56 / 66
最終章 魔族の主
11 オクタプルシャイニング
しおりを挟む
カエデの金属バットの連続殴打。
脚を中心にメッタ打ちにし、さしもの滅界竜もグラつく。
位置が低いために反撃がしづらいようだ。
アドラフレストはここで両腕を地面につけ、四つん這いの格好に。
ボヒュウッ、と尾の薙ぎ払い。かがんでかわす。アドラフレストは回転しながらの噛みつき攻撃。
フレイアに何本かは折られた牙だが、まだ殺傷力は十分にある。
カエデは今度はかわさず、野球の打者のようなフォームでカウンター。
打撃音が響き、アドラフレストの牙がまた何本か宙を舞う。だがカエデも衝撃で後ろへ吹っ飛ばされていた。
金属バットは真っ二つに折れ、カエデは倒壊したビルの瓦礫の中に埋もれる。だがすぐに飛び出し、グロック18Cの連射から左手に装着したメリケンサックで殴りつける。
この攻撃も意外にもアドラフレストを後退させるほどの威力。
桐生カエデはもともと結界術や支援を得意とする後衛型の戦姫だ。
だがこの強さ──先程の真言の効果だろうが、疲労した肉体を限界以上に酷使するものに違いなかった。
殴りつけた左腕。手首の部分が不自然に曲がっている。折れているに違いないが、それでも構わず殴り続けている。
いや、腕だけではない。右ヒザも外れているか折れている。口や耳からは流血していた。
「退魔師、無理をしてはいけません。一旦退きなさい」
見かねた雛形結が近づいて声をかけるが、カエデは首を横に振る。
「アンタこそ力を温存しときなよ。最後の最後で頼りにするのはアンタなんだからさー。見ときなよ、カエデの秘奥義──」
葵と結が止めるのも間に合わず、カエデは単身で、満身創痍の身体で突っ込んでいく。
「無駄なことヲ。あなたがを命を振り絞ったところでアドラフレストには通用しナイ。犬死にというやつデス」
シノの嘲笑にも構わず、カエデはジャラアアアッ、とギターケースから引っ張り出した鎖を投げつける。
所々に霊苻の付いている鎖はアドラフレストの身体に巻き付き、締め上げる。
動きを封じることには成功したが、よくて十数秒。すでに鎖はギチギチと引きちぎられそうだ。
「その鎖は少しの間もてば十分。カエデの秘奥義は──」
ズバババ、と複雑な印を結び、カエデは真言を唱えはじめる。
「オン ソンバ ニソンバ ウン バザラ ウン パッタ」
立っているのも不思議なほどのケガ。それでもカエデは力強く真言を繰り返す。
いつの間にかカエデの周りに光る球体が集まっている。翠や紅、青に紫、金に黒……。
葵はハッと気付く。あれは、戦姫たちが消えるときに放っていた光。
色とりどりの光る球体は人の形に姿を変えていく。
玉響、フレイア、ツァイシー、リッカ、マルグリット、みさき……。
死んだはずの戦姫が甦り、そこに存在していた。
桐生カエデの秘奥義──魂魄還流。
死者の魂を呼び戻し、その肉体までも復活させる絶技。
ここに8人全員の戦姫が勢揃いした。
鎖を引きちぎり、アドラフレストが8人へ襲いかかる。
「このデカブツがっ!」
リッカの双鉄拳飛環烈迅砲がヒザに命中。
よろめいたところにみさきが接近。左腕を魔狼マーナガルムに変化させ、ハウリングキャノンを連続で撃ち込む。
「でっかいからいい的だね。効くでしょ、ボクの攻撃」
怯んだところに跳躍したフレイアが竜殺剣バルムンクを振りかざす。
「まだ続くからねェ。当たりやすいように下を向いてなよ」
頭部の角をへし折られ、さらに衝撃でアドラフレストはアゴを地面に打ちつける。
「神に仇なす邪竜め。我が聖槍の一撃を受けよ」
突進したマルグリットが十字聖槍を突き出す。
槍の穂先はアドラフレストの鼻の穴から上部へと貫通。黒い体液がブシュウウッ、と飛び散る。
「葵ちゃ……葵殿。今度こそあなたの側で戦い、守り抜いてみせる」
ツァイシーの神仙気が込められた一矢。
右目を貫き、アドラフレストは叫び声をあげた。
「さっきはようもやってくれたのう。倍返しじゃ」
玉響の鬼兵召喚。巨大な妖、ダイダラボッチの足がアドラフレストの背をメキメキと踏みつける。
6人の戦姫が攻撃を終えると、その身体はまたも光りだし、輝く球体へと変化した。
その変化はカエデにも起きていた。
「パイセン、ゴメンね。カエデのこの術はほんの少しの間しか甦れないんだ。でも最後にみんなの力を合わせるから……」
ピンク色の光に包まれながらカエデも球体へ。
七つの光る球体は雛形結のほうへ集まり、ぐるぐると回転しはじめる。
「これは……」
球体は次々と結の持つ太刀へ吸い込まれていく。
神刀──鬼屠破斬魔ノ華叉丸が七つの光を放ち出し、結の身体も共鳴するように白いオーラに包まれた。
「みなさんがこの太刀に……。伝わってくる。みなさんの力。想いが。これなら……いけます」
結は太刀を正眼に構える。
アドラフレストの怒りの咆哮。両腕で起き上がりながらその口の奥を結へ向ける。
超高熱の息吹攻撃。真っ赤なレーザー光線が大地を抉りながら結へ迫る。
「結っ!」
葵の声が届いていないのか、結はかわそうとしない。
静かに太刀の切っ先を上げ、前進。
光線の帯を真っ二つに裂きながら結は歩く。次第に速度を上げ、走り出した。
光り輝く太刀はついにアドラフレストの鼻先へと届く。
葵は結の姿を見失った。気付いたときには結はアドラフレストの背後に。
滅界竜の身体はビキビキといびつな音を立てながら頭部から裂けていく。
裂け目からは八種の光があふれ出てあたりを眩く照らす。
八戦姫同時攻撃──。
SS級魔族、滅界竜アドラフレストは完全に両断され、その身体はボロボロと崩壊。最後には塵のように消滅した。
脚を中心にメッタ打ちにし、さしもの滅界竜もグラつく。
位置が低いために反撃がしづらいようだ。
アドラフレストはここで両腕を地面につけ、四つん這いの格好に。
ボヒュウッ、と尾の薙ぎ払い。かがんでかわす。アドラフレストは回転しながらの噛みつき攻撃。
フレイアに何本かは折られた牙だが、まだ殺傷力は十分にある。
カエデは今度はかわさず、野球の打者のようなフォームでカウンター。
打撃音が響き、アドラフレストの牙がまた何本か宙を舞う。だがカエデも衝撃で後ろへ吹っ飛ばされていた。
金属バットは真っ二つに折れ、カエデは倒壊したビルの瓦礫の中に埋もれる。だがすぐに飛び出し、グロック18Cの連射から左手に装着したメリケンサックで殴りつける。
この攻撃も意外にもアドラフレストを後退させるほどの威力。
桐生カエデはもともと結界術や支援を得意とする後衛型の戦姫だ。
だがこの強さ──先程の真言の効果だろうが、疲労した肉体を限界以上に酷使するものに違いなかった。
殴りつけた左腕。手首の部分が不自然に曲がっている。折れているに違いないが、それでも構わず殴り続けている。
いや、腕だけではない。右ヒザも外れているか折れている。口や耳からは流血していた。
「退魔師、無理をしてはいけません。一旦退きなさい」
見かねた雛形結が近づいて声をかけるが、カエデは首を横に振る。
「アンタこそ力を温存しときなよ。最後の最後で頼りにするのはアンタなんだからさー。見ときなよ、カエデの秘奥義──」
葵と結が止めるのも間に合わず、カエデは単身で、満身創痍の身体で突っ込んでいく。
「無駄なことヲ。あなたがを命を振り絞ったところでアドラフレストには通用しナイ。犬死にというやつデス」
シノの嘲笑にも構わず、カエデはジャラアアアッ、とギターケースから引っ張り出した鎖を投げつける。
所々に霊苻の付いている鎖はアドラフレストの身体に巻き付き、締め上げる。
動きを封じることには成功したが、よくて十数秒。すでに鎖はギチギチと引きちぎられそうだ。
「その鎖は少しの間もてば十分。カエデの秘奥義は──」
ズバババ、と複雑な印を結び、カエデは真言を唱えはじめる。
「オン ソンバ ニソンバ ウン バザラ ウン パッタ」
立っているのも不思議なほどのケガ。それでもカエデは力強く真言を繰り返す。
いつの間にかカエデの周りに光る球体が集まっている。翠や紅、青に紫、金に黒……。
葵はハッと気付く。あれは、戦姫たちが消えるときに放っていた光。
色とりどりの光る球体は人の形に姿を変えていく。
玉響、フレイア、ツァイシー、リッカ、マルグリット、みさき……。
死んだはずの戦姫が甦り、そこに存在していた。
桐生カエデの秘奥義──魂魄還流。
死者の魂を呼び戻し、その肉体までも復活させる絶技。
ここに8人全員の戦姫が勢揃いした。
鎖を引きちぎり、アドラフレストが8人へ襲いかかる。
「このデカブツがっ!」
リッカの双鉄拳飛環烈迅砲がヒザに命中。
よろめいたところにみさきが接近。左腕を魔狼マーナガルムに変化させ、ハウリングキャノンを連続で撃ち込む。
「でっかいからいい的だね。効くでしょ、ボクの攻撃」
怯んだところに跳躍したフレイアが竜殺剣バルムンクを振りかざす。
「まだ続くからねェ。当たりやすいように下を向いてなよ」
頭部の角をへし折られ、さらに衝撃でアドラフレストはアゴを地面に打ちつける。
「神に仇なす邪竜め。我が聖槍の一撃を受けよ」
突進したマルグリットが十字聖槍を突き出す。
槍の穂先はアドラフレストの鼻の穴から上部へと貫通。黒い体液がブシュウウッ、と飛び散る。
「葵ちゃ……葵殿。今度こそあなたの側で戦い、守り抜いてみせる」
ツァイシーの神仙気が込められた一矢。
右目を貫き、アドラフレストは叫び声をあげた。
「さっきはようもやってくれたのう。倍返しじゃ」
玉響の鬼兵召喚。巨大な妖、ダイダラボッチの足がアドラフレストの背をメキメキと踏みつける。
6人の戦姫が攻撃を終えると、その身体はまたも光りだし、輝く球体へと変化した。
その変化はカエデにも起きていた。
「パイセン、ゴメンね。カエデのこの術はほんの少しの間しか甦れないんだ。でも最後にみんなの力を合わせるから……」
ピンク色の光に包まれながらカエデも球体へ。
七つの光る球体は雛形結のほうへ集まり、ぐるぐると回転しはじめる。
「これは……」
球体は次々と結の持つ太刀へ吸い込まれていく。
神刀──鬼屠破斬魔ノ華叉丸が七つの光を放ち出し、結の身体も共鳴するように白いオーラに包まれた。
「みなさんがこの太刀に……。伝わってくる。みなさんの力。想いが。これなら……いけます」
結は太刀を正眼に構える。
アドラフレストの怒りの咆哮。両腕で起き上がりながらその口の奥を結へ向ける。
超高熱の息吹攻撃。真っ赤なレーザー光線が大地を抉りながら結へ迫る。
「結っ!」
葵の声が届いていないのか、結はかわそうとしない。
静かに太刀の切っ先を上げ、前進。
光線の帯を真っ二つに裂きながら結は歩く。次第に速度を上げ、走り出した。
光り輝く太刀はついにアドラフレストの鼻先へと届く。
葵は結の姿を見失った。気付いたときには結はアドラフレストの背後に。
滅界竜の身体はビキビキといびつな音を立てながら頭部から裂けていく。
裂け目からは八種の光があふれ出てあたりを眩く照らす。
八戦姫同時攻撃──。
SS級魔族、滅界竜アドラフレストは完全に両断され、その身体はボロボロと崩壊。最後には塵のように消滅した。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
軽トラの荷台にダンジョンができました★車ごと【非破壊オブジェクト化】して移動要塞になったので快適探索者生活を始めたいと思います
こげ丸
ファンタジー
===運べるプライベートダンジョンで自由気ままな快適最強探索者生活!===
ダンジョンが出来て三〇年。平凡なエンジニアとして過ごしていた主人公だが、ある日突然軽トラの荷台にダンジョンゲートが発生したことをきっかけに、遅咲きながら探索者デビューすることを決意する。
でも別に最強なんて目指さない。
それなりに強くなって、それなりに稼げるようになれれば十分と思っていたのだが……。
フィールドボス化した愛犬(パグ)に非破壊オブジェクト化して移動要塞と化した軽トラ。ユニークスキル「ダンジョンアドミニストレーター」を得てダンジョンの管理者となった主人公が「それなり」ですむわけがなかった。
これは、プライベートダンジョンを利用した快適生活を送りつつ、最強探索者へと駆け上がっていく一人と一匹……とその他大勢の配下たちの物語。
ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる