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9 履いてない?
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有無を言わさず襲いかかってくるゴブリンたち。
一匹の棍棒をかわし、その腕を掴む。そのまま振り回して周りのゴブリンを蹴散らした。
フワ、と軽くなる。おや、と見てみれば掴んでいたゴブリンが腕だけになっていた。胴体から先はどこかへちぎれ飛んだらしい。
「魔物、というわりに脆いっすねえ」
腕をポイと捨て、剣を抜いた。ギャギャ、ギャアッ、と喚きながらゴブリンが殺到。
特に目標も定めず、適当に剣を振る。
一振りで十体程も斬り裂いた。勢いで首や手足が天井まで飛ぶ。
「うわ、こりゃ……グロいっスね」
ゴブリンたちは怯まない。さらに押し寄せてくる三体を剣でまとめて刺し貫き、左の盾で二体を殴りつけ頭部を粉砕。
「わ、わたしもっ」
イルネージュも果敢に飛び出した。氷雪剣アイスブランドを振るい、えい、やあ、とゴブリンどもを斬りつける。
顔と口調に似合わず、鋭い斬撃だ。
斬りつけられたゴブリンは致命傷にならない一撃でも、傷口からビキビキと凍結して動きを封じられている。
俺も二度、三度と剣を振る。ゴブリンたちは悲鳴を上げる間も無く斬り裂かれ、あちこちに身体の部位や臓腑をまき散らす。
残るは数体。ひとまわり大きいタイプ──これがホブゴブリンか。武装も通常のゴブリンよりは立派なものを着けている。
しかし手応えは何も変わらない。俺の剣は兜や鎧をいとも簡単に貫く。豆腐のようにぐちゃぐちゃにして六体のホブゴブリンを葬った。
残るは──シエラが言っていた、上級魔物だという、ゴブリンキング。
しかしデカイ。それにあの筋肉……ゴリラみたいだ。あの体格でどうやってこの洞窟に入ってきたのだろう。
粗末な造りの王冠に小汚ないマント。手には槍。
「ほんとに王様気取りっスね。さあ、終わらせるっスよ」
グオオオッ、とゴブリンキングの咆哮。興奮したように槍を振り上げ、その場でバタンバタンと跳ねる。
「溢忌、気を付けて! 上級魔物は下級、中級とはわけが違うんだよっ!」
シエラの声。それと同時にイルネージュが前に出た。
「こ、ここからはわたしに任せてくださいっ。溢忌さんに頼ってばかりいられません。元々はわたしの仕事なんですし……」
イルネージュのアイスブランドを持つ手がカタカタと震えている。本当は怖いのだろう。だが俺はその健気さと勇気を買った。
「分かったっス。あのデカイのはイルネージュに任せるっスよ」
「ありがとうございます! アイスブランド……わたしに力を貸して」
そう言ってゴブリンキングに向かっていく。
上段から振り下ろした一撃を、ゴブリンキングは後ろに跳躍してかわした。見た目よりかなり俊敏だ。
「こらあっ! 溢忌、テメー! なに女の子ひとりで戦わせてんだ! 上級魔物はヤベーんだって! ベテランの願望者でもやられることがあるんだよっ!」
「まあ、大丈夫っスよ。危なくなったら助けるっス」
怒鳴るシエラをなだめながら、戦いの様子を見守る。
ガアッ、と跳躍したゴブリンキング。壁を蹴って上から飛びかかる。
イルネージュは冷静に横に避け、薙ぎ払い。
ゴブリンキングの腕に入った。そこからビキビキと凍結。いや、ゴブリンキングは片方の手でガンガン叩いて凍結部分の氷を砕き落とした。
ボッ、と槍が突き出され、イルネージュは身体を捻ってかろうじてかわした。
不安定な体勢からアイスブランドの突き。ゴブリンキングの胸に当たり、ボフッ、と言いながら魔物は飛び退いた。
「むっ、あれは……!」
俺はとあることに気づき、ただならぬ様子にシエラが聞いてきた。
「どうした? その細い目を見開いて。敵の弱点でも見つけたのか」
「いや、あれは……イルネージュのスカートがめくれるんスけど」
「ふむ。スケベいだが、正直でよろしい。して、その蠱惑的なヒラヒラの中身とはいかに」
「いや、それが……見間違いと思うんスけど、その……見えなかったんスよ、アレが。つまり、下着が」
角度的なものか、陰影のせいか、はたまた装着しているものの形状のせいなのか。
あ、まためくれた……がやはり、プリンとした肉付きのいいお尻が丸出しのような気が……。
「なんと、それはつまりアレかね、溢忌君。彼女は──履いてないと」
そういう事になる。なるが、まさか。
あの清純な顔におとなしそうな性格。しかし、たしかに露出の多い服装ではある。
その見た目とは裏腹に、なんというか露出をすることによって快感を覚える性癖の持ち主かもしれない。
「むむ、これは後で検証する必要があるな」
シエラの言葉に俺は力強く頷く。必死に戦っている最中にこんな会話してて申し訳ないが、どうしても気になる。
ボ、ボボッ、とゴブリンキングの連続突き。
イルネージュは剣で払い、防ぐが──最後の一撃を受け損ねて尻餅をついた。
「あっ!」
イルネージュとシエラが同時に叫ぶ。その前に俺は動いていた。
ゴブリンキングのマントを掴み、その巨体を一気に引き寄せる。
首と腰の辺りを掴んだ。グオッ、と持ち上げる。
ギャアギャア言いながら暴れるが、構わずそのまま地面に叩きつけた。
グキャア、と血反吐を撒き散らすゴブリンキング。
さらに持ち上げ──叩きつける。二度目は激しく手足を痙攣させた。
三度目は、もう叫びも動きもしない。手足も首も力なくダラリと垂れ下がったままだ。
俺は遊び飽きたオモチャみたいにゴブリンキングを放り捨てた。
一匹の棍棒をかわし、その腕を掴む。そのまま振り回して周りのゴブリンを蹴散らした。
フワ、と軽くなる。おや、と見てみれば掴んでいたゴブリンが腕だけになっていた。胴体から先はどこかへちぎれ飛んだらしい。
「魔物、というわりに脆いっすねえ」
腕をポイと捨て、剣を抜いた。ギャギャ、ギャアッ、と喚きながらゴブリンが殺到。
特に目標も定めず、適当に剣を振る。
一振りで十体程も斬り裂いた。勢いで首や手足が天井まで飛ぶ。
「うわ、こりゃ……グロいっスね」
ゴブリンたちは怯まない。さらに押し寄せてくる三体を剣でまとめて刺し貫き、左の盾で二体を殴りつけ頭部を粉砕。
「わ、わたしもっ」
イルネージュも果敢に飛び出した。氷雪剣アイスブランドを振るい、えい、やあ、とゴブリンどもを斬りつける。
顔と口調に似合わず、鋭い斬撃だ。
斬りつけられたゴブリンは致命傷にならない一撃でも、傷口からビキビキと凍結して動きを封じられている。
俺も二度、三度と剣を振る。ゴブリンたちは悲鳴を上げる間も無く斬り裂かれ、あちこちに身体の部位や臓腑をまき散らす。
残るは数体。ひとまわり大きいタイプ──これがホブゴブリンか。武装も通常のゴブリンよりは立派なものを着けている。
しかし手応えは何も変わらない。俺の剣は兜や鎧をいとも簡単に貫く。豆腐のようにぐちゃぐちゃにして六体のホブゴブリンを葬った。
残るは──シエラが言っていた、上級魔物だという、ゴブリンキング。
しかしデカイ。それにあの筋肉……ゴリラみたいだ。あの体格でどうやってこの洞窟に入ってきたのだろう。
粗末な造りの王冠に小汚ないマント。手には槍。
「ほんとに王様気取りっスね。さあ、終わらせるっスよ」
グオオオッ、とゴブリンキングの咆哮。興奮したように槍を振り上げ、その場でバタンバタンと跳ねる。
「溢忌、気を付けて! 上級魔物は下級、中級とはわけが違うんだよっ!」
シエラの声。それと同時にイルネージュが前に出た。
「こ、ここからはわたしに任せてくださいっ。溢忌さんに頼ってばかりいられません。元々はわたしの仕事なんですし……」
イルネージュのアイスブランドを持つ手がカタカタと震えている。本当は怖いのだろう。だが俺はその健気さと勇気を買った。
「分かったっス。あのデカイのはイルネージュに任せるっスよ」
「ありがとうございます! アイスブランド……わたしに力を貸して」
そう言ってゴブリンキングに向かっていく。
上段から振り下ろした一撃を、ゴブリンキングは後ろに跳躍してかわした。見た目よりかなり俊敏だ。
「こらあっ! 溢忌、テメー! なに女の子ひとりで戦わせてんだ! 上級魔物はヤベーんだって! ベテランの願望者でもやられることがあるんだよっ!」
「まあ、大丈夫っスよ。危なくなったら助けるっス」
怒鳴るシエラをなだめながら、戦いの様子を見守る。
ガアッ、と跳躍したゴブリンキング。壁を蹴って上から飛びかかる。
イルネージュは冷静に横に避け、薙ぎ払い。
ゴブリンキングの腕に入った。そこからビキビキと凍結。いや、ゴブリンキングは片方の手でガンガン叩いて凍結部分の氷を砕き落とした。
ボッ、と槍が突き出され、イルネージュは身体を捻ってかろうじてかわした。
不安定な体勢からアイスブランドの突き。ゴブリンキングの胸に当たり、ボフッ、と言いながら魔物は飛び退いた。
「むっ、あれは……!」
俺はとあることに気づき、ただならぬ様子にシエラが聞いてきた。
「どうした? その細い目を見開いて。敵の弱点でも見つけたのか」
「いや、あれは……イルネージュのスカートがめくれるんスけど」
「ふむ。スケベいだが、正直でよろしい。して、その蠱惑的なヒラヒラの中身とはいかに」
「いや、それが……見間違いと思うんスけど、その……見えなかったんスよ、アレが。つまり、下着が」
角度的なものか、陰影のせいか、はたまた装着しているものの形状のせいなのか。
あ、まためくれた……がやはり、プリンとした肉付きのいいお尻が丸出しのような気が……。
「なんと、それはつまりアレかね、溢忌君。彼女は──履いてないと」
そういう事になる。なるが、まさか。
あの清純な顔におとなしそうな性格。しかし、たしかに露出の多い服装ではある。
その見た目とは裏腹に、なんというか露出をすることによって快感を覚える性癖の持ち主かもしれない。
「むむ、これは後で検証する必要があるな」
シエラの言葉に俺は力強く頷く。必死に戦っている最中にこんな会話してて申し訳ないが、どうしても気になる。
ボ、ボボッ、とゴブリンキングの連続突き。
イルネージュは剣で払い、防ぐが──最後の一撃を受け損ねて尻餅をついた。
「あっ!」
イルネージュとシエラが同時に叫ぶ。その前に俺は動いていた。
ゴブリンキングのマントを掴み、その巨体を一気に引き寄せる。
首と腰の辺りを掴んだ。グオッ、と持ち上げる。
ギャアギャア言いながら暴れるが、構わずそのまま地面に叩きつけた。
グキャア、と血反吐を撒き散らすゴブリンキング。
さらに持ち上げ──叩きつける。二度目は激しく手足を痙攣させた。
三度目は、もう叫びも動きもしない。手足も首も力なくダラリと垂れ下がったままだ。
俺は遊び飽きたオモチャみたいにゴブリンキングを放り捨てた。
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