【完結】煌めくままに恋しよう

天田れおぽん

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第28話 バイトするよ!

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「いや。だからって、なんで俺まで?」

 真城に無理矢理手を引かれて連れて来られた黒江は、ブーブー文句を言った。
 だからといって真城の手は振り払わない。

「いいじゃん、いいじゃん。これも思い出だよ」
「うわぁー、キラキラオメメの真城の誘惑~」

 目をキラキラさせて見上げてくる真城に、黒江は空いている右手を心臓の上あたりに当てて仰け反った。

「簡単なお仕事で、100,000,000陸の孤島学円が手に入るチャンスだよ」
「いや、坂下。お前は要らん」

 両手をアゴの下で組んで目をキラキラさせて見上げてくる坂下には、もちろん塩対応する黒江であった。

「なになに? 黒江はそんなにたくさん陸の孤島学円が残ってるの?」
「いや、そんなことはないな?」

 残金が心許なかったので、真城と坂下と一緒に黒江もバイトをすることなった。

「ははは。君たちは賑やかだな」
「あ、金之助きんのすけさん。バイトしに来たよ~」

 真城は黒江と繋いでいない方の手を、屋台の中にいる金之助きんのすけに向けて振った。

「何をすればいいですか?」

 坂下が聞くと、金之助きんのすけは寮の食堂の方を見て言う。

「寮の食堂でお米を炊いて、炊けたご飯を屋台までもってきてくれないかな? もうそろそろ仕掛けておいたのは炊ける頃だから、それをおひつに入れて持ってきて。次のお米も洗って炊飯器に仕込んできてね」
「「「はーい」」」

 3人は元気よく返事をすると食堂へと向かった。
 寮の食堂には思っていたよりも人がいた。

「うわっ。これみんな寮母さん?」

 ちょっと仰け反り引き気味になっている真城に黒江が説明する。

「普段は交代制らしいからね。色々な時間帯で働いている寮母さんが一同に会したら、賑やかになるのは当然だろ。寮母さん、みんなマッチョだし」

 坂下が2人の後ろからキョロキョロと食堂内を窺う。

「たしかに。でも生徒も混ざってるみたいだね。運動部の連中もいる……って佐藤?」
「はーい、お得意さーん。冷やしキュウリの追加を取りに来たんだ」

 メイド服を着た佐藤がキュウリを沢山入れた容器を両手に持ち、ランウェイを歩くモデルのようにポーズをとってやって来た。
 その容器を3人の目の前にサーッと横切らせる。
 割りばしを刺したキュウリが、駄菓子の容器みたいなものにギュウギュウに詰められている。

「まだまだ冷やしキュウリは売るからねー、よろしくー」

 佐藤は陽気に言うと足取り軽く食堂を出ていった。

「うおぉぉぉぉぉ。冷やしキュウリも食べたーい」
「おれも食べたーい」
「ならバイトがんばれー」

 欲望を爆発させながら叫ぶ真城と坂下は、黒江に励まされて力強く頷いた。
 
「おー、お手伝い要員が来たか。ご飯はじきに炊けるぞ。……ん、ほら炊けたー。いそいでおひつに出して~」
「「「はーい」」」

 3人は手分けをして大きな炊飯器から大きなおひつに炊き立てのご飯をうつし、手早くほぐしていった。
 真城はおひつの端をちょっと持ち上げてみた。

「これを屋台まで持っていくのか。重いな?」
「ホントだよな、途中でコケたらアウトだし」
「不吉なことを言うなよ、坂下。ほら、いくぞ」

 出発しようとする黒江に、真城が言う。

「おい、先に次のご飯を仕掛けてったほうがいいんじゃないの?」
「あ、そうか」

 納得して止まった黒江に、寮母が声をかける。

「ご飯炊くならお釜洗うところからやってー」
「まだ熱いっすよ?」

 坂下が嫌そうな表情を浮かべて言うと、寮母は別のお釜を指さして言う。

「そっちじゃなくて、先に使ったヤツを洗って。まだ熱いのは冷ましてから洗うから。順番でやってかないといけないからねー」
「「「はーい」」」

 3人は、ああでもないこうでもないとギャーギャー言いながらデカいお釜を洗って、研いだ米と適量の水を入れると、炊飯器のスイッチを押した。
 手分けをしておひつを持つことにした3人は、1人が誘導係、2人がおひつを持つ係という形で屋台を目指す。
 途中で係を交代しながら、普通に歩けば5分程度の道をゆっくり慎重に進んだ。
 屋台まで辿り着いた3人を金之助きんのすけが労う。

「おー。お疲れさまー」
「マジ疲れたよー金之助きんのすけさぁ~ん」
「ははっ。100,000,000陸の孤島学円のために頑張れー」

 弱音を吐く真城に、金之助きんのすけは輝くような笑顔を向けた。

「寮母さんたちがマッチョな理由、分かったな」
「そうだな。筋肉育てたかったら、寮母さんになるのアリだわ」

 黒江と真城はコソコソと話した。

「ご飯炊けるまで時間があるから、その間は売り子をして手伝って」
「「「はーい」」」

 金之助きんのすけに言われて、真城たちは売り子としても活躍した。
 そこにメイドコスをした佐藤が通りかかった。

「お、売り子もするのか。どっちが沢山売るか勝負だ!」
「おうっ」

 佐藤の持ちかけた勝負を、真城が買った。
 2人とも頑張って売ったが、売った数で勝負するのか、売り上げた額で勝負するのかを決めておかなかったので、勝負はつかなかった。

 そんなこんなで真城たちは、100,000,000陸の孤島学円を稼いだのだった。
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