「大人扱いしていい?」〜純情当主、執務室で策士な従兄の『相性確認』にハメられる〜

中山(ほ)

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知らぬはルイン

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 翌日

「るいーん!おはよう!」

 朝食時の食堂で、ルインへと抱きついたシュローンは、その肩越しにトロンを睨みつけていた。

「ちょ、兄さん!?」

 ルインは引き剥がそうと試みるも、一族の中でも大柄なシュローンはびくともしない。

「あ、シュローン、おはよう」

 その視線をさらりと受け流し、トロンはルインの席を整えていた。
 大皿から好みのものを軽く取り分け、ポテのチーズ焼きだけは少し多めに、グラスには水を注いで、添えてあったシラムを絞って入れてやる。
 その甲斐甲斐しい姿を見て、シュローンは苦々しい顔の裏で、ルインの好みに合致していることを渋々認め、拘束していた腕を解放した。

「もう!朝っぱらから暑苦しい!!あ、トロン、ありがと」

 そんな様子を見ていた一族の一部は、トロンとルイン、その関係性の変化を察して生ぬるい笑顔を向ける。
 トロンはそれを見て見ぬふりをして、ちゃっかりとルインの隣を確保した。一方で、全く気づいていないルインは、好物ばかりが盛られた皿を嬉しそうに眺めて早速朝食へと取り掛かるのだった。


 ---


「シュロ、ルインとられてやんの~」

 食堂から実験室へと向かうシュローンの背中に、耳馴染んだ声が届く。再従兄弟のロータスが、おそらく嫌な笑みを浮かべているのが簡単に想像できた。

「うっせ、トロンなら、ひっじょうに不本意だが、土下座までして俺に許可取りに来たあいつなら、まぁ、目こぼししてやらんこともない」

「へぇ、意外だな。もっと可愛い弟に近寄んなってボッコボコにして放り出すと思ったのに」

 追いついて、横に並びながらのロータスの言葉。

「………2回、やった」

「まじか、そんでも食らいついてきたのか」

 ロータスの声が驚愕からの呆れに変わる。

「5回目で本気なら、って認めた」

「おいおい、歴史上の参謀誘う時だって3回が限度だろうが……トロン、かわいそ」

 誰もいない廊下で、そんな幼馴染同士の会話が、トロンへの多大な同情を含んで続けられた。
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