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執務室でお預け
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執務机の上には数通の封書、本日最後としてトロンが持ってきたのだが、ルインは今はそれどころではなかった。
「はっ……はぁ、も、うごいてぇ……」
トロンの首に腕を絡め、肩へと蕩けた頭を預けて、さっきから何度も恋人へのおねだりが繰り返されている。
「だめだよ?まだお仕事中だからね」
せっかく仕事を片付けたところに再び持ち込まれた封書、口を尖らせたルインにトロンが囁いたのだ。
『代わりにやってあげるよ、その代わり……』
言われるがままに服を脱がされ、仕事前のご褒美にと散々イタズラをされ、今はトロンのモノで貫かれながらお預けを喰らい続けていた。
トロンはわざとゆっくり封書を一通ずつ開き、ゆっくりと中を確認してから、ゆっくりと仕分けている。
「あん……あ、ぁ」
「こら、ルイン、勝手に動いちゃダメでしょ?」
辛抱できずに腕に力を込めてそっと身体を持ち上げた途端、トロンの片手がルインの腰へと伸ばされてぐいと下へと引き戻された。
「はぁん……あ、奥、もっとぉ」
その衝撃に甘い声が溢れるが、やっぱりルインの恋人は意地悪だ。
「後二通だから我慢して?」
いつもより封蝋を丁寧に剥がしていると、執務室の扉の向こうからパタパタと足音、次第に大きくなってくる。
ガチャリ
ノックも無しにノブが回され、ルインの身体がびくりと震えた。
「あっれぇ?鍵かかってるな、あ、中いないのか」
不在の表示を確認したのだろう、しかしその場から立ち去る気配はない。
動かないように体を固くする事で、余計に中のトロンを締め付けてしまったルインの内がヒクヒクと動き出し、自身でも止められない。
「……ん………んっ……」
トロンの肩に顔を押し付け、声を押さえ込んでいる。
ふ、と小さく息を吐き、トロンはルインを抱えるように椅子から立ち上がると、静かに後ろを向いた、そっとルインをかけさせて、ゆっくりと引き抜いてやる。
「ぁ……はぁ………んっ…」
「ごめんね、ちょっと意地悪だったかも、父さん来てるから、諦めるまで一緒にいないフリしよう」
トロンはルインの後ろから溢れるポーションをさっと拭き取り、手慣れた手つきで服を着せ直す。
最後に執務椅子の情事の跡をきれいに隠蔽し、ルインを抱き上げて長椅子へとそっと横たえた。
そして、扉の向こうを忌々しげに睨みつける。
「ち、しつこいな。ちょっと追い返してくるから、少し休んでて?」
言われるがままに瞳を閉じたルインから離れ、カチリと解錠して扉を開いた。
「あれ、なんだ、お前がいたのか」
いかにも中に人がいるのは分かってましたよと言いたげな態度、トロンの声が低くなる。
「あのさぁ、ルインが寝てるから静かに休んでもらおうって鍵かけといたの!大人しく帰れよ」
「ちぇ~、冷たいなぁ、ま、いいか。じゃ、ルインに伝えておいてくれ、プライトン王国がウチが前に壊した学園都市の再建に立ち上がったんだってさ」
言いたいことだけは伝えると言う姿勢にトロンはため息を吐いて聞き入れた。
「分かったよ、起きたら伝えとく。そんだけ?ならもう帰れ。あ、俺、今日帰らないからって母さんに伝えといて」
ついでとばかりに自身の伝言も頼み、トロンは無理やり扉を閉め始めた。
「へいへい、あんまり当代に無理させんなよ」
トールソンから息子への最後の一言は、トロンにしか聞こえない程度の声量だった。
「うっせ、分かってるよ」
いそいそと長椅子へと戻ったトロンは、愕然とした。
「ルイン……寝てる、のか?」
すよすよと気持ちよさそうに寝息を立てているそのあどけない姿。
トロンは深く深くため息を吐いて、最後の二通を片付けようと執務机へと向かった。
ピッピと適当に封を剥がして中をざっと確認、即座にポイっと廃棄箱へと放り込んだトロンは、一人背を丸めながら手洗いへと向かうのだった。
---
おまけ
「革だな、これは絶対……」
執務室の長椅子に腰掛けながら、何やら手帳のようなものと睨めっこをしているトロン。
ルインはあと三通になった封書から目を逸らし、問いかけた。
「さっきから何ぶつぶつ言ってるの?考え事?」
口から声が出ていると気づいていなかったらしく、はっと口元を押さえた恋人に、かわいいな、と思ってしまう。
トロンがよくルインのことを可愛いと言っている気持ちがわかった気がして、少し気分が良くなった。
「その、新しい椅子を用意しようと思ってるんだ。ルインはどんなのがいい?」
「え、まだ使えるでしょ?どこか破れたりしちゃった?」
先代から使い続けている長椅子は、革張りの良い物のため、手入れにより艶やかな輝きが年季を物語っていた。
それでも決して傷んでいると言うわけではない。
「いや、ルインが休憩中に寝られるように、背もたれが倒れるやつ作ってもらおうと思って。寝台代わりにもなるやつ」
「そっか、えへへ、色々考えてくれてありがと。じゃ、今の椅子は一回しっかりお掃除して、欲しい人にあげよっか?」
「そうだな、良い物だし。あ、新しい椅子、どんな色がいい?革は何から作ろうか?」
ルインは執務机へと向き直り、中身を処理しながら考える。
「色は……あんまり変な色だと浮いちゃうからな。焦茶とか?革は……そうだ、トロン、近いうちにお休みとってさ、荒野の向こうの森に行こうよ、それで、出てきた魔物の皮使ってもらおう?」
ルインからのデートのお誘いに、トロンは勢いよく立ち上がった。
「それ、すっごくいいな。よし、ちょっと俺、向いてそうな魔物がいる場所調べてくる!」
軽い足取りで執務室を出ていった従兄を見送り、ルインは最後の一枚を近くの引き出しへと納めるのであった。
あとがきっぽいもの
いっぱいいいねとかお気に入り登録とかしていただいちゃいまして、ありがとうございます~
思いついたので書き足しました~
多分半年から数年後くらいのお話?
これにてほんとに完結です
読んでくださってありがとうございました~
「はっ……はぁ、も、うごいてぇ……」
トロンの首に腕を絡め、肩へと蕩けた頭を預けて、さっきから何度も恋人へのおねだりが繰り返されている。
「だめだよ?まだお仕事中だからね」
せっかく仕事を片付けたところに再び持ち込まれた封書、口を尖らせたルインにトロンが囁いたのだ。
『代わりにやってあげるよ、その代わり……』
言われるがままに服を脱がされ、仕事前のご褒美にと散々イタズラをされ、今はトロンのモノで貫かれながらお預けを喰らい続けていた。
トロンはわざとゆっくり封書を一通ずつ開き、ゆっくりと中を確認してから、ゆっくりと仕分けている。
「あん……あ、ぁ」
「こら、ルイン、勝手に動いちゃダメでしょ?」
辛抱できずに腕に力を込めてそっと身体を持ち上げた途端、トロンの片手がルインの腰へと伸ばされてぐいと下へと引き戻された。
「はぁん……あ、奥、もっとぉ」
その衝撃に甘い声が溢れるが、やっぱりルインの恋人は意地悪だ。
「後二通だから我慢して?」
いつもより封蝋を丁寧に剥がしていると、執務室の扉の向こうからパタパタと足音、次第に大きくなってくる。
ガチャリ
ノックも無しにノブが回され、ルインの身体がびくりと震えた。
「あっれぇ?鍵かかってるな、あ、中いないのか」
不在の表示を確認したのだろう、しかしその場から立ち去る気配はない。
動かないように体を固くする事で、余計に中のトロンを締め付けてしまったルインの内がヒクヒクと動き出し、自身でも止められない。
「……ん………んっ……」
トロンの肩に顔を押し付け、声を押さえ込んでいる。
ふ、と小さく息を吐き、トロンはルインを抱えるように椅子から立ち上がると、静かに後ろを向いた、そっとルインをかけさせて、ゆっくりと引き抜いてやる。
「ぁ……はぁ………んっ…」
「ごめんね、ちょっと意地悪だったかも、父さん来てるから、諦めるまで一緒にいないフリしよう」
トロンはルインの後ろから溢れるポーションをさっと拭き取り、手慣れた手つきで服を着せ直す。
最後に執務椅子の情事の跡をきれいに隠蔽し、ルインを抱き上げて長椅子へとそっと横たえた。
そして、扉の向こうを忌々しげに睨みつける。
「ち、しつこいな。ちょっと追い返してくるから、少し休んでて?」
言われるがままに瞳を閉じたルインから離れ、カチリと解錠して扉を開いた。
「あれ、なんだ、お前がいたのか」
いかにも中に人がいるのは分かってましたよと言いたげな態度、トロンの声が低くなる。
「あのさぁ、ルインが寝てるから静かに休んでもらおうって鍵かけといたの!大人しく帰れよ」
「ちぇ~、冷たいなぁ、ま、いいか。じゃ、ルインに伝えておいてくれ、プライトン王国がウチが前に壊した学園都市の再建に立ち上がったんだってさ」
言いたいことだけは伝えると言う姿勢にトロンはため息を吐いて聞き入れた。
「分かったよ、起きたら伝えとく。そんだけ?ならもう帰れ。あ、俺、今日帰らないからって母さんに伝えといて」
ついでとばかりに自身の伝言も頼み、トロンは無理やり扉を閉め始めた。
「へいへい、あんまり当代に無理させんなよ」
トールソンから息子への最後の一言は、トロンにしか聞こえない程度の声量だった。
「うっせ、分かってるよ」
いそいそと長椅子へと戻ったトロンは、愕然とした。
「ルイン……寝てる、のか?」
すよすよと気持ちよさそうに寝息を立てているそのあどけない姿。
トロンは深く深くため息を吐いて、最後の二通を片付けようと執務机へと向かった。
ピッピと適当に封を剥がして中をざっと確認、即座にポイっと廃棄箱へと放り込んだトロンは、一人背を丸めながら手洗いへと向かうのだった。
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おまけ
「革だな、これは絶対……」
執務室の長椅子に腰掛けながら、何やら手帳のようなものと睨めっこをしているトロン。
ルインはあと三通になった封書から目を逸らし、問いかけた。
「さっきから何ぶつぶつ言ってるの?考え事?」
口から声が出ていると気づいていなかったらしく、はっと口元を押さえた恋人に、かわいいな、と思ってしまう。
トロンがよくルインのことを可愛いと言っている気持ちがわかった気がして、少し気分が良くなった。
「その、新しい椅子を用意しようと思ってるんだ。ルインはどんなのがいい?」
「え、まだ使えるでしょ?どこか破れたりしちゃった?」
先代から使い続けている長椅子は、革張りの良い物のため、手入れにより艶やかな輝きが年季を物語っていた。
それでも決して傷んでいると言うわけではない。
「いや、ルインが休憩中に寝られるように、背もたれが倒れるやつ作ってもらおうと思って。寝台代わりにもなるやつ」
「そっか、えへへ、色々考えてくれてありがと。じゃ、今の椅子は一回しっかりお掃除して、欲しい人にあげよっか?」
「そうだな、良い物だし。あ、新しい椅子、どんな色がいい?革は何から作ろうか?」
ルインは執務机へと向き直り、中身を処理しながら考える。
「色は……あんまり変な色だと浮いちゃうからな。焦茶とか?革は……そうだ、トロン、近いうちにお休みとってさ、荒野の向こうの森に行こうよ、それで、出てきた魔物の皮使ってもらおう?」
ルインからのデートのお誘いに、トロンは勢いよく立ち上がった。
「それ、すっごくいいな。よし、ちょっと俺、向いてそうな魔物がいる場所調べてくる!」
軽い足取りで執務室を出ていった従兄を見送り、ルインは最後の一枚を近くの引き出しへと納めるのであった。
あとがきっぽいもの
いっぱいいいねとかお気に入り登録とかしていただいちゃいまして、ありがとうございます~
思いついたので書き足しました~
多分半年から数年後くらいのお話?
これにてほんとに完結です
読んでくださってありがとうございました~
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