4 / 25
第4話 ラファーガの初恋 2
イーリスは頭がよく、魔法も使うことができた。
ある日。
ラファーガは、意地悪な同年代の少年たちの企みにより泥だらけにされた。
「なんだ、ラファーガ。真っ黒じゃないか」
「ちょっと転んじゃっただけだよ」
ラファーガは覗き込んでくるイーリスの視線を避けるようにプイと横を向いた。
イーリスはそんなラファーガの事情を全て知っているように細かなことは聞かず、悪戯な笑みを浮かべて手招きする。
「フフ。ラファーガ、こっちおいで。ちょっとだけだけどオレは、魔法が使えるんだ」
イーリスは右手を軽く握って、人差し指をピンと伸ばした。
形が整っていてスラリとした長い綺麗な指先に、ピョンと水が跳ねる。
「えっ? 何で?」
ラファーガはびっくりして目を見開き、イーリスの指先で跳ねる水を見つめた。
イーリスは得意げに胸を張ると指先を踊らせるようにしてラファーガへと向けた。
「フフ。だからこんなことも出来ちゃうんだよ」
水はイーリスの指先からピョコンと跳ねてラファーガの体へと落ちた。
「わっ⁉」
水はラファーガの体のうえを上へ下に、右に左にとピョンピョン跳ねていく。
「えっ⁉ イーリス、これなに?」
ラファーガは驚いてアタフタしながら水から逃げようとジタバタしている。
「ハハハッ。心配いらないから、大人しくしてて」
イーリスの言う通り、水はラファーガの全身の上を飛び回った後は、地面にびちょんと落ちた。
「ああ、びっくりした」
心の底から安堵したといった様子で大袈裟に溜息を吐くラファーガを見て、イーリスは笑う。
「フフ。でも綺麗になったでしょ?」
「あっ⁉」
イーリスに言われて自分を見たラファーガは再び驚いた。
さっきまで泥だらけだった服も、体も、綺麗になっていたのだ。
「えっ⁉ なんで⁉」
水は肌の上にも服の上にも残っていなくてサラサラだ。
「ふふふ。これが魔法でーす」
「スゲェー」
ラファーガはイーリスに尊敬の眼差しを向けた。
「ハハハッ。ラファーガは素直で可愛いなぁ」
「きゃあ。イーリス、くすぐったいよぉ~」
イーリスはラファーガの髪や体をくすぐるように撫でまわす。
キャッキャウフフとじゃれ合う2人の姿は、もはや鍛錬場の名物だ。
ラファーガは、綺麗で強くて頼り甲斐のある年上のイーリスへ恋をした。
(イーリスは強くて、魔法も使えて、勉強もできちゃうんだ。すごいや。ボクも頑張らなきゃ)
幼い恋はラファーガのやる気に火をつけた。
ラファーガに魔法は使えなかったし、勉強もいまひとつだったが、鍛錬の効果はあった。
効果がありすぎて、イーリスへ追い付こうと必死に鍛錬を頑張った結果、あっという間に彼を追い超してしまったのだ。
身長も、筋肉量も、イーリスを追い越してしまった頃。
ある日を境にイーリスは鍛錬場へ来なくなってしまった。
(ボクが、身長も、体重も、イーリスを追い越しちゃったから……嫌われた?)
年齢は2歳しか違わなかったものの、文官を目指すイーリスと武官を目指すラファーガには接点がほとんどなく、交流は途絶えてしまった。
その後、イーリスへの恋心を自覚した。
(こんなに体格のよい私が、イーリスさまに愛してもらえるはずがない――――)
ラファーガは自分で自分の恋心を封印した。
ある日。
ラファーガは、意地悪な同年代の少年たちの企みにより泥だらけにされた。
「なんだ、ラファーガ。真っ黒じゃないか」
「ちょっと転んじゃっただけだよ」
ラファーガは覗き込んでくるイーリスの視線を避けるようにプイと横を向いた。
イーリスはそんなラファーガの事情を全て知っているように細かなことは聞かず、悪戯な笑みを浮かべて手招きする。
「フフ。ラファーガ、こっちおいで。ちょっとだけだけどオレは、魔法が使えるんだ」
イーリスは右手を軽く握って、人差し指をピンと伸ばした。
形が整っていてスラリとした長い綺麗な指先に、ピョンと水が跳ねる。
「えっ? 何で?」
ラファーガはびっくりして目を見開き、イーリスの指先で跳ねる水を見つめた。
イーリスは得意げに胸を張ると指先を踊らせるようにしてラファーガへと向けた。
「フフ。だからこんなことも出来ちゃうんだよ」
水はイーリスの指先からピョコンと跳ねてラファーガの体へと落ちた。
「わっ⁉」
水はラファーガの体のうえを上へ下に、右に左にとピョンピョン跳ねていく。
「えっ⁉ イーリス、これなに?」
ラファーガは驚いてアタフタしながら水から逃げようとジタバタしている。
「ハハハッ。心配いらないから、大人しくしてて」
イーリスの言う通り、水はラファーガの全身の上を飛び回った後は、地面にびちょんと落ちた。
「ああ、びっくりした」
心の底から安堵したといった様子で大袈裟に溜息を吐くラファーガを見て、イーリスは笑う。
「フフ。でも綺麗になったでしょ?」
「あっ⁉」
イーリスに言われて自分を見たラファーガは再び驚いた。
さっきまで泥だらけだった服も、体も、綺麗になっていたのだ。
「えっ⁉ なんで⁉」
水は肌の上にも服の上にも残っていなくてサラサラだ。
「ふふふ。これが魔法でーす」
「スゲェー」
ラファーガはイーリスに尊敬の眼差しを向けた。
「ハハハッ。ラファーガは素直で可愛いなぁ」
「きゃあ。イーリス、くすぐったいよぉ~」
イーリスはラファーガの髪や体をくすぐるように撫でまわす。
キャッキャウフフとじゃれ合う2人の姿は、もはや鍛錬場の名物だ。
ラファーガは、綺麗で強くて頼り甲斐のある年上のイーリスへ恋をした。
(イーリスは強くて、魔法も使えて、勉強もできちゃうんだ。すごいや。ボクも頑張らなきゃ)
幼い恋はラファーガのやる気に火をつけた。
ラファーガに魔法は使えなかったし、勉強もいまひとつだったが、鍛錬の効果はあった。
効果がありすぎて、イーリスへ追い付こうと必死に鍛錬を頑張った結果、あっという間に彼を追い超してしまったのだ。
身長も、筋肉量も、イーリスを追い越してしまった頃。
ある日を境にイーリスは鍛錬場へ来なくなってしまった。
(ボクが、身長も、体重も、イーリスを追い越しちゃったから……嫌われた?)
年齢は2歳しか違わなかったものの、文官を目指すイーリスと武官を目指すラファーガには接点がほとんどなく、交流は途絶えてしまった。
その後、イーリスへの恋心を自覚した。
(こんなに体格のよい私が、イーリスさまに愛してもらえるはずがない――――)
ラファーガは自分で自分の恋心を封印した。
あなたにおすすめの小説
『2度目の世界で、あなたと……』 ― 魔法と番が支配する世界で、二度目の人生を ―
なの
BL
Ωとして生まれたリオナは、政略結婚の駒として生き、信じていた結婚相手に裏切られ、孤独の中で命を落とした。
――はずだった。
目を覚ますと、そこは同じ世界、同じ屋敷、同じ朝。
時間だけが巻き戻り、前世の記憶を持つのは自分だけ。
愛を知らないまま死んだ。今度こそ、本物の愛を知り、自ら選び取る人生を生きる。
これは、愛を知らず道具として生きてきたΩが、初めて出会った温もりに触れ、自らの意思で愛を選び直す物語。
「愛を知らず道具として生きてきたΩが転生を機に、
年上αの騎士と本物の愛を掴みます。
全6話+番外編完結済み!サクサク読めます。
【8+2話完結】氷の貴公子の前世は平社員〜不器用な恋の行方〜
キノア9g
BL
氷の貴公子と称えられるユリウスには、人に言えない秘めた想いがある――それは幼馴染であり、忠実な近衛騎士ゼノンへの片想い。そしてその誇り高さゆえに、自分からその気持ちを打ち明けることもできない。
そんなある日、落馬をきっかけに前世の記憶を思い出したユリウスは、ゼノンへの気持ちに改めて戸惑い、自分が男に恋していた事実に動揺する。プライドから思いを隠し、ゼノンに嫌われていると思い込むユリウスは、あえて冷たい態度を取ってしまう。一方ゼノンも、急に避けられる理由がわからず戸惑いを募らせていく。
近づきたいのに近づけない。
すれ違いと誤解ばかりが積み重なり、視線だけが行き場を失っていく。
秘めた感情と誇りに縛られたまま、ユリウスはこのもどかしい距離にどんな答えを見つけるのか――。
プロローグ+全8話+エピローグ
祖国に棄てられた少年は賢者に愛される
結衣可
BL
祖国に棄てられた少年――ユリアン。
彼は王家の反逆を疑われ、追放された身だと信じていた。
その真実は、前王の庶子。王位継承権を持ち、権力争いの渦中で邪魔者として葬られようとしていたのだった。
絶望の中、彼を救ったのは、森に隠棲する冷徹な賢者ヴァルター。
誰も寄せつけない彼が、なぜかユリアンを庇護し、結界に守られた森の家で共に過ごすことになるが、王都の陰謀は止まらず、幾度も追っ手が迫る。
棄てられた少年と、孤独な賢者。
陰謀に覆われた王国の中で二人が選ぶ道は――。
カランコエの咲く所で
mahiro
BL
先生から大事な一人息子を託されたイブは、何故出来損ないの俺に大切な子供を託したのかと考える。
しかし、考えたところで答えが出るわけがなく、兎に角子供を連れて逃げることにした。
次の瞬間、背中に衝撃を受けそのまま亡くなってしまう。
それから、五年が経過しまたこの地に生まれ変わることができた。
だが、生まれ変わってすぐに森の中に捨てられてしまった。
そんなとき、たまたま通りかかった人物があの時最後まで守ることの出来なかった子供だったのだ。
転生DKは、オーガさんのお気に入り~姉の婚約者に嫁ぐことになったんだが、こんなに溺愛されるとは聞いてない!~
トモモト ヨシユキ
BL
魔物の国との和議の証に結ばれた公爵家同士の婚約。だが、婚約することになった姉が拒んだため6男のシャル(俺)が代わりに婚約することになった。
突然、オーガ(鬼)の嫁になることがきまった俺は、ショックで前世を思い出す。
有名進学校に通うDKだった俺は、前世の知識と根性で自分の身を守るための剣と魔法の鍛練を始める。
約束の10年後。
俺は、人類最強の魔法剣士になっていた。
どこからでもかかってこいや!
と思っていたら、婚約者のオーガ公爵は、全くの塩対応で。
そんなある日、魔王国のバーティーで絡んできた魔物を俺は、こてんぱんにのしてやったんだが、それ以来、旦那様の様子が変?
急に花とか贈ってきたり、デートに誘われたり。
慣れない溺愛にこっちまで調子が狂うし!
このまま、俺は、絆されてしまうのか!?
カイタ、エブリスタにも掲載しています。
悪役令嬢と同じ名前だけど、僕は男です。
みあき
BL
名前はティータイムがテーマ。主人公と婚約者の王子がいちゃいちゃする話。
男女共に子どもを産める世界です。容姿についての描写は敢えてしていません。
メインカプが男性同士のためBLジャンルに設定していますが、周辺は異性のカプも多いです。
奇数話が主人公視点、偶数話が婚約者の王子視点です。
pixivでは既に最終回まで投稿しています。