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意見の相違
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転移している感覚と魔力が体中に満ちてく感覚を、全身で受け止める。
ふわっと床に足がつくのを感じ、細めていた目を開くと煙が霧散して部屋の様子が見えてくる。
そこは魔法学院の一番上にある女神像のある部屋だった。
「戻ってきたのかな?ね、アズール。」
ほっと、胸をなでおろし話しかける。
「あ、あぁ。そうみたいだな。」
何故か、せっかく戻ってこれたというのにアズールは落ち込んで下を向いていた。
やはり王女様との面会を無視してしまった事を悩んでいるのだろうか。
エイルも悩んでいるが、アズールだって、王族として断ると国政の変化など色々と問題があるのかもしれない。
さっき、話しかけてくれた内容を聞きたかったが、今は話しかけない方が良いかと思い、そっとアズールから離れる。
そして、石を握りルーンに話しかける。
「ねえ。帰ってきたよ。これからどうすれば良いの?」
しかし、ルーンは忙しいのか石から返事がこない。
仕方がないので、今、出来る事を考える。
まずは自分の魔力が戻っているかを確認だ。
いつもなら無意識でも使えるのだが、今は集中をして魔法を生み出す。
すると、ふわっと炎が手のひらから現れた。
「アズール。火が使えるよ。」
簡単な火魔法で薄暗いフロアを明るく灯す。
遠くからでもアズールの顔がよく見えて、嬉しくて満面の笑みで手を降った。
「本当だ。良かったな。」
少し気分が浮上したらしく、アズールも軽く笑っている。
それに安心したエイルは、何時頃なのか気になり、窓に向かい暗くなっていた外を見る。
すると何か薄暗がりの中で動いているのが見えて目を凝らす。
魔法学院は正門の他に特別な来賓が通るための門があって、その特別な門に豪奢な馬車がとまっていた。
そこから、王女が降りていている。
絶対に、アズールに会わせちゃいけない!
直感だが、大変なことになる。
焦って、強く石を握りしめる。
「お願い、ルーン。何処にいるの?返事をして。」
何度も声をかけるが、まったく返事はない。
だから、気づかなかった。
アズールがエイルが戻ってこない事を不思議に思って、側に来ていた事に。
「エイル?何か見えるのか?」
窓からアズールが顔を出す。
「アズール!だめ!」
そう本能で叫んだ。
その時、窓がバンッと全開し渦巻いた風とともに黒い影をまとった女性が現れた。
「見つけた。勇者。」
そう言い放ち、こちらに歩いてくる。
エイルは臨戦態勢を整え、魔力をためる。
アズールに対して勇者とはどう言う事だろうか。
不思議に思うが、臨戦態勢は解除せず意識を集中する。
激しい頭痛がとまらないが、そんな事は言っていられない。
アズールは唖然としている。そして、つぶやいた。
「王女………?」
この人が、隣国の王女なのだろうか。
見た目は美しいが、態度が王女とは思えない。
それに、体に絡みついている悪意に満ちた黒い渦は何だろうか。
「魔王様を返せ。勇者。何度も許さない。」
体を覆う黒いものがアズールの方へ向かう。
だが、あともう少しという所で白銀の光がその黒を打ち消す。
打ち消した白銀の光が放たれた所を見ると、連絡がとれなくなっていたルーンがいた。
「ねぇ、だから誤解があるの。全ては私が良かれと思ってやったことなの。アズールは悪くない。ガゼル、説明を聞いて?」
ガゼルとは、その黒い影をまとった王女を言っているのだろうか。
異常な事態に混乱するが、ルーンがすぐに倒さないということは、何かしらの理由があるのだろう。
敵ではないのかも知れない。
なら、何なのだろう。
「お前が魔王様を作ったと言うのに、覚醒を妨げるとは!俺は何としてでも魔王様を呼び戻す。」
王女は叫び、アズールを睨む。
ルーンは腕を組んであきらめたかのようにため息をつく。
「悪かったわよ。とりあえず、王女の体から出てって。傷がつくと困るから。」
ルーンの手から出た、白銀の光が王女の体に巻き付き、ふわりと浮かび窓の外へ消えていった。
意識はない。
黒い影が、乗り移っていただけなのだろうか。
その証拠に、まだ、その場所には黒い影が存在していた。
「勇者、お前のせいだ。俺が実態のないまま、どれだけ魔王様を探したと思う?」
そうして、黒い影は男性の姿に実体化し、アズールの首元を掴む。そして、右手をかざし魔力を放つ。
「思い出せ。自分の罪を。そして、滅べ!」
ふわっと床に足がつくのを感じ、細めていた目を開くと煙が霧散して部屋の様子が見えてくる。
そこは魔法学院の一番上にある女神像のある部屋だった。
「戻ってきたのかな?ね、アズール。」
ほっと、胸をなでおろし話しかける。
「あ、あぁ。そうみたいだな。」
何故か、せっかく戻ってこれたというのにアズールは落ち込んで下を向いていた。
やはり王女様との面会を無視してしまった事を悩んでいるのだろうか。
エイルも悩んでいるが、アズールだって、王族として断ると国政の変化など色々と問題があるのかもしれない。
さっき、話しかけてくれた内容を聞きたかったが、今は話しかけない方が良いかと思い、そっとアズールから離れる。
そして、石を握りルーンに話しかける。
「ねえ。帰ってきたよ。これからどうすれば良いの?」
しかし、ルーンは忙しいのか石から返事がこない。
仕方がないので、今、出来る事を考える。
まずは自分の魔力が戻っているかを確認だ。
いつもなら無意識でも使えるのだが、今は集中をして魔法を生み出す。
すると、ふわっと炎が手のひらから現れた。
「アズール。火が使えるよ。」
簡単な火魔法で薄暗いフロアを明るく灯す。
遠くからでもアズールの顔がよく見えて、嬉しくて満面の笑みで手を降った。
「本当だ。良かったな。」
少し気分が浮上したらしく、アズールも軽く笑っている。
それに安心したエイルは、何時頃なのか気になり、窓に向かい暗くなっていた外を見る。
すると何か薄暗がりの中で動いているのが見えて目を凝らす。
魔法学院は正門の他に特別な来賓が通るための門があって、その特別な門に豪奢な馬車がとまっていた。
そこから、王女が降りていている。
絶対に、アズールに会わせちゃいけない!
直感だが、大変なことになる。
焦って、強く石を握りしめる。
「お願い、ルーン。何処にいるの?返事をして。」
何度も声をかけるが、まったく返事はない。
だから、気づかなかった。
アズールがエイルが戻ってこない事を不思議に思って、側に来ていた事に。
「エイル?何か見えるのか?」
窓からアズールが顔を出す。
「アズール!だめ!」
そう本能で叫んだ。
その時、窓がバンッと全開し渦巻いた風とともに黒い影をまとった女性が現れた。
「見つけた。勇者。」
そう言い放ち、こちらに歩いてくる。
エイルは臨戦態勢を整え、魔力をためる。
アズールに対して勇者とはどう言う事だろうか。
不思議に思うが、臨戦態勢は解除せず意識を集中する。
激しい頭痛がとまらないが、そんな事は言っていられない。
アズールは唖然としている。そして、つぶやいた。
「王女………?」
この人が、隣国の王女なのだろうか。
見た目は美しいが、態度が王女とは思えない。
それに、体に絡みついている悪意に満ちた黒い渦は何だろうか。
「魔王様を返せ。勇者。何度も許さない。」
体を覆う黒いものがアズールの方へ向かう。
だが、あともう少しという所で白銀の光がその黒を打ち消す。
打ち消した白銀の光が放たれた所を見ると、連絡がとれなくなっていたルーンがいた。
「ねぇ、だから誤解があるの。全ては私が良かれと思ってやったことなの。アズールは悪くない。ガゼル、説明を聞いて?」
ガゼルとは、その黒い影をまとった王女を言っているのだろうか。
異常な事態に混乱するが、ルーンがすぐに倒さないということは、何かしらの理由があるのだろう。
敵ではないのかも知れない。
なら、何なのだろう。
「お前が魔王様を作ったと言うのに、覚醒を妨げるとは!俺は何としてでも魔王様を呼び戻す。」
王女は叫び、アズールを睨む。
ルーンは腕を組んであきらめたかのようにため息をつく。
「悪かったわよ。とりあえず、王女の体から出てって。傷がつくと困るから。」
ルーンの手から出た、白銀の光が王女の体に巻き付き、ふわりと浮かび窓の外へ消えていった。
意識はない。
黒い影が、乗り移っていただけなのだろうか。
その証拠に、まだ、その場所には黒い影が存在していた。
「勇者、お前のせいだ。俺が実態のないまま、どれだけ魔王様を探したと思う?」
そうして、黒い影は男性の姿に実体化し、アズールの首元を掴む。そして、右手をかざし魔力を放つ。
「思い出せ。自分の罪を。そして、滅べ!」
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