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#005
俺の妹
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あの話し合いから休みを挟んで一週間程が経った。俺たちの方はさっぱりだがユウキの方はかなり大胆に行動し始めたようで、今まではバレる危険性を鑑みてKを殺すのにかなりのマージンを取っていたのだが、いよいよそうも言っていられない状況になって一週間に数人の自殺死体が校内で発見されるようになっていた。この調子でいけば廊下に張り出される校内新聞は鬼籍のようになるだろうな。
警察はと言えば捜査のかたちをとってはいるものの、やはり内部にKがいるのか「自殺」という風に事を片付けているようだった。ただ、前までとは違う点が一つある。
今まではそんな都市伝説じみた存在など学生の冗談だと気にもしていなかったはずなのに、今日廊下で一人一人に行われた聴き込み調査ではやけに「学校の悪魔」について尋ねていた。
「……大丈夫かなぁ星ヶ丘さん」
これはおそらくあいつ自身も予想していた事態だろう。いつかは「学校の悪魔」が警察もしくはKのスポットライトの端をかすめる事は覚悟していたはずだ。
「……一応、何かあったら俺たちに一言声をかけるように言ってあるし、本当に困ったらたぶん言ってくると思うぜ。それにあいつなら上手くやりそうな気がするしな」
宮之阪の手前そうは言ったが、やはり心配だ。なんせ俺にバレたくらいだしな。殺しがバレるだけなら警察に捕まるだけで最悪の状況は避けられるが、それだけで済むとは到底思えない。
学校の悪魔に注目が集まって増えた問題は、俺たちの事が公になる可能性が大きくなっただけでは無い。
校内に「学校の悪魔」を騙り、悪さをする命知らずなやつらがちらほらと現れ始めたのだ。その内容はいじめとかパシリだとか様々であるが、見ようによっては今や俺たちの学校はが横行するスラム街のようになっていた。
その上厄介なのが、誰が本物なのか被害者には分からないことだ。以前であれば「学校の悪魔」はそういう悪行を抑制する効果も少しばかりあったはずなのだが、それも今は効力を失っているようだった。
だが、その現状をよく理解した上で宮之阪はこんな事を言った。
「それについてなら大丈夫じゃないかな」
お前がそう言うんだから本当に大丈夫なんだろうな。俺は気になってそれについて尋ねてみた。
「いや、単純に今の学校の悪魔は週に何人も殺すほどの脅威だとみんなは思っているはずだから、全校生徒のロッカーにでも『 これ以上おイタしたらダメだよ』ってメッセージを入れておいたらそのうち収束すると思うよ」
宮之阪はかなりオブラートに包んで述べたが、つまりは「これ以上悪い事したら殺す」っていう旨の手紙を各ロッカーにぶち込んでおくってわけだ。なるほど、それならそのうちどころかその日のうちに偽学校の悪魔は鳴りを潜めるだろうな。
まぁ、先に結果を言っておくとこれについては杞憂だった。忠告をするなんて回りくどいことをしなくても事態は勝手に収束していったのだ。理由ははっきりとは分からんが、たぶん相次ぐ自殺死体の発見に相手もチビっちまったんだろうさ。それどころか、いじめがあまりにぱったりとなくなったもんだから「学校の悪魔」の名は転じて「学校の審判者」なんて仰々しい名で呼ぶ輩も現れ始めた。「学校の悪魔」がいるから悪い事をするのはやめておこう、などといううわさ話が流れ始めたのだ。これに関しては嬉しい副産物である。
話は打って変わって、宮之阪は「ところで……」と前置いて、
「天野ヶ原君の家族は大丈夫そう?確か、妹さんもここの学校だよね」
おそらく日本で一番Kが多いであろうこの学校に通っているのにまさか俺の妹に限って、とはもはや思えないな。失念していた訳では無いが、無意識に度外視していた。考えたくなかったのだそんな可能性は。
「言いにくいことだけど私の家がそうだったから言うね。とりあえず先に妹さんを調べてみた方がいいかも。仮に妹さんがKだった場合、気が付けば天野ヶ原くん以外の家族全員がKになっていただなんてことも十分ありえるからね」
確かに、ここ最近この学校ではKが急激に増えたのだ。鏡を使った調査の段階では俺の妹は特におかしな反応を見せてはいなかったが、はっきりそうであると言える訳では無いので宮之阪が言った通り先に家族をクリアリングしておくのも悪くないだろう。内部からの崩壊が一番気付きにくく、そして気が付いた時にはもう手遅れだろうからな。
しかし、どうだろう。宮之阪は俺と一緒に俺の妹がKではないと確認したはずなんだがなぁ。鏡を見ても何の反応も見せなかったどころか不思議そうに見つめていたくらいだからな妹は。
でもまぁ、宮之阪がわざわざ忠告してくれたんだ、一度しっかりと調べてみた方がいいのだろう。
俺はこの前の調査で余った手鏡を何枚か持って帰ると、夜の帳が降りきる前にタンスの中や引き出しみたいな不意に見てしまいそうなところに忍ばせた。
鏡に加えて俺は家中にビデオカメラを隠した。数にして五台、両親も含めて怪しいところがないか確認するためである。自室に一つ、妹の部屋に一つ、リビングに二つ、両親の寝室に一つだ。もし妹がKではなくビデオカメラを隠していたことがバレた場合何を言われるか分からんが、殺されるよりは嫌われた方が遥かにマシだ。
すっかり忘れてしまっていたのだが、この時の俺は本当に家族の誰かがKだった場合の事をまったく考えていなかった。「絶対」なんてありえないのに、俺はまた頭のどこかで「そんなわけない」と思ってしまっていたのだ。相変わらず迂闊すぎるぜ俺。
カメラを隠した次の日、ユウキ不参加の宮之阪との二人きりの作戦会議でKと組んでいる人間を見つけ出す方法についてある程度話し合った後、俺は未だ耳に残っている宮之阪ボイスを何度も再生しつつ帰宅した。
ふむ、靴が妹のしかないところを見ると、まだ両親は帰ってきていないようだった。妹の方は今日は部活が休みなのだろう、まだピカピカのローファーが玄関に丁寧に揃えてあった。風呂場からシャワーの音がするので、早めの風呂にでも入っているのだろう。
いつも通りであれば家族がみんな揃うのは二十時頃だ。
その時間までに俺はさっさとビデオカメラを確認するべく各部屋をまわってそれらを回収し自室に戻った。
俺の部屋に誰かが入った痕跡は特にみあたらなかった。どこかのミステリー小説のようにドアを開ければ落ちてしまうようにしかけておいた紙がズレていなかったからな。
それから俺は勉強机に座ると、一つ一つを早送り再生をした。
リビングの映像は案の定おかしなところは無かった。まぁ、家族が揃っている状態でそうそう変な動きを見せたりはしないよな。次に両親の寝室の映像を見てみたがこちらも別段おかしなところはなかった。二人とも掛け布団の下に隠しておいた鏡を見ても首を傾げるばかりでKのような苦痛の表情を浮かべていたりはしなかった。
そして一番気になっていた妹の部屋のビデオカメラ。
帰宅した妹はまず制服から部屋着に着替えると、学校の課題があるのか勉強机に座りスクールバッグから教科書から何やらを取り出した。それから黙々と作業を始めた。特におかしなところはなかった。
あとは、勉強机の引き出しに忍ばせた手鏡の不意の反応みるだけだった。
それから数分妹は勉強を続け、そしてふと引き出しに手をかけた所で、その動きをピタリと止めた。まるで写真のように動かないまま固まっている。
かと思えば次の瞬間、首だけをぐるりと横に向けて妹は真っ直ぐ俺の仕掛けたビデオカメラを見た。
その開き切った瞳孔は、妹のそれではなかった。
途端、俺は身体に電流が走ったように椅子から立ち上がると、咄嗟に自分の部屋のドアに鍵を掛けた。
額に玉のような汗が次々に浮かんでくるのが分かる。心臓の音がうるさい。喉が乾いていく。
一階から十八時半にタイマーをセットしておいた風呂が沸いた事を知らせる音楽が聴こえてきた。
―――――風呂はまだ沸いていなかったのか?
今までに感じたことのない恐怖にも似た感覚のせいで同じ家なのに、凄く遠くで鳴っている様に感じる。
動悸が激しい。自然と呼吸が荒くなっていた。手が震えるのを止められない。
……何でもいい、何か行動しろ。冷静になれないのは自分がよく分かっているだろ。とにかく動け。じゃないと俺はこのまま思考も停止して、身体も動かなくなっちまう。
俺は自分にそう言い聞かせて、地面に固定されたと勘違いしそうになるほど重い足を机へと向かわせる。そして震える手でとりあえず自己防衛のためのダンベルを手に取ったところで思わずその腕が当たってしまい、自室に念の為仕掛けていた机の上のビデオカメラが地面に落ちてしまった。
無機質な機械音の後、ビデオカメラが衝撃でひとりでに動き出し再生される。
今日の朝、俺が学校に行く時間になって部屋を出てから夕方になるまで、射し込む陽の光が変わるだけの動かない映像が続く。
だが、映像残り二十分くらいになった時、前触れもなく音もなく俺の部屋のドアが開いた。映っていたのは俺ではなく、妹だった。母親に似てすっかり美人になった妹のその表情は小学生の頃のように俺の部屋に何か勝手に借りに来たわけではなさそうだった。
ふと、妹がドアのすぐ横のクローゼットを開けた。まるでロボットのような所作で不気味だと思ったのもつかの間、妹はそのまま隠れるようにしてその中に入りクローゼットを閉じた。
そして、その後学校から帰宅した俺が部屋に入ってきて―――――そこで映像は終了している。
宵闇は息を潜めて、部屋の明るさとは対称的に外は夜が訪れて深い青色の絵の具で塗りつぶされたかのように暗くなっていた。
だから映っていた。
机の正面の窓ガラスに、俺ともう一人。すぐ後ろに立っていた妹の姿が。
警察はと言えば捜査のかたちをとってはいるものの、やはり内部にKがいるのか「自殺」という風に事を片付けているようだった。ただ、前までとは違う点が一つある。
今まではそんな都市伝説じみた存在など学生の冗談だと気にもしていなかったはずなのに、今日廊下で一人一人に行われた聴き込み調査ではやけに「学校の悪魔」について尋ねていた。
「……大丈夫かなぁ星ヶ丘さん」
これはおそらくあいつ自身も予想していた事態だろう。いつかは「学校の悪魔」が警察もしくはKのスポットライトの端をかすめる事は覚悟していたはずだ。
「……一応、何かあったら俺たちに一言声をかけるように言ってあるし、本当に困ったらたぶん言ってくると思うぜ。それにあいつなら上手くやりそうな気がするしな」
宮之阪の手前そうは言ったが、やはり心配だ。なんせ俺にバレたくらいだしな。殺しがバレるだけなら警察に捕まるだけで最悪の状況は避けられるが、それだけで済むとは到底思えない。
学校の悪魔に注目が集まって増えた問題は、俺たちの事が公になる可能性が大きくなっただけでは無い。
校内に「学校の悪魔」を騙り、悪さをする命知らずなやつらがちらほらと現れ始めたのだ。その内容はいじめとかパシリだとか様々であるが、見ようによっては今や俺たちの学校はが横行するスラム街のようになっていた。
その上厄介なのが、誰が本物なのか被害者には分からないことだ。以前であれば「学校の悪魔」はそういう悪行を抑制する効果も少しばかりあったはずなのだが、それも今は効力を失っているようだった。
だが、その現状をよく理解した上で宮之阪はこんな事を言った。
「それについてなら大丈夫じゃないかな」
お前がそう言うんだから本当に大丈夫なんだろうな。俺は気になってそれについて尋ねてみた。
「いや、単純に今の学校の悪魔は週に何人も殺すほどの脅威だとみんなは思っているはずだから、全校生徒のロッカーにでも『 これ以上おイタしたらダメだよ』ってメッセージを入れておいたらそのうち収束すると思うよ」
宮之阪はかなりオブラートに包んで述べたが、つまりは「これ以上悪い事したら殺す」っていう旨の手紙を各ロッカーにぶち込んでおくってわけだ。なるほど、それならそのうちどころかその日のうちに偽学校の悪魔は鳴りを潜めるだろうな。
まぁ、先に結果を言っておくとこれについては杞憂だった。忠告をするなんて回りくどいことをしなくても事態は勝手に収束していったのだ。理由ははっきりとは分からんが、たぶん相次ぐ自殺死体の発見に相手もチビっちまったんだろうさ。それどころか、いじめがあまりにぱったりとなくなったもんだから「学校の悪魔」の名は転じて「学校の審判者」なんて仰々しい名で呼ぶ輩も現れ始めた。「学校の悪魔」がいるから悪い事をするのはやめておこう、などといううわさ話が流れ始めたのだ。これに関しては嬉しい副産物である。
話は打って変わって、宮之阪は「ところで……」と前置いて、
「天野ヶ原君の家族は大丈夫そう?確か、妹さんもここの学校だよね」
おそらく日本で一番Kが多いであろうこの学校に通っているのにまさか俺の妹に限って、とはもはや思えないな。失念していた訳では無いが、無意識に度外視していた。考えたくなかったのだそんな可能性は。
「言いにくいことだけど私の家がそうだったから言うね。とりあえず先に妹さんを調べてみた方がいいかも。仮に妹さんがKだった場合、気が付けば天野ヶ原くん以外の家族全員がKになっていただなんてことも十分ありえるからね」
確かに、ここ最近この学校ではKが急激に増えたのだ。鏡を使った調査の段階では俺の妹は特におかしな反応を見せてはいなかったが、はっきりそうであると言える訳では無いので宮之阪が言った通り先に家族をクリアリングしておくのも悪くないだろう。内部からの崩壊が一番気付きにくく、そして気が付いた時にはもう手遅れだろうからな。
しかし、どうだろう。宮之阪は俺と一緒に俺の妹がKではないと確認したはずなんだがなぁ。鏡を見ても何の反応も見せなかったどころか不思議そうに見つめていたくらいだからな妹は。
でもまぁ、宮之阪がわざわざ忠告してくれたんだ、一度しっかりと調べてみた方がいいのだろう。
俺はこの前の調査で余った手鏡を何枚か持って帰ると、夜の帳が降りきる前にタンスの中や引き出しみたいな不意に見てしまいそうなところに忍ばせた。
鏡に加えて俺は家中にビデオカメラを隠した。数にして五台、両親も含めて怪しいところがないか確認するためである。自室に一つ、妹の部屋に一つ、リビングに二つ、両親の寝室に一つだ。もし妹がKではなくビデオカメラを隠していたことがバレた場合何を言われるか分からんが、殺されるよりは嫌われた方が遥かにマシだ。
すっかり忘れてしまっていたのだが、この時の俺は本当に家族の誰かがKだった場合の事をまったく考えていなかった。「絶対」なんてありえないのに、俺はまた頭のどこかで「そんなわけない」と思ってしまっていたのだ。相変わらず迂闊すぎるぜ俺。
カメラを隠した次の日、ユウキ不参加の宮之阪との二人きりの作戦会議でKと組んでいる人間を見つけ出す方法についてある程度話し合った後、俺は未だ耳に残っている宮之阪ボイスを何度も再生しつつ帰宅した。
ふむ、靴が妹のしかないところを見ると、まだ両親は帰ってきていないようだった。妹の方は今日は部活が休みなのだろう、まだピカピカのローファーが玄関に丁寧に揃えてあった。風呂場からシャワーの音がするので、早めの風呂にでも入っているのだろう。
いつも通りであれば家族がみんな揃うのは二十時頃だ。
その時間までに俺はさっさとビデオカメラを確認するべく各部屋をまわってそれらを回収し自室に戻った。
俺の部屋に誰かが入った痕跡は特にみあたらなかった。どこかのミステリー小説のようにドアを開ければ落ちてしまうようにしかけておいた紙がズレていなかったからな。
それから俺は勉強机に座ると、一つ一つを早送り再生をした。
リビングの映像は案の定おかしなところは無かった。まぁ、家族が揃っている状態でそうそう変な動きを見せたりはしないよな。次に両親の寝室の映像を見てみたがこちらも別段おかしなところはなかった。二人とも掛け布団の下に隠しておいた鏡を見ても首を傾げるばかりでKのような苦痛の表情を浮かべていたりはしなかった。
そして一番気になっていた妹の部屋のビデオカメラ。
帰宅した妹はまず制服から部屋着に着替えると、学校の課題があるのか勉強机に座りスクールバッグから教科書から何やらを取り出した。それから黙々と作業を始めた。特におかしなところはなかった。
あとは、勉強机の引き出しに忍ばせた手鏡の不意の反応みるだけだった。
それから数分妹は勉強を続け、そしてふと引き出しに手をかけた所で、その動きをピタリと止めた。まるで写真のように動かないまま固まっている。
かと思えば次の瞬間、首だけをぐるりと横に向けて妹は真っ直ぐ俺の仕掛けたビデオカメラを見た。
その開き切った瞳孔は、妹のそれではなかった。
途端、俺は身体に電流が走ったように椅子から立ち上がると、咄嗟に自分の部屋のドアに鍵を掛けた。
額に玉のような汗が次々に浮かんでくるのが分かる。心臓の音がうるさい。喉が乾いていく。
一階から十八時半にタイマーをセットしておいた風呂が沸いた事を知らせる音楽が聴こえてきた。
―――――風呂はまだ沸いていなかったのか?
今までに感じたことのない恐怖にも似た感覚のせいで同じ家なのに、凄く遠くで鳴っている様に感じる。
動悸が激しい。自然と呼吸が荒くなっていた。手が震えるのを止められない。
……何でもいい、何か行動しろ。冷静になれないのは自分がよく分かっているだろ。とにかく動け。じゃないと俺はこのまま思考も停止して、身体も動かなくなっちまう。
俺は自分にそう言い聞かせて、地面に固定されたと勘違いしそうになるほど重い足を机へと向かわせる。そして震える手でとりあえず自己防衛のためのダンベルを手に取ったところで思わずその腕が当たってしまい、自室に念の為仕掛けていた机の上のビデオカメラが地面に落ちてしまった。
無機質な機械音の後、ビデオカメラが衝撃でひとりでに動き出し再生される。
今日の朝、俺が学校に行く時間になって部屋を出てから夕方になるまで、射し込む陽の光が変わるだけの動かない映像が続く。
だが、映像残り二十分くらいになった時、前触れもなく音もなく俺の部屋のドアが開いた。映っていたのは俺ではなく、妹だった。母親に似てすっかり美人になった妹のその表情は小学生の頃のように俺の部屋に何か勝手に借りに来たわけではなさそうだった。
ふと、妹がドアのすぐ横のクローゼットを開けた。まるでロボットのような所作で不気味だと思ったのもつかの間、妹はそのまま隠れるようにしてその中に入りクローゼットを閉じた。
そして、その後学校から帰宅した俺が部屋に入ってきて―――――そこで映像は終了している。
宵闇は息を潜めて、部屋の明るさとは対称的に外は夜が訪れて深い青色の絵の具で塗りつぶされたかのように暗くなっていた。
だから映っていた。
机の正面の窓ガラスに、俺ともう一人。すぐ後ろに立っていた妹の姿が。
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