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第13話 失われた村
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森の奥から響く鳥のさえずりが、アイリスの心に久しぶりの懐かしさを運んでくる。
王都での追跡を振り切った一行は、三日間の隠れ行を経て、ついにアーク村の境界線に足を踏み入れていた。足元の土は記憶よりもやわらかく、靴底に故郷特有のしっとりとした感触が蘇る。
「久しぶりだな、この景色」
ジークが遠くを見渡しながらつぶやく。彼の横顔には、リオと共に過ごした日々への郷愁が浮かんでいる。
「兄さんとよく来たんですか?」
アイリスの問いかけに、ジークは小さく微笑んだ。
「ああ。リオはよく村の子供たちに魔法を見せてやっていた。あいつは本当に子供好きだったからな」
レイナは興味深そうに村の入り口を眺めている。
「噂には聞いていましたが、実際に見ると本当に普通の村ですね。観測者が生まれた場所とは思えないほど平穏で」
「それがアーク村の良いところなんです」
アイリスは胸を張って答える。故郷への愛情が、言葉の端々に滲み出ていた。
「みんな優しくて、私みたいな変わった子でも温かく受け入れてくれました」
バルドは警戒の目で周囲を見回している。
「しかし用心は必要だ。我々を追って来た可能性もある」
クラティアが静かに首を振る。
「その心配はありません。ここまで来れば王国の追跡も及ばない。それより気になることが」
彼女の視線の先で、村の煙突から立ち上る煙が妙にゆらめいていた。まるで時間の流れが不規則になっているかのように。
「何か...おかしいですね」
アイリスの直感が、微細な異変を捉えていた。
空気に漂う匂いも、記憶の中の村のそれとは微妙に違っている。草の匂いに混じって、どこか人工的な、金属のような香りが鼻を刺す。
「一度村長の家を訪ねてみましょう」
アイリスの提案に、一同は頷いた。
村の中央へ向かう石畳の道は、足音を妙にくぐもらせる。いつもなら村人たちの笑い声や、子供たちの遊ぶ声が聞こえてくる時間帯なのに、今日は不思議なほど静かだった。
「おかしいな...」
ジークが眉をひそめる。
「確か今頃の時間なら、市場が開いているはずなんだが」
アイリスも首をかしげる。幼い頃から慣れ親しんだ村の日常が、何かズレているような感覚があった。
やがて村長の家が見えてくる。石造りの温かな建物は変わらずそこにあったが、窓から漏れる光がちらちらと明滅している。
「村長さん、いらっしゃいますか?」
アイリスが扉を叩くと、しばらくして慣れ親しんだ声が返ってきた。
「おお、これはアイリスじゃないか。よく帰ってきたね」
扉が開き、村長が顔を出す。しかし彼の表情は、どこかぼんやりとしていた。
「お久しぶりです、村長さん。お元気でしたか?」
「ああ、元気だとも。ところで...君は確か、どちらさんだったかな?」
アイリスは困惑した。村長とは幼い頃からの知り合いのはずなのに。
「アイリスです。アイリス・ノルヴェイン。リオの妹の」
「リオ?リオとは誰だね?」
その言葉に、一同は凍りついた。
ジークが前に出る。
「村長さん、私はジーク・ヴァルドナインです。リオの友人で、何度もこの村を訪れている」
「ジーク...?すまないが、記憶にないな」
村長の目は優しいままだったが、そこには確かに困惑の色があった。
まるで大切な何かが、きれいに抜け落ちてしまったかのように。
* * *
村長との奇妙な会話を終えた一行は、村の中を歩きながら調査を続けていた。
「他の村人たちも同じ状態かもしれません」
レイナが懸念を口にする。
「記憶の選択的な欠落...これは自然現象ではありませんね」
アイリスは幼馴染のエルナの家を訪ねてみることにした。小さな花屋を営む彼女なら、何か手がかりが得られるかもしれない。
花屋の軒先には、いつものように色とりどりの花が並んでいる。しかし花の香りに混じって、またあの金属的な匂いがした。
「エルナ?」
アイリスが声をかけると、店の奥から親友の顔が現れる。
「あら、いらっしゃいませ。何かお探しの花はありますか?」
エルナの声は相変わらず明るかったが、アイリスを見る目に親しみがない。
「エルナ、私よ。アイリス」
「アイリス...?申し訳ありませんが、お客様のことは存じ上げません」
アイリスの胸に、冷たいものが走った。
親友が、自分のことを覚えていない。
「でも、私たち子供の頃からの友達で...一緒にお花を摘んだり、川で遊んだり」
エルナは困った顔をする。
「すみません、本当に覚えがないんです。でも、なぜか懐かしいような気がして...」
その時、エルナの目がふっと曇った。まるで霧がかかったように。
「あれ?今、何の話をしていましたっけ?」
記憶が混濁している。まるで大切な何かを思い出そうとするたびに、それが霧の中に消えてしまうかのように。
バルドが警戒の色を強める。
「これは何かの魔法的な干渉だ。記憶を操作している存在がいる」
クラティアが頷く。
「恐らく時空の歪みが関係しています。この村の時間軸に、何者かが干渉を行っている」
アイリスは拳を握りしめる。故郷の人々が、自分の存在そのものを忘れてしまっている。兄のことも、共に過ごした日々も。
「どうして...どうしてみんな忘れてしまうんですか?」
ジークがアイリスの肩に優しく手を置く。その手の温もりが、彼女の心に小さな安らぎをもたらした。
「大丈夫だ。必ず原因を突き止めて、みんなの記憶を取り戻そう」
レイナも頷く。
「私の魔導技術で、記憶の痕跡を辿ることができるかもしれません」
一行は村の中央広場に向かった。そこは村人たちが集まる場所で、何か手がかりが見つかるかもしれない。
広場に着くと、数人の村人が談笑していた。しかし彼らの会話を聞いて、アイリスは愕然とする。
「最近、妙な夢を見るんだ」
一人の村人が言う。
「懐かしい誰かと過ごした夢なんだが、起きると思い出せない」
「ああ、私もです」
別の村人が相槌を打つ。
「とても大切な人だった気がするのに、顔も名前も思い出せなくて」
アイリスの目に涙が浮かぶ。
みんな覚えているのに、覚えていない。記憶の奥底には確かに残っているのに、それを表面に呼び起こすことができずにいる。
その時、風が吹いた。
普通の風ではない。時空の歪みを含んだ、異質な風。
広場の中央で、空気がゆらめき始める。
「何だ、あれは...?」
バルドが警戒態勢を取る。
空中に、淡い光の映像が浮かび上がった。
それは過去の記憶の断片だった。
アイリスが子供の頃、この広場で兄と遊んでいる光景。村人たちに囲まれて、楽しそうに笑っている姿。
「あの子は...」
村人の一人がつぶやく。
「見覚えがあるような...」
映像の中で、幼いアイリスがエルナと手をつないで走り回っている。リオが優しく見守っている。
村人たちの表情が、困惑から驚きへと変わった。
「思い出した...!あの子はアイリスちゃんじゃないか!」
「リオさんの妹の!」
次々と記憶が蘇っていく。しかし映像が消えると、再び彼らの目は曇った。
「あれ?今、何を見ていたんだっけ?」
記憶の修復は一時的なものに過ぎなかった。
クラティアが深刻な表情で状況を分析する。
「記憶は残っています。しかし何かがそれを封じている。まるで意図的に」
アイリスの胸に、ある予感が芽生えた。
これは偶然の現象ではない。誰かが、何かの目的で村人たちの記憶を操作している。
そしてその目的は、きっと自分に関係している。
* * *
レイナが魔導陣を展開する。複雑な幾何学模様が空中に描かれ、青白い光を放っている。
「記憶痕跡探査術...これで記憶の封印がどこから来ているか分かるはずです」
術が発動すると、村全体を覆うように薄い光の網が張り巡らされた。
「見えました!」
レイナが指差す方向を見ると、村の北端にある小さな丘の上で、光が強く脈動している。
「あそこが震源地ですね。何かの魔導装置が働いている」
ジークが眉をひそめる。
「あの丘には確か...古い石碑があったな」
アイリスも思い出す。
「兄さんがよく一人で行っていた場所です。何をしていたのかは分からなかったけれど」
バルドが警戒しながら提案する。
「すぐに調査に向かおう。村人たちの記憶が完全に消えてしまう前に」
一行は丘へ向かった。登り道の石段は、足音を妙にくぐもらせる。まるで時間そのものが重くなっているかのように。
丘の頂上に着くと、古い石碑の前に見慣れない装置が設置されていた。
水晶と金属を組み合わせた複雑な構造で、規則正しく脈動している。そこから発せられる波動が、村全体の記憶に干渉していることは明らかだった。
「これは...フォルクスの技術ですね」
クラティアが装置を調べながら言う。
「記憶選択的封印装置。特定の人物に関する記憶だけを一時的に封じる」
アイリスが近づくと、装置の表面に文字が浮かび上がった。
『観測者アイリス・ノルヴェイン及び関係者の記憶を封印する。村人の安全のため』
「フォルクスが...私のために?」
アイリスは困惑する。なぜ彼が村人たちの記憶を封じる必要があったのか。
その時、石碑の裏から別の装置が見つかった。こちらは記録装置のようで、触れると映像が再生される。
映像に映っているのは、数日前のフォルクスだった。
『アイリス、もしこの記録を見ているなら、君は無事に故郷に帰ってこれたということだろう』
映像の中のフォルクスは、いつもの冷徹さがない。むしろ、どこか疲れ果てたような表情をしている。
『私は君の村の人々の記憶を封じた。なぜなら、君の力が覚醒する時、関係者の記憶が危険にさらされる可能性があるからだ』
アイリスは息を呑む。
『過去の観測者たちの中には、力の暴走によって周囲の人々の記憶を破壊してしまった者もいる。君にはそんな思いをしてほしくない』
映像は続く。
『この装置は一時的なものだ。君が真の制御を身につけた時、自然に解除される。それまでの間、村人たちは君のことを忘れているが、心の奥底では愛情を持ち続けている』
フォルクスの表情に、かすかな優しさが浮かんでいる。
『君の兄リオからの伝言もある。彼は最期まで、君と故郷を愛していた』
映像が切り替わり、今度はリオの姿が現れる。
『アイリス、もし君がこれを見ているなら、僕はもうこの世にいないだろう。でも心配しないで。君はきっと、僕たちが守りたかったものを守ってくれる』
兄の声に、アイリスの目から涙があふれ出る。
『君の力は、決して呪いなんかじゃない。それは世界を守るための贈り物だ。そして君には、その力を正しく使う心がある』
リオの映像が微笑む。
『村のみんなを忘れないで。たとえ一時的に記憶が封じられても、愛情は永遠に残っている。君が成長した時、きっとその愛情が君を支えてくれるから』
映像が終わると、装置から温かい光が立ち上った。
アイリスが装置に手を触れると、彼女の観測者能力が反応する。
装置の封印が、ゆっくりと解け始めた。
村全体に、記憶を解放する波動が広がっていく。
「みんな...思い出して」
アイリスの願いを込めた声が、風に乗って村中に響いた。
数分後、村の方から歓声が聞こえてきた。
「アイリスちゃんが帰ってきた!」
「リオさんの妹が!」
記憶が戻った村人たちが、丘を見上げて手を振っている。
アイリスの心に、温かいものが広がった。
愛情は確かに残っていた。一時的に封じられても、消えることはなかった。
* * *
夕日が村を優しく照らす中、アイリスたちは村の中央広場に戻っていた。
記憶を取り戻した村人たちが、次々と駆け寄ってくる。
「アイリスちゃん、大きくなったねえ」
「リオさんのこと、本当に残念だったよ」
「でも君が元気に育っててくれて、リオさんもきっと安心してる」
温かい言葉の数々に、アイリスの心は満たされていく。
エルナも思い出していた。
「ごめんなさい、アイリス。なぜかあなたのことを忘れてしまって」
「大丈夫よ、エルナ。誰のせいでもないから」
アイリスは親友を抱きしめる。久しぶりの温もりが、胸の奥まで染み渡った。
村長も駆けつけてくる。
「アイリス、本当にすまなかった。君のことを忘れるなんて」
「村長さんも悪くありません。でも、もう大丈夫です」
ジークが感慨深げにつぶやく。
「リオが守りたかったのは、この温かさだったんだな」
レイナも頷く。
「記憶は一時的に封じられても、愛情の絆は切れないんですね。素晴らしいことです」
バルドも硬い表情を崩している。
「家族というものは、こういうものか」
クラティアが静かに微笑む。
「フォルクスも、本当は村人たちの愛情を理解していたのでしょう。だからこそ、それを守ろうとした」
アイリスは夕空を見上げる。オレンジ色に染まった雲の向こうに、兄の顔が見えるような気がした。
「兄さん、私、分かりました」
胸の奥から、確かな決意が湧き上がってくる。
「私の力は、確かに危険なものかもしれません。でも、それは使い方次第です」
村人たちが静かに耳を傾けている。
「私は観測者として、この世界を守りたい。兄さんが愛したこの村を、みんなの笑顔を、温かい日常を」
アイリスの声に、確固たる意志が込められている。
「そのためなら、どんな困難にも立ち向かいます。フォルクスさんとも、必ず分かり合えるはずです」
ジークが感動している。
「アイリス...君は本当に強くなったな」
「一人じゃありません」
アイリスは仲間たちを見回す。
「みんながいてくれるから、私は強くいられるんです」
レイナが研究者らしい視点で付け加える。
「記憶の修復過程で分かったことがあります。アイリスさんの観測者能力は、愛情の絆がある場所でより安定するんです」
バルドも同意する。
「確かに。村での能力発動は、これまでで最も穏やかだった」
クラティアが重要な示唆をする。
「つまり、孤立ではなく繋がりが、観測者の力を正しい方向に導くということですね」
アイリスは深く頷く。
「はい。私はもう、一人で戦おうとは思いません」
村人たちの温かい眼差しが、彼女を包んでいる。
「みんなの愛情を胸に、仲間と共に進んでいきます」
夜が降り始める中、村の明かりが一つ一つ灯っていく。
その光は、アイリスの心の中でも、新たな希望として燃え始めていた。
明日からは、より大きな困難が待っているかもしれない。
でも今夜は、故郷の温もりに包まれて、静かに力を蓄えよう。
愛する人々を守るために。
そして、真の観測者として成長するために。
アイリスの決意は、夜空の星のように、静かに、しかし確実に輝いていた。
王都での追跡を振り切った一行は、三日間の隠れ行を経て、ついにアーク村の境界線に足を踏み入れていた。足元の土は記憶よりもやわらかく、靴底に故郷特有のしっとりとした感触が蘇る。
「久しぶりだな、この景色」
ジークが遠くを見渡しながらつぶやく。彼の横顔には、リオと共に過ごした日々への郷愁が浮かんでいる。
「兄さんとよく来たんですか?」
アイリスの問いかけに、ジークは小さく微笑んだ。
「ああ。リオはよく村の子供たちに魔法を見せてやっていた。あいつは本当に子供好きだったからな」
レイナは興味深そうに村の入り口を眺めている。
「噂には聞いていましたが、実際に見ると本当に普通の村ですね。観測者が生まれた場所とは思えないほど平穏で」
「それがアーク村の良いところなんです」
アイリスは胸を張って答える。故郷への愛情が、言葉の端々に滲み出ていた。
「みんな優しくて、私みたいな変わった子でも温かく受け入れてくれました」
バルドは警戒の目で周囲を見回している。
「しかし用心は必要だ。我々を追って来た可能性もある」
クラティアが静かに首を振る。
「その心配はありません。ここまで来れば王国の追跡も及ばない。それより気になることが」
彼女の視線の先で、村の煙突から立ち上る煙が妙にゆらめいていた。まるで時間の流れが不規則になっているかのように。
「何か...おかしいですね」
アイリスの直感が、微細な異変を捉えていた。
空気に漂う匂いも、記憶の中の村のそれとは微妙に違っている。草の匂いに混じって、どこか人工的な、金属のような香りが鼻を刺す。
「一度村長の家を訪ねてみましょう」
アイリスの提案に、一同は頷いた。
村の中央へ向かう石畳の道は、足音を妙にくぐもらせる。いつもなら村人たちの笑い声や、子供たちの遊ぶ声が聞こえてくる時間帯なのに、今日は不思議なほど静かだった。
「おかしいな...」
ジークが眉をひそめる。
「確か今頃の時間なら、市場が開いているはずなんだが」
アイリスも首をかしげる。幼い頃から慣れ親しんだ村の日常が、何かズレているような感覚があった。
やがて村長の家が見えてくる。石造りの温かな建物は変わらずそこにあったが、窓から漏れる光がちらちらと明滅している。
「村長さん、いらっしゃいますか?」
アイリスが扉を叩くと、しばらくして慣れ親しんだ声が返ってきた。
「おお、これはアイリスじゃないか。よく帰ってきたね」
扉が開き、村長が顔を出す。しかし彼の表情は、どこかぼんやりとしていた。
「お久しぶりです、村長さん。お元気でしたか?」
「ああ、元気だとも。ところで...君は確か、どちらさんだったかな?」
アイリスは困惑した。村長とは幼い頃からの知り合いのはずなのに。
「アイリスです。アイリス・ノルヴェイン。リオの妹の」
「リオ?リオとは誰だね?」
その言葉に、一同は凍りついた。
ジークが前に出る。
「村長さん、私はジーク・ヴァルドナインです。リオの友人で、何度もこの村を訪れている」
「ジーク...?すまないが、記憶にないな」
村長の目は優しいままだったが、そこには確かに困惑の色があった。
まるで大切な何かが、きれいに抜け落ちてしまったかのように。
* * *
村長との奇妙な会話を終えた一行は、村の中を歩きながら調査を続けていた。
「他の村人たちも同じ状態かもしれません」
レイナが懸念を口にする。
「記憶の選択的な欠落...これは自然現象ではありませんね」
アイリスは幼馴染のエルナの家を訪ねてみることにした。小さな花屋を営む彼女なら、何か手がかりが得られるかもしれない。
花屋の軒先には、いつものように色とりどりの花が並んでいる。しかし花の香りに混じって、またあの金属的な匂いがした。
「エルナ?」
アイリスが声をかけると、店の奥から親友の顔が現れる。
「あら、いらっしゃいませ。何かお探しの花はありますか?」
エルナの声は相変わらず明るかったが、アイリスを見る目に親しみがない。
「エルナ、私よ。アイリス」
「アイリス...?申し訳ありませんが、お客様のことは存じ上げません」
アイリスの胸に、冷たいものが走った。
親友が、自分のことを覚えていない。
「でも、私たち子供の頃からの友達で...一緒にお花を摘んだり、川で遊んだり」
エルナは困った顔をする。
「すみません、本当に覚えがないんです。でも、なぜか懐かしいような気がして...」
その時、エルナの目がふっと曇った。まるで霧がかかったように。
「あれ?今、何の話をしていましたっけ?」
記憶が混濁している。まるで大切な何かを思い出そうとするたびに、それが霧の中に消えてしまうかのように。
バルドが警戒の色を強める。
「これは何かの魔法的な干渉だ。記憶を操作している存在がいる」
クラティアが頷く。
「恐らく時空の歪みが関係しています。この村の時間軸に、何者かが干渉を行っている」
アイリスは拳を握りしめる。故郷の人々が、自分の存在そのものを忘れてしまっている。兄のことも、共に過ごした日々も。
「どうして...どうしてみんな忘れてしまうんですか?」
ジークがアイリスの肩に優しく手を置く。その手の温もりが、彼女の心に小さな安らぎをもたらした。
「大丈夫だ。必ず原因を突き止めて、みんなの記憶を取り戻そう」
レイナも頷く。
「私の魔導技術で、記憶の痕跡を辿ることができるかもしれません」
一行は村の中央広場に向かった。そこは村人たちが集まる場所で、何か手がかりが見つかるかもしれない。
広場に着くと、数人の村人が談笑していた。しかし彼らの会話を聞いて、アイリスは愕然とする。
「最近、妙な夢を見るんだ」
一人の村人が言う。
「懐かしい誰かと過ごした夢なんだが、起きると思い出せない」
「ああ、私もです」
別の村人が相槌を打つ。
「とても大切な人だった気がするのに、顔も名前も思い出せなくて」
アイリスの目に涙が浮かぶ。
みんな覚えているのに、覚えていない。記憶の奥底には確かに残っているのに、それを表面に呼び起こすことができずにいる。
その時、風が吹いた。
普通の風ではない。時空の歪みを含んだ、異質な風。
広場の中央で、空気がゆらめき始める。
「何だ、あれは...?」
バルドが警戒態勢を取る。
空中に、淡い光の映像が浮かび上がった。
それは過去の記憶の断片だった。
アイリスが子供の頃、この広場で兄と遊んでいる光景。村人たちに囲まれて、楽しそうに笑っている姿。
「あの子は...」
村人の一人がつぶやく。
「見覚えがあるような...」
映像の中で、幼いアイリスがエルナと手をつないで走り回っている。リオが優しく見守っている。
村人たちの表情が、困惑から驚きへと変わった。
「思い出した...!あの子はアイリスちゃんじゃないか!」
「リオさんの妹の!」
次々と記憶が蘇っていく。しかし映像が消えると、再び彼らの目は曇った。
「あれ?今、何を見ていたんだっけ?」
記憶の修復は一時的なものに過ぎなかった。
クラティアが深刻な表情で状況を分析する。
「記憶は残っています。しかし何かがそれを封じている。まるで意図的に」
アイリスの胸に、ある予感が芽生えた。
これは偶然の現象ではない。誰かが、何かの目的で村人たちの記憶を操作している。
そしてその目的は、きっと自分に関係している。
* * *
レイナが魔導陣を展開する。複雑な幾何学模様が空中に描かれ、青白い光を放っている。
「記憶痕跡探査術...これで記憶の封印がどこから来ているか分かるはずです」
術が発動すると、村全体を覆うように薄い光の網が張り巡らされた。
「見えました!」
レイナが指差す方向を見ると、村の北端にある小さな丘の上で、光が強く脈動している。
「あそこが震源地ですね。何かの魔導装置が働いている」
ジークが眉をひそめる。
「あの丘には確か...古い石碑があったな」
アイリスも思い出す。
「兄さんがよく一人で行っていた場所です。何をしていたのかは分からなかったけれど」
バルドが警戒しながら提案する。
「すぐに調査に向かおう。村人たちの記憶が完全に消えてしまう前に」
一行は丘へ向かった。登り道の石段は、足音を妙にくぐもらせる。まるで時間そのものが重くなっているかのように。
丘の頂上に着くと、古い石碑の前に見慣れない装置が設置されていた。
水晶と金属を組み合わせた複雑な構造で、規則正しく脈動している。そこから発せられる波動が、村全体の記憶に干渉していることは明らかだった。
「これは...フォルクスの技術ですね」
クラティアが装置を調べながら言う。
「記憶選択的封印装置。特定の人物に関する記憶だけを一時的に封じる」
アイリスが近づくと、装置の表面に文字が浮かび上がった。
『観測者アイリス・ノルヴェイン及び関係者の記憶を封印する。村人の安全のため』
「フォルクスが...私のために?」
アイリスは困惑する。なぜ彼が村人たちの記憶を封じる必要があったのか。
その時、石碑の裏から別の装置が見つかった。こちらは記録装置のようで、触れると映像が再生される。
映像に映っているのは、数日前のフォルクスだった。
『アイリス、もしこの記録を見ているなら、君は無事に故郷に帰ってこれたということだろう』
映像の中のフォルクスは、いつもの冷徹さがない。むしろ、どこか疲れ果てたような表情をしている。
『私は君の村の人々の記憶を封じた。なぜなら、君の力が覚醒する時、関係者の記憶が危険にさらされる可能性があるからだ』
アイリスは息を呑む。
『過去の観測者たちの中には、力の暴走によって周囲の人々の記憶を破壊してしまった者もいる。君にはそんな思いをしてほしくない』
映像は続く。
『この装置は一時的なものだ。君が真の制御を身につけた時、自然に解除される。それまでの間、村人たちは君のことを忘れているが、心の奥底では愛情を持ち続けている』
フォルクスの表情に、かすかな優しさが浮かんでいる。
『君の兄リオからの伝言もある。彼は最期まで、君と故郷を愛していた』
映像が切り替わり、今度はリオの姿が現れる。
『アイリス、もし君がこれを見ているなら、僕はもうこの世にいないだろう。でも心配しないで。君はきっと、僕たちが守りたかったものを守ってくれる』
兄の声に、アイリスの目から涙があふれ出る。
『君の力は、決して呪いなんかじゃない。それは世界を守るための贈り物だ。そして君には、その力を正しく使う心がある』
リオの映像が微笑む。
『村のみんなを忘れないで。たとえ一時的に記憶が封じられても、愛情は永遠に残っている。君が成長した時、きっとその愛情が君を支えてくれるから』
映像が終わると、装置から温かい光が立ち上った。
アイリスが装置に手を触れると、彼女の観測者能力が反応する。
装置の封印が、ゆっくりと解け始めた。
村全体に、記憶を解放する波動が広がっていく。
「みんな...思い出して」
アイリスの願いを込めた声が、風に乗って村中に響いた。
数分後、村の方から歓声が聞こえてきた。
「アイリスちゃんが帰ってきた!」
「リオさんの妹が!」
記憶が戻った村人たちが、丘を見上げて手を振っている。
アイリスの心に、温かいものが広がった。
愛情は確かに残っていた。一時的に封じられても、消えることはなかった。
* * *
夕日が村を優しく照らす中、アイリスたちは村の中央広場に戻っていた。
記憶を取り戻した村人たちが、次々と駆け寄ってくる。
「アイリスちゃん、大きくなったねえ」
「リオさんのこと、本当に残念だったよ」
「でも君が元気に育っててくれて、リオさんもきっと安心してる」
温かい言葉の数々に、アイリスの心は満たされていく。
エルナも思い出していた。
「ごめんなさい、アイリス。なぜかあなたのことを忘れてしまって」
「大丈夫よ、エルナ。誰のせいでもないから」
アイリスは親友を抱きしめる。久しぶりの温もりが、胸の奥まで染み渡った。
村長も駆けつけてくる。
「アイリス、本当にすまなかった。君のことを忘れるなんて」
「村長さんも悪くありません。でも、もう大丈夫です」
ジークが感慨深げにつぶやく。
「リオが守りたかったのは、この温かさだったんだな」
レイナも頷く。
「記憶は一時的に封じられても、愛情の絆は切れないんですね。素晴らしいことです」
バルドも硬い表情を崩している。
「家族というものは、こういうものか」
クラティアが静かに微笑む。
「フォルクスも、本当は村人たちの愛情を理解していたのでしょう。だからこそ、それを守ろうとした」
アイリスは夕空を見上げる。オレンジ色に染まった雲の向こうに、兄の顔が見えるような気がした。
「兄さん、私、分かりました」
胸の奥から、確かな決意が湧き上がってくる。
「私の力は、確かに危険なものかもしれません。でも、それは使い方次第です」
村人たちが静かに耳を傾けている。
「私は観測者として、この世界を守りたい。兄さんが愛したこの村を、みんなの笑顔を、温かい日常を」
アイリスの声に、確固たる意志が込められている。
「そのためなら、どんな困難にも立ち向かいます。フォルクスさんとも、必ず分かり合えるはずです」
ジークが感動している。
「アイリス...君は本当に強くなったな」
「一人じゃありません」
アイリスは仲間たちを見回す。
「みんながいてくれるから、私は強くいられるんです」
レイナが研究者らしい視点で付け加える。
「記憶の修復過程で分かったことがあります。アイリスさんの観測者能力は、愛情の絆がある場所でより安定するんです」
バルドも同意する。
「確かに。村での能力発動は、これまでで最も穏やかだった」
クラティアが重要な示唆をする。
「つまり、孤立ではなく繋がりが、観測者の力を正しい方向に導くということですね」
アイリスは深く頷く。
「はい。私はもう、一人で戦おうとは思いません」
村人たちの温かい眼差しが、彼女を包んでいる。
「みんなの愛情を胸に、仲間と共に進んでいきます」
夜が降り始める中、村の明かりが一つ一つ灯っていく。
その光は、アイリスの心の中でも、新たな希望として燃え始めていた。
明日からは、より大きな困難が待っているかもしれない。
でも今夜は、故郷の温もりに包まれて、静かに力を蓄えよう。
愛する人々を守るために。
そして、真の観測者として成長するために。
アイリスの決意は、夜空の星のように、静かに、しかし確実に輝いていた。
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これは、狭い世界に囚われ、逃げ続けていた内気な貴族令嬢が、あるきっかけで時間が巻き戻り、幼い頃へ戻った。彼女は逃げるように、過去とは異なる道を選び、また周囲に押されながら、徐々に世界が広がり、少しずつ強くなり、前を向いて歩み始める物語である。
PS:
伝統的な令嬢物語ではないと思います。重要なのは「やり直し」ではなく、「箱の外」での出来事。
主人公が死ぬ前は主に引きこもりだったため、身の回りに影響する事件以外、本の知識しかなく、何も知らなかった。それに、今回転移された異世界人のせいで、多くの人の運命が変えられてしまい、元の世界線とは大きく異なっている。
薬師、冒険者、店長、研究者、作家、文官、王宮魔術師、騎士団員、アカデミーの教師などなど、未定ではあるが、彼女には様々なことを経験させたい。
※この作品は長編小説として構想しています。
前半では、主人公は内気で自信がなく、優柔不断な性格のため、つい言葉を口にするよりも、心の中で活発に思考を巡らせ、物事をあれこれ考えすぎてしまいます。その結果、狭い視野の中で悪い方向にばかり想像し、自分を責めてしまうことも多く、非常に扱いにくく、人から好かれ難いキャラクターだと感じられるかもしれません。
拙い文章ではございますが、彼女がどのように変わり、強くなっていくのか、その成長していく姿を詳細に描いていきたいと思っています。どうか、温かく見守っていただければ嬉しいです。
※リアルの都合で、不定期更新になります。基本的には毎週日曜に1話更新予定。
作品の続きにご興味をお持ちいただけましたら、『お気に入り』に追加していただけると嬉しいです。
※本作には一部残酷な描写が含まれています。また、恋愛要素は物語の後半から展開する予定です。
※この物語の舞台となる世界や国はすべて架空のものであり、登場する団体や人物もすべてフィクションです。
※同時掲載:小説家になろう、アルファポリス、カクヨム
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