9 / 23
変化
しおりを挟む
「でさー、アズはもう俺に決めたんだよな?」
「は? ほんとにお前何いってんの? 俺に決まってんだろ?」
「二人ともアズを困らせないで。アズは俺を選ぶんだから」
「うるさい、とりあえず3人とも黙って食べられないわけ? 私のティータイム邪魔するなら3人とも叩き出すわよ」
「お前、そんなに食べてると太るぞ」
「は? 私がそんなミスするわけないでしょ」
「ユズちゃんこれ大好物だもんね。ほら、俺のもあげるから……」
「アズ、ありがと!じゃあ、あーん」
「はい、あーん」
「! あ、アズ! 俺にもあーんして!」
「は? お前になんてさせねーよ、アズ俺にして」
「え、うん、でももうそんなに残ってないし……」
「じゃあ俺のをあげるよ、ほら、アズ、あーん」
「あーん。ありがと奨くん」
「お前はいつもっ! 抜け駆けすんなっ」
アズの家のダイニングでは恒例のティータイム。
今日はお手伝いさんのタキさんの絶品手作りアップルパイだ。両親が仕事で忙しく、おやつだけでなく食事もほぼ 二人きりだったダイニングだが、今はいつでも騒がしい。
アズが傷跡を見せてくれた日、俺たちは改めてアズに告白をした。
アズは今までになく赤くなり、息も絶え絶えだったが、
「ありがとう」
と、はにかんだ笑顔を見せてくれた。
一番近くにいて、いろんなアズを見てきたけれど、俺の言葉に俺の態度にいちいち赤くなり、目を潤ませるアズは新鮮でさらに可愛らしく、隣とは言え家に帰したくない、このまま自室に囲ってしまおうと何度思ったことか。
でも、恥ずかしがりながらも嬉しそうなアズの笑顔を目の当たりにすると、自分の黒い気持ちより、あたたかな幸せが胸を満たす。
本当の意味で大切な人だということが、アズに伝わったから。
ずっとずっと遠かったアズの心に触れられたから。
ただ、その笑顔をあの二人にも見せていることは問題しかない。
もちろんクリスマスプレゼントは俺からも贈った。……というか、結局アズの家でユズも含めた5人での騒々しいクリスマスとなってしまった。
朔は漣より自分の方が先だといつも言っているが、俺から言わせると二人とも目クソ鼻クソだ。たった数ヶ月でアズに触れるなんて。何とかして二人から引き離そうとするが、こちらの気配を察知して、そういう時だけ二人して共謀するから質が悪い。
アイツラも相当の腹黒だったという訳か。
今はとにかくアズが「恋人」として俺を見てくれていることについてのみ納得するようにしている。いずれは誰かを、いや、俺を選ぶことになるだろうが、アズ自身「好き」という感情をどうやって扱っていいのか戸惑っている部分もあるため、ひとまずは3人ともと付き合ってみるという形になったのだ。
朝は俺がアズを学校まで一緒に送っていき、帰りはあの二人がアズを送って帰る。
ランチはだいたい学内のカフェテリアなのでそこで待ち合わせ3人で食べる。最近は俺たちが行くとすでに良い席が誰かによってキープされているため、席を探すことをしなくても良くなっている。誰が始めたか不明だが、キープした席を譲る際に俺たちと少しでも接することができるためか、キープするためだけに授業を抜け出す生徒も出てきており、近々生徒会でも問題となりそうだ。
「あまり面倒ごとにはしたくないな……」
先生の方から手を回すか、あの二人を使ってこちらに迷惑となることはしないよう釘を刺すか……。
俺にはもちろん劣るが、アイツラもまぁ美形の部類に入るせいか、アズの虫除けにはなかなか重宝している。本当は俺が帰りも付き添いたい所だが、向こうの大学へ通学せず日本に帰国する時の親との条件を満たすため放課後は時間が取れないことも多く、かと言ってアズを一人にするわけにもいかず(どうせあの二人がくっついているだろうけど)二人に帰りは任せることについては譲歩したんだ、そのくらい役に立ってもらうかな。
大体送っていって大人しく自分の家に帰ればいいものの、そのままアズの家に上がっていることが多いから、俺も帰宅後はすぐにアズの家に行くようにしている。もちろん帰宅後もすることは多いが、1秒でも長くアズの近くに居たい。アズを見ていたい。
ただ、どうしても二人に比べてアズといる時間が少ない。それでも夜はどうしたって俺の方が必然的に遅くまでアズの家には居られるため、そこも今のところは目を瞑っている。
それでも3人揃うとやはり時々は誰を選ぶかという話になってしまう。ただ、いつもこの話になるとアズが困った顔をして、動揺するから、あまり深刻にならない程度にしている。
本当は俺だけを見てほしいけど、とりあえず今はこのままでもいい。少しづつ囲い込んでいって、いつか俺だけを見てもらえば……。
奨は漣と朔と言い合いをするユズをなだめるアズを見ながら、静かに紅茶を飲んだ。
「は? ほんとにお前何いってんの? 俺に決まってんだろ?」
「二人ともアズを困らせないで。アズは俺を選ぶんだから」
「うるさい、とりあえず3人とも黙って食べられないわけ? 私のティータイム邪魔するなら3人とも叩き出すわよ」
「お前、そんなに食べてると太るぞ」
「は? 私がそんなミスするわけないでしょ」
「ユズちゃんこれ大好物だもんね。ほら、俺のもあげるから……」
「アズ、ありがと!じゃあ、あーん」
「はい、あーん」
「! あ、アズ! 俺にもあーんして!」
「は? お前になんてさせねーよ、アズ俺にして」
「え、うん、でももうそんなに残ってないし……」
「じゃあ俺のをあげるよ、ほら、アズ、あーん」
「あーん。ありがと奨くん」
「お前はいつもっ! 抜け駆けすんなっ」
アズの家のダイニングでは恒例のティータイム。
今日はお手伝いさんのタキさんの絶品手作りアップルパイだ。両親が仕事で忙しく、おやつだけでなく食事もほぼ 二人きりだったダイニングだが、今はいつでも騒がしい。
アズが傷跡を見せてくれた日、俺たちは改めてアズに告白をした。
アズは今までになく赤くなり、息も絶え絶えだったが、
「ありがとう」
と、はにかんだ笑顔を見せてくれた。
一番近くにいて、いろんなアズを見てきたけれど、俺の言葉に俺の態度にいちいち赤くなり、目を潤ませるアズは新鮮でさらに可愛らしく、隣とは言え家に帰したくない、このまま自室に囲ってしまおうと何度思ったことか。
でも、恥ずかしがりながらも嬉しそうなアズの笑顔を目の当たりにすると、自分の黒い気持ちより、あたたかな幸せが胸を満たす。
本当の意味で大切な人だということが、アズに伝わったから。
ずっとずっと遠かったアズの心に触れられたから。
ただ、その笑顔をあの二人にも見せていることは問題しかない。
もちろんクリスマスプレゼントは俺からも贈った。……というか、結局アズの家でユズも含めた5人での騒々しいクリスマスとなってしまった。
朔は漣より自分の方が先だといつも言っているが、俺から言わせると二人とも目クソ鼻クソだ。たった数ヶ月でアズに触れるなんて。何とかして二人から引き離そうとするが、こちらの気配を察知して、そういう時だけ二人して共謀するから質が悪い。
アイツラも相当の腹黒だったという訳か。
今はとにかくアズが「恋人」として俺を見てくれていることについてのみ納得するようにしている。いずれは誰かを、いや、俺を選ぶことになるだろうが、アズ自身「好き」という感情をどうやって扱っていいのか戸惑っている部分もあるため、ひとまずは3人ともと付き合ってみるという形になったのだ。
朝は俺がアズを学校まで一緒に送っていき、帰りはあの二人がアズを送って帰る。
ランチはだいたい学内のカフェテリアなのでそこで待ち合わせ3人で食べる。最近は俺たちが行くとすでに良い席が誰かによってキープされているため、席を探すことをしなくても良くなっている。誰が始めたか不明だが、キープした席を譲る際に俺たちと少しでも接することができるためか、キープするためだけに授業を抜け出す生徒も出てきており、近々生徒会でも問題となりそうだ。
「あまり面倒ごとにはしたくないな……」
先生の方から手を回すか、あの二人を使ってこちらに迷惑となることはしないよう釘を刺すか……。
俺にはもちろん劣るが、アイツラもまぁ美形の部類に入るせいか、アズの虫除けにはなかなか重宝している。本当は俺が帰りも付き添いたい所だが、向こうの大学へ通学せず日本に帰国する時の親との条件を満たすため放課後は時間が取れないことも多く、かと言ってアズを一人にするわけにもいかず(どうせあの二人がくっついているだろうけど)二人に帰りは任せることについては譲歩したんだ、そのくらい役に立ってもらうかな。
大体送っていって大人しく自分の家に帰ればいいものの、そのままアズの家に上がっていることが多いから、俺も帰宅後はすぐにアズの家に行くようにしている。もちろん帰宅後もすることは多いが、1秒でも長くアズの近くに居たい。アズを見ていたい。
ただ、どうしても二人に比べてアズといる時間が少ない。それでも夜はどうしたって俺の方が必然的に遅くまでアズの家には居られるため、そこも今のところは目を瞑っている。
それでも3人揃うとやはり時々は誰を選ぶかという話になってしまう。ただ、いつもこの話になるとアズが困った顔をして、動揺するから、あまり深刻にならない程度にしている。
本当は俺だけを見てほしいけど、とりあえず今はこのままでもいい。少しづつ囲い込んでいって、いつか俺だけを見てもらえば……。
奨は漣と朔と言い合いをするユズをなだめるアズを見ながら、静かに紅茶を飲んだ。
10
あなたにおすすめの小説
竜帝陛下の愛が重すぎて身代わりの落ちこぼれ薬師は今日も腰が砕けそうです 〜呪いを解いたら一生離さないと宣言されました〜
レイ
BL
「死ぬ覚悟はできています。でも、その前に……お口、あーんしてください」
魔力を持たない「無能」として実家で虐げられていた薬師のエリアン。
彼に下されたのは、触れるものすべてを焼き尽くす「死の竜帝」ヴァレリウスへの、身代わりの婚姻だった。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦
雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、
隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。
しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです…
オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が
なかたのでした。
本当の花嫁じゃない。
だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、
だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という
お話です。よろしくお願いします<(_ _)>
王妃そっちのけの王様は二人目の側室を娶る
家紋武範
恋愛
王妃は自分の人生を憂いていた。国王が王子の時代、彼が六歳、自分は五歳で婚約したものの、顔合わせする度に喧嘩。
しかし王妃はひそかに彼を愛していたのだ。
仲が最悪のまま二人は結婚し、結婚生活が始まるが当然国王は王妃の部屋に来ることはない。
そればかりか国王は側室を持ち、さらに二人目の側室を王宮に迎え入れたのだった。
もう一度言って欲しいオレと思わず言ってしまったあいつの話する?
藍音
BL
ある日、親友の壮介はおれたちの友情をぶち壊すようなことを言い出したんだ。
なんで?どうして?
そんな二人の出会いから、二人の想いを綴るラブストーリーです。
片想い進行中の方、失恋経験のある方に是非読んでもらいたい、切ないお話です。
勇太と壮介の視点が交互に入れ替わりながら進みます。
お話の重複は可能な限り避けながら、ストーリーは進行していきます。
少しでもお楽しみいただけたら、嬉しいです。
(R4.11.3 全体に手を入れました)
【ちょこっとネタバレ】
番外編にて二人の想いが通じた後日譚を進行中。
BL大賞期間内に番外編も完結予定です。
「出来損ない」オメガと幼馴染の王弟アルファの、発情初夜
鳥羽ミワ
BL
ウィリアムは王族の傍系に当たる貴族の長男で、オメガ。発情期が二十歳を過ぎても来ないことから、家族からは「欠陥品」の烙印を押されている。
そんなウィリアムは、政略結婚の駒として国内の有力貴族へ嫁ぐことが決まっていた。しかしその予定が一転し、幼馴染で王弟であるセドリックとの結婚が決まる。
あれよあれよと結婚式当日になり、戸惑いながらも結婚を誓うウィリアムに、セドリックは優しいキスをして……。
そして迎えた初夜。わけもわからず悲しくなって泣くウィリアムを、セドリックはたくましい力で抱きしめる。
「お前がずっと、好きだ」
甘い言葉に、これまで熱を知らなかったウィリアムの身体が潤み、火照りはじめる。
※ムーンライトノベルズ、アルファポリス、pixivへ掲載しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる