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第12話 初夜は特になし
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結婚式を終えた2人だったが、寝室を共にすることはなかった。
大神殿で式を終えた後は、とっとと屋敷に戻って着替えを終えて、食堂でいつも通りに食事をして、それぞの部屋で過ごした。
いつもと違ったことといえば、食堂から帰ってくるときにイーリスが自分を指さして「なんだ、オレを抱かないのか?」とラファーガに聞いてきた程度だ。
「えっ?」
ラファーガが言葉に詰まって耳まで真っ赤になっているのを見て、イーリスは「別にいいけど」などと呟きながらクスクスと笑った。
(いや。私があなたに抱かれたいのですが……)
ラファーガはそう思ったが、大きな体を縮め、唸るような変な声を出すだけだ。
その姿を見たイーリスは、声を上げて笑った。
「もうっ、イーリスさま。意地悪な子どもみたいに揶揄わないでください」
「ふふ。ラファーガさまの反応が可愛いのから悪いのですよ」
イーリスは言いたい事だけ言うと、おやすみの挨拶をして、スッと踵を返して自分の部屋へと行ってしまった。
銀の髪をキラキラ光らせながら去っていく後ろ姿を、ラファーガはボーとしながら見送った。
そしてハッと我に返る。
(もうっ。イーリスさまってば、もうっ)
背後で使用人たちのクスクス笑う声がする。
ラファーガは誤魔化すようにゴホンとわざとらしい咳をすると、自分も自室へと戻った。
「ふわぁぁぁぁぁ、疲れたぁ……」
寝間着に着替えたラファーガは、あくびをしながら大きく伸びをした。
(形だけのものとはいえ、結婚式というものは疲れるな?)
大神殿の修復具合のアピールとラファーガが健在であることを見せることで、来賓に王国の力が落ちてはいないことを知らしめることができた。
(イーリスさまは【軍神】を尻に敷くほどの切れ者、という評判が広まれば、私が死んだからといって喜び勇んで攻めてくる他国も出ないだろう。イーリスさまと結婚しろとオラノス言われた時にはどうしようかと思ったが……結果としては良かったな。これで安心して死ねる)
ラファーガはベッドにもぐりこみながら思った。
(それに……形だけでもイーリスさまと【夫夫】になれて嬉しかった。やっぱり私はイーリスさまのことが好きなんだ)
そして大神殿で起きたことを思いだして顔を赤く染めた。
(今日はキ……キスもしてしまったし、な。うん。触れるだけのキスなんて、男同士でも冗談ですることはあるだろう。きっとソレで、アレに深い意味はない……だろうけど、私は嬉しかった)
ラファーガはゴツイ右手の指先でそっと唇に触れてみた。
(イーリスさまの唇は、柔らかかったな。それに……あんな近くにイーリスさまの存在を感じたのは、子どもの時以来だ)
ラファーガの心は温かくてホコホコした何かで満ちていく。
(魔王に呪われた時にはどうなることかと思ったけれど……私の人生、案外悪くはなかったんじゃないかな?)
この気持ちを胸に、ラファーガは死んでいくつもりでいた。
大神殿で式を終えた後は、とっとと屋敷に戻って着替えを終えて、食堂でいつも通りに食事をして、それぞの部屋で過ごした。
いつもと違ったことといえば、食堂から帰ってくるときにイーリスが自分を指さして「なんだ、オレを抱かないのか?」とラファーガに聞いてきた程度だ。
「えっ?」
ラファーガが言葉に詰まって耳まで真っ赤になっているのを見て、イーリスは「別にいいけど」などと呟きながらクスクスと笑った。
(いや。私があなたに抱かれたいのですが……)
ラファーガはそう思ったが、大きな体を縮め、唸るような変な声を出すだけだ。
その姿を見たイーリスは、声を上げて笑った。
「もうっ、イーリスさま。意地悪な子どもみたいに揶揄わないでください」
「ふふ。ラファーガさまの反応が可愛いのから悪いのですよ」
イーリスは言いたい事だけ言うと、おやすみの挨拶をして、スッと踵を返して自分の部屋へと行ってしまった。
銀の髪をキラキラ光らせながら去っていく後ろ姿を、ラファーガはボーとしながら見送った。
そしてハッと我に返る。
(もうっ。イーリスさまってば、もうっ)
背後で使用人たちのクスクス笑う声がする。
ラファーガは誤魔化すようにゴホンとわざとらしい咳をすると、自分も自室へと戻った。
「ふわぁぁぁぁぁ、疲れたぁ……」
寝間着に着替えたラファーガは、あくびをしながら大きく伸びをした。
(形だけのものとはいえ、結婚式というものは疲れるな?)
大神殿の修復具合のアピールとラファーガが健在であることを見せることで、来賓に王国の力が落ちてはいないことを知らしめることができた。
(イーリスさまは【軍神】を尻に敷くほどの切れ者、という評判が広まれば、私が死んだからといって喜び勇んで攻めてくる他国も出ないだろう。イーリスさまと結婚しろとオラノス言われた時にはどうしようかと思ったが……結果としては良かったな。これで安心して死ねる)
ラファーガはベッドにもぐりこみながら思った。
(それに……形だけでもイーリスさまと【夫夫】になれて嬉しかった。やっぱり私はイーリスさまのことが好きなんだ)
そして大神殿で起きたことを思いだして顔を赤く染めた。
(今日はキ……キスもしてしまったし、な。うん。触れるだけのキスなんて、男同士でも冗談ですることはあるだろう。きっとソレで、アレに深い意味はない……だろうけど、私は嬉しかった)
ラファーガはゴツイ右手の指先でそっと唇に触れてみた。
(イーリスさまの唇は、柔らかかったな。それに……あんな近くにイーリスさまの存在を感じたのは、子どもの時以来だ)
ラファーガの心は温かくてホコホコした何かで満ちていく。
(魔王に呪われた時にはどうなることかと思ったけれど……私の人生、案外悪くはなかったんじゃないかな?)
この気持ちを胸に、ラファーガは死んでいくつもりでいた。
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