ、この子との生活を守りたい。 これは、番から逃げたオメガが、 選び直すまでの物語。 *不定期連載です。

【短編】【完結】王子様の婚約者は狼

天田れおぽん
BL
 サティ王子はクルクルした天然パーマな茶髪が可愛い18歳。婚約者のレアンは狼獣人で、子供の頃は子犬のように愛くるしかったのに、18歳となった今はマッチョでかっこよくなっちゃった。 「レアンのこと大好きだから守りたい。キミは信じてくれないかもしれないけれど……」  レアン(すでにオレは、貴方しか見ていませんが?)  ちょっと小柄なカワイイ系王子サティと、美しく無口なゴツイ系婚約者レアンの恋物語。 o♡o。+。o♡o。+。o♡o。+。o♡o。+。o♡o。 ノベルバにも掲載中☆ボイスノベルがあります。

劣等アルファは最強王子から逃げられない

BL
リュシアン・ティレルはアルファだが、オメガのフェロモンに気持ち悪くなる欠陥品のアルファ。そのことを周囲に隠しながら生活しているため、異母弟のオメガであるライモントに手ひどい態度をとってしまい、世間からの評判は悪い。 ある日、気分の悪さに逃げ込んだ先で、ひとりの王子につかまる・・・という話です。

モブらしいので目立たないよう逃げ続けます

餅粉
BL
ある日目覚めると見慣れた天井に違和感を覚えた。そしてどうやら僕ばモブという存存在らしい。多分僕には前世の記憶らしきものがあると思う。 まぁ、モブはモブらしく目立たないようにしよう。 モブというものはあまりわからないがでも目立っていい存在ではないということだけはわかる。そう、目立たぬよう……目立たぬよう………。 「アルウィン、君が好きだ」 「え、お断りします」 「……王子命令だ、私と付き合えアルウィン」 目立たぬように過ごすつもりが何故か第二王子に執着されています。 ざまぁ要素あるかも………しれませんね

愛させてよΩ様

ななな
BL
帝国の王子[α]×公爵家の長男[Ω] この国の貴族は大体がαかΩ。 商人上がりの貴族はβもいるけど。 でも、αばかりじゃ優秀なαが産まれることはない。 だから、Ωだけの一族が一定数いる。 僕はαの両親の元に生まれ、αだと信じてやまなかったのにΩだった。 長男なのに家を継げないから婿入りしないといけないんだけど、公爵家にΩが生まれること自体滅多にない。 しかも、僕の一家はこの国の三大公爵家。 王族は現在αしかいないため、身分が一番高いΩは僕ということになる。 つまり、自動的に王族の王太子殿下の婚約者になってしまうのだ...。

【完結】初恋のアルファには番がいた—番までの距離—

水樹りと
BL
蛍は三度、運命を感じたことがある。 幼い日、高校、そして大学。 高校で再会した初恋の人は匂いのないアルファ――そのとき彼に番がいると知る。 運命に選ばれなかったオメガの俺は、それでも“自分で選ぶ恋”を始める。

処理中です...