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リヤム村

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口ヴィレッジ=リヤム

「ほんとに、人間なんかに、まかして良かったのかの」
「わしは、まだ、人間をリーダにするとは決めとらん」
アジトの中は物が散乱して、風化している。
母屋の中、窓からの光で影ができる中、手がかりを捜索する。3人。
止まった置き時計のホコリを払いながら、ドワーフはつぶやく。
「何年くらい、時がたっているんじゃろう」
「ほれっ」
時計を人間に投げる、ドワーフ。
「おっと」
時計をキャッチすると、人間は顔をしかめる。
「うーん、3年くらいかなぁ」
眉間を、広げるエルフ。
「今回は、出来がいいみたいね」
とつぶやくと、見つけた置き手紙を、みなに知らせる。
「なになに」
「ふーむ。読んでくれ」
エンシェント語(古代語)で書かれた、文面を読み上げる。エルフ。
「ゴブリンの野生化、世界に変調がくる予兆。レト。」
「なんじゃと、ゴブリンはもともと野生じゃ」
「おかしな事を」
本棚の影ができる中、顔を見合わす、3人。
コトリと何かの音がする。
「ちょっと静かにして」
エルフに静止させられる2人。
再び、コトリと音がする。
床に何かが転がる。
人間は気づいて言う。
「ドングリ?」
窓の割れ目から、ドングリを誰かが投げ入れている。
窓から、そうっと見る3人。
そこには、ゴブリンの子供が。
「子ゴブリン!」
人間「うわっなんだあれ!」
屋敷を出る人間。
遅れて、出るドワーフとエルフ。
「ちょっと、待て、まだ子供じゃぞ」
「こいつが、ゴブリンか」
そこには、小鬼と人間の子供のハーフに見える怪物が。
歯は飛び出し、むき出しにしている。体は小刻みに震えている。
「事件の仕業は、野生のゴブリンのせいじゃないか!」
剣を抜く人間。
エルフは呪文を唱える。
「風の精、シルフよ、木をつつみたまえ」
離れの横にある、ドングリの木を、風の精霊、シルフの風が覆う。
「ゴブッ?」
ドングリの実で辺りは、たちまちいっぱいになる。
子ゴブリン。
「ゴブゥ、ゴブ、ゴブ」
喜ぶ、子ゴブリン。
あきれる、人間。剣をしまうと。
「よし、ボアーミートでもやってみるか」
エルフが叫ぶ。
「あっ、危ない」
「シギャー、ゴブウ」
影が疾風のごとく動く。
人間の腕が持って行かれる。右腕が血みどろになる人間。
痛みをこらえて見ると、親ゴブリンの集団が。
「どうするんだ!」
叫ぶ人間。
「どうするんじゃ?」
と、ドワーフ。
人間「いてぇー。やられたー」
走り去る人間。
ドワーフ「逃げたか」
話しているうちに、近寄ってくるゴブリン達。
エルフが呪文を唱え始める。
エルフ「少し、マナがたりないわ」
ドワーフ「ドグされがー」
風が強くなる。
人間帰ってくる。
人間「エルフー、これを」
ホーリークリスタルを、エルフに放り投げる人間。
エルフ「OK」
エルフが再度、呪文を唱え始める。
「天空の神、うちなる精霊。風の精、シルフよ、竜巻を起こしたまえ」
空を流れる雲の動きが速くなり、空に灰色の幕が広がっていく。
ポツリと雨粒が、人間にあたる。
「雨」
雷音が響き、音は次第に近くなっていく。
爆音とともに、豪雨に。
かさなり合う、風は、豪風へとなり、螺旋は渦高く昇る。
「ツイスター」
2、3匹のゴブリンが螺旋の渦に巻き込まれて飛んでいく。
「ゴブ、ゴブゴブ、ゴブウ」
慌てて、逃げ出す、ゴブリン達。
エルフは言う。
「私たちも、いったん引きましょう」
人間を仰視するドワーフ。
ドワーフ「それにしても、変わった人間もいるもんじゃ」
 「あんたは、面白い」
去る三人。
人間「イテテ」



リアム村。デグ爺宅。
「そうか、そんなことがありましたか」
いきりたつ人間。
「あんた、何か知ってんだろ!」
「暴力を振るわれてはいかん、これから話をしようと」
頷く、ドワーフとエルフ。
「いまから、50年程昔、ある時、怪我をしているうゴブリンの手当をしたことがあったのですじゃ」
「傷の良くなった、ゴブリンは、なんか知らんが懐いてしまっての」
「村人もおらず、開拓していた私は、作物作りを手伝わせておったんですじゃ」
驚く、ドワーフ。
「なんじゃと、野生のゴブリンが作物作りを?!」
デグ爺いわく
「それが、なかなか良い、作物をつくるんですのじゃ」
「ふーむ。変わった話もあるもんじゃ」
人間怒る。
「なんだ、詐欺じゃないか!どうして、冒険にでる前に教えてくれなかったんだ」
デグ爺
「それが、村が開拓されてきて、若者が移住してくるようになっての、追い出してしまったんじゃ」
人間
「ゴブリンを?」
ドワーフ
「ふーむ。話はだいたいわかったような、わからんような。では、あんたはわしらにゴブリンを殺させ。死人に口なしにしようと考えたわけじゃな」
口ごもったデグ爺の所に、子供が駆け寄って来る。
「じいちゃん」
「○○」
3人は顔を見合わせる。
「うーむ」

ミッションクリア。
成功報酬1000Gとワイン10本。

END.


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