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※脳裏に焼き付いた光景
マイヤは隣で眠る男の横顔を見つめていた。
彼女はレジナンドに挿入行為をされたくない一心で、自分が持ちうる手練手管を総動員して彼に性的な奉仕をした。それはもう、やりすぎるぐらいに。
女陰に雄を受け入れたら、自分はリュボフと同じになってしまう。そう思ったから。
マイヤはリュボフが犯していた不貞の場面を思い出しそうになり、瞼をぎゅっと瞑る。彼女はリュボフが部下の男と性交しているところを、目の当たりにしていた。
◆
※男同士の性描写あり(鬼畜副官攻め×メス堕ち司令官受け)
一月前。マイヤはリュボフが住む騎士団の寮の部屋を訪れていた。
リュボフは軍部の司令官。軍部内でも二位三位を争うほどの地位にあり、高給取りだ。寮を出て屋敷を構えることも許される立場にあったが、彼は『軍部は突発的な依頼が入ってくることも多い。司令官である私は詰所から離れることは出来ない』と言い、マイヤと婚約しても新居を探そうとはしなかった。
マイヤはそれを寂しく思っていたが、同時に仕方のないことだと受け入れていた。
軍部は主に戦の作戦を立てる部門。兵法に長けた騎士が多く在籍しており、特に戦歴をいくつも積み上げている軍部の騎士は『軍師』と呼ばれ、王立騎士団内でも一目置かれている。軍部の騎士の中には宿営から宿営へ渡り歩く者も多く、皆が皆、激務だった。それゆえに婚期を逃す者も多くいた。
リュボフも伯爵家の次男で王立騎士団軍部司令官というエリート職にあり、どこからどうみても優良物件だったが、軍部は他の部門や部隊と比べても男性比率がとても高い。
(リュボフ様は、出逢いが無くて婚期を逃してしまったと言っていたのに……)
マイヤは忌まわしい場面が脳裏に浮かび、下唇を噛んだ。
マイヤがリュボフの部屋の扉を開けた瞬間、何かが軋むようなギッギッという不自然な物音と、苦しげな声が耳に入った。
マイヤはその時点で、リュボフが不貞な行為を働いていると察した。彼女はとにかく男運の悪い人生を送ってきた。付き合っていた男が浮気をしている場面に出くわしてしまったことは、一度や二度ではない。
彼女はリュボフが必死で謝るのなら、一度ぐらいの不貞は許そうと思っていた。この国の性はここ十数年でとても緩やかになった。地位のあるリュボフなら、言いよる女がいてもおかしくない。
そう思い寝室を覗くと、信じられない光景が目に飛び込んできた。
『えっ……』
リュボフはテーブルの上でうつ伏せになっていた。上半身は灰色の騎士服を身につけているが、下半身は何も履いていない。引き締まった尻を丸出しにしていた。
そして、そんなリュボフの上に覆い被さる人物がいた。マイヤもよく知る人物だった。軍部司令官リュボフの副官、モーシュ。彼はズボンの前をくつろげ、ひたすらリュボフの尻に股間を打ちつけている。
白い尻たぶの間から、赤黒い陰茎が見え隠れしていた。
肌と肌とが打ちつけあう、ぱんぱんという乾いた音が寝室に響く。彼らは獣のような体勢で肛門性交をしていたのだ。
『おぅっ、おぁっ、おぉぉん、おっ』
断続的に低い呻き声を漏らすリュボフは苦しそうだが、股間にあるものは力なく頭をもたげ、亀頭の先からは薄い精液が滴っていた。
『リュボフさん、私のものをこんなに旨そうに頬張って……。フッ……相変わらず可愛いお方だ』
『おっおっ、も、モーシュのことがぁっ、すきだからぁん!』
『フフッ、マイヤさんが聞いたら悲しみますよ?』
『あ、あんな女、どうでもいい……っ! 私が愛してるのモーシュだけ……! あいつはただのお飾りだ……! おああぁぁっ!』
ぐちゅぐちゅ、ぱんぱんぱんぱん ……聞くに堪えない音が響く。リュボフの台詞でモーシュの何かに火がついたのか、腰の動きが早まった。凄まじい勢いでモーシュはリュボフの結腸を自身の雄で殴りつける。
『くそっ、可愛いことを仰って……! 腰が止まらない!』
『あぁぁんっっ! モーシュ好きっ! 好きっ! もっと私の結腸をがつがつ殴ってえっ!』
リュボフは部下の男と不貞を犯していた上に、尻穴を男根で抉られて悦ぶ生粋のゲイであった。
まだリュボフが尻穴を掘る側なら、なんとか許容出来たかもしれない。男所帯の王立騎士団内では、ごく当たり前に同性愛行為が行われていることはマイヤも知っている。彼女は王城で働く侍女。王城に常駐している近衛部隊や監査部の誰と誰が付き合っているなんて噂は、侍女の間で毎日のように流れているからだ。
リュボフから求婚された時、優良物件すぎる男なのに今まで未婚だったのは、男の恋人がいたのでは? とマイヤは考えたこともあった。しかし、安定した職を持った男と結婚し、幸せな家庭を築きたいと強く願っていた彼女は、リュボフの申し出を受け入れてしまった。
しかし、マイヤは今、リュボフに対して強い嫌悪感を持っている。部下と不貞行為をしているだけでも辛いのに、部下に尻穴を掘られて悦ぶ男なんて絶対に無理だ。そしてなにより、リュボフははっきりマイヤを『お飾り』の存在だと吐き捨てた。
「ふっ……うぅっっ……」
マイヤはシーツを掴み、声を殺して泣いた。何度も何度も頭に浮かぶ、忘れたくて仕方のない悪夢のような光景。早くリュボフと婚約破棄して楽になりたい。
浮気現場を目の当たりにしてしまったマイヤは、即座にリュボフに婚約破棄したいと詰め寄ったが、彼は取り合わなかった。『両親にも紹介してしまったのに、今更婚約破棄など出来ない。どうしても婚約破棄したいのなら、違約金を払え』と冷たく吐き捨てられてしまった。
マイヤはどうしてもリュボフと結婚したくなかった。彼と婚約破棄するためなら、手段など選んでいられない。
彼女は決死の覚悟で特務部隊の戸を叩いていた。
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