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第1部 剣聖 羽鳴由佳
101 破滅
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「イカれてる。こんなヤツ、この世界にいちゃいけない」
志求磨の身体を白銀色の光が包む。その瞳の色も同じように変化する。
「……うん。ここで仕留めなくちゃ……」
アルマが呟き、二刀ダガーをヒュヒュヒュッ、と回転させる。
「まさに外道。一切の情けは必要なし。活ッ!」
ビノッコが構え、足元の床を踏み砕く。
「一時とはいえ、貴様の下についた自分が許せん……喰らえ」
ショウの願望の力が炎と化し、背後からゴアッ、と集まる。
突き出した両掌から巨大な炎の気弾が飛んだ。
「獄炎鬼砲拳!」
「よっしゃ、俺も乗った!」
レオニードが孔雀緑色のオーラをまとった矢を追うように放った。
アルマの二刀ダガーからもバチバチィッ、と電撃が放射される。
元五禍将三人のパワー。その攻撃を葉桜溢忌は左の盾で受け止める。
「チートスキル、神器練精で作った熾天の盾。まあ、こんなので防がなくても俺、物理無効、魔法無効なんスけど」
盾でグアッ、と払うとそのエネルギーは上へ。天井をぶち破り、外へ飛び出していった。
「飽きたんでそろそろ真面目に戦うっスよ。あ、出来るだけ苦しまないようにはするっス」
「破ァッ!」
踏み込んで下から突き上げるようなビノッコの発勁。溢忌の身体が浮き上がった。
そこから拳、手刀、肘、足刀の連打。
ガガガガッ、と入ったが、溢忌は笑いながらビノッコの顔を両手で挟み──ゴキャッ、とひねる。
崩れ落ちるビノッコ。叫びながら日之影宵子が走る。
痺れが収まったわたしも走った。
葉桜溢忌の姿は消えていた。どこだ──。
呻き声。見ると、ショウの背後。ショウの胸板からは溢忌の手刀が飛び出している。
血を吐きながら倒れるショウ。溢忌の姿はまた消えていた。
「上だっ、レオニード!」
今度は見逃さなかった。レオニードの頭上で溢忌は剣を抜いた。
「ちいっ!」
レオニードは弓で受けたが──両断され、腰まで剣で斬り裂かれる。
ドシャアッ、と倒れるレオニード。
葉桜溢忌は剣の血を払いながら次の標的を目で追う。
「シッ!」
太刀風を放つ。
ヴンッ、と残像を残して溢忌は回避。
いや、途中で止まった。セプティミアの状態異常を引き起こすボカロ曲だ。動きが鈍くなっている。
すぐに神速で突っ込む。そこから無数の突きを放った。
ズガガガガッ、と溢忌の身体が衝撃で踊るように震え、倒れる。
そこから全身鎧に身を包んだサイラスが跳躍。ハルバートに全体重をかけ、落下。
溢忌の身体を串刺しにして床に縫いつける。
「まだだっ、どけっ、油断すんじゃねえっ!」
ズギャギャギャギャギャッ、とクレイグの回転式多銃身機関銃が火を吹く。
飛び退いてかわしたサイラス。残された溢忌は凄まじい銃弾の雨をハルバートに貫かれたまま受けた。
ひとしきり撃ち終えたクレイグ。キンキンッ、と薬莢が床に落ちる音。
クレイグの足元には踏み場もないほどに転がっている。
硝煙が晴れてきた。葉桜溢忌は──いない。いびつな形に変形したハルバートの残骸が床に刺さっているだけだ。
ボンッ、と爆発音。
サイラスからだ。全身鎧が砕け落ち、その身体が火に包まれている。
「サイラスッ!」
セプティミアがすかさず癒しのバラード曲。いや、バチン、と鍔鳴りの音とともにその喉が斬り裂かれていた。
「────ッ!」
セプティミアは自分の喉を押さえながらヨロヨロと歩き、燃え盛るサイラスのもとへ。
倒れるように抱きつき、自らの身体も炎に包まれた。
「うあああっ!」
白銀色の閃光。
志求磨の体当たり。これは消失の技だ。
溢忌の姿を捉えて、まともに入った。
「へえ、これが消失の技っスか……残念、俺は《完全なる転生者》。アンタらみたいな半端な転移者とは違う。効かないっスね」
軽く手刀を振り下ろす。
志求磨の身体はボッ、と吸い込まれるように床にめり込んだ。その上からゴシャッ、と踏みつける。
「綾あっ!」
元の世界での名前を呼んでいた。
なんだ……何が起こっている……あっという間に大勢……死んだ。
わたしはその場に膝をつく。あまりの絶望感に。
「あらら、あまりの鬱展開に萎えちゃったっスか。これでも遠慮してんスけどね、残酷な殺し方しないように。アルマちゃんが引いちゃうんで」
「クソがあっ!」
ダンダン、ダンダンッ、と銃弾を撃ち込みながら近づくクレイグ。溢忌の目の前まで来たときにガチガチ、ガチガチッ、と弾切れの音。
「ち、戻ったところでクソみてえな死に方だったな」
溢忌の剣に貫かれ、クレイグは前のめりに倒れる。
「おい」
ナギサが後ろから組み付いた。願望の力を高め、そのまま身体をへし折ろうとする勢い。
「お、こんなカワイイ娘に抱き締められて嬉しいっスね。アルマちゃんと一緒にハーレムに入れてあげるっス」
「僕は──男だっ!」
「知ってるっスよ。《覇王》の息子さんスよね。父親と同じように自爆でもするんスか? 言っとくけど無駄死にっスよ」
「バカヤロウが……それより確実な方法がある。アルマっ!」
呼ばれたアルマ。こちらも異様な願望の高まり。二刀ダガーを目の前で交差し、決死の表情。
やめろ、まさか──死ぬ気か。
志求磨の身体を白銀色の光が包む。その瞳の色も同じように変化する。
「……うん。ここで仕留めなくちゃ……」
アルマが呟き、二刀ダガーをヒュヒュヒュッ、と回転させる。
「まさに外道。一切の情けは必要なし。活ッ!」
ビノッコが構え、足元の床を踏み砕く。
「一時とはいえ、貴様の下についた自分が許せん……喰らえ」
ショウの願望の力が炎と化し、背後からゴアッ、と集まる。
突き出した両掌から巨大な炎の気弾が飛んだ。
「獄炎鬼砲拳!」
「よっしゃ、俺も乗った!」
レオニードが孔雀緑色のオーラをまとった矢を追うように放った。
アルマの二刀ダガーからもバチバチィッ、と電撃が放射される。
元五禍将三人のパワー。その攻撃を葉桜溢忌は左の盾で受け止める。
「チートスキル、神器練精で作った熾天の盾。まあ、こんなので防がなくても俺、物理無効、魔法無効なんスけど」
盾でグアッ、と払うとそのエネルギーは上へ。天井をぶち破り、外へ飛び出していった。
「飽きたんでそろそろ真面目に戦うっスよ。あ、出来るだけ苦しまないようにはするっス」
「破ァッ!」
踏み込んで下から突き上げるようなビノッコの発勁。溢忌の身体が浮き上がった。
そこから拳、手刀、肘、足刀の連打。
ガガガガッ、と入ったが、溢忌は笑いながらビノッコの顔を両手で挟み──ゴキャッ、とひねる。
崩れ落ちるビノッコ。叫びながら日之影宵子が走る。
痺れが収まったわたしも走った。
葉桜溢忌の姿は消えていた。どこだ──。
呻き声。見ると、ショウの背後。ショウの胸板からは溢忌の手刀が飛び出している。
血を吐きながら倒れるショウ。溢忌の姿はまた消えていた。
「上だっ、レオニード!」
今度は見逃さなかった。レオニードの頭上で溢忌は剣を抜いた。
「ちいっ!」
レオニードは弓で受けたが──両断され、腰まで剣で斬り裂かれる。
ドシャアッ、と倒れるレオニード。
葉桜溢忌は剣の血を払いながら次の標的を目で追う。
「シッ!」
太刀風を放つ。
ヴンッ、と残像を残して溢忌は回避。
いや、途中で止まった。セプティミアの状態異常を引き起こすボカロ曲だ。動きが鈍くなっている。
すぐに神速で突っ込む。そこから無数の突きを放った。
ズガガガガッ、と溢忌の身体が衝撃で踊るように震え、倒れる。
そこから全身鎧に身を包んだサイラスが跳躍。ハルバートに全体重をかけ、落下。
溢忌の身体を串刺しにして床に縫いつける。
「まだだっ、どけっ、油断すんじゃねえっ!」
ズギャギャギャギャギャッ、とクレイグの回転式多銃身機関銃が火を吹く。
飛び退いてかわしたサイラス。残された溢忌は凄まじい銃弾の雨をハルバートに貫かれたまま受けた。
ひとしきり撃ち終えたクレイグ。キンキンッ、と薬莢が床に落ちる音。
クレイグの足元には踏み場もないほどに転がっている。
硝煙が晴れてきた。葉桜溢忌は──いない。いびつな形に変形したハルバートの残骸が床に刺さっているだけだ。
ボンッ、と爆発音。
サイラスからだ。全身鎧が砕け落ち、その身体が火に包まれている。
「サイラスッ!」
セプティミアがすかさず癒しのバラード曲。いや、バチン、と鍔鳴りの音とともにその喉が斬り裂かれていた。
「────ッ!」
セプティミアは自分の喉を押さえながらヨロヨロと歩き、燃え盛るサイラスのもとへ。
倒れるように抱きつき、自らの身体も炎に包まれた。
「うあああっ!」
白銀色の閃光。
志求磨の体当たり。これは消失の技だ。
溢忌の姿を捉えて、まともに入った。
「へえ、これが消失の技っスか……残念、俺は《完全なる転生者》。アンタらみたいな半端な転移者とは違う。効かないっスね」
軽く手刀を振り下ろす。
志求磨の身体はボッ、と吸い込まれるように床にめり込んだ。その上からゴシャッ、と踏みつける。
「綾あっ!」
元の世界での名前を呼んでいた。
なんだ……何が起こっている……あっという間に大勢……死んだ。
わたしはその場に膝をつく。あまりの絶望感に。
「あらら、あまりの鬱展開に萎えちゃったっスか。これでも遠慮してんスけどね、残酷な殺し方しないように。アルマちゃんが引いちゃうんで」
「クソがあっ!」
ダンダン、ダンダンッ、と銃弾を撃ち込みながら近づくクレイグ。溢忌の目の前まで来たときにガチガチ、ガチガチッ、と弾切れの音。
「ち、戻ったところでクソみてえな死に方だったな」
溢忌の剣に貫かれ、クレイグは前のめりに倒れる。
「おい」
ナギサが後ろから組み付いた。願望の力を高め、そのまま身体をへし折ろうとする勢い。
「お、こんなカワイイ娘に抱き締められて嬉しいっスね。アルマちゃんと一緒にハーレムに入れてあげるっス」
「僕は──男だっ!」
「知ってるっスよ。《覇王》の息子さんスよね。父親と同じように自爆でもするんスか? 言っとくけど無駄死にっスよ」
「バカヤロウが……それより確実な方法がある。アルマっ!」
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やめろ、まさか──死ぬ気か。
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