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第2部 消えた志求磨
5 宝剣男子
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ナギサがダッダッダッ、と飛び跳ねるように突っ込んできた。
ブゥンッッ、と振り上げた巨大斧。いかん、アレを地面に叩きつけるつもりだ。
巻き上げられた石や土砂が隕石のように降り注ぐ大技。
正気か、自軍にも被害が出るというのに。
これは受け止めなければならない──いや、はじめからそれが狙いか。
練気では多分、耐えられない。だったら──。
打ち下ろされた巨大斧。両手で支えた刀で受け止めた。足元の周りがボコオォッッ、と陥没する。
左目が熱い。わたしの左腕、左足に刺青のような紋様が浮き出ている。そして頭の中にダダダダダと文字が打ち込まれた。
《剣聖》《断ち斬る者》羽鳴由佳。
よし、問題なく《断ち斬る者》に変化できた。暴走する感じもない。
わたしは願望の力を高め、ナギサの巨大斧を押し返そうとする。
だがナギサも引かない。そのまま押し潰すかのごとく、力を込めてくる。
ナギサ……以前より格段に強くなっている。盟主としてより多くの人に認識されるようになったからか。
「由佳……! 本気で僕とやろうってんだな!」
怒りのナギサ。さらに押し込んでくるか、とこちらもさらに力を入れ──いや、フッと巨大斧が消えた。
バランスを崩したわたしにナギサが接近。潜り込むようにガシィッ、と腰を掴まれた。これほど近いと刀が使えない。
ナギサの首を押さえながら膝蹴り。だが怯む様子はない。
「ぜやあっっ!」
上へとブン投げられた。
ぐるっ、と回転しながらわたしは納刀。下ではナギサが巨大斧を出現させている。
「ふんっ!」「シッ!」
投擲した巨大斧とわたしの太刀風が空中で激突。
巨大斧はナギサの元へ戻り、わたしも距離を置いて着地した。
以前ナギサはあの武器の出し入れは自由に出来なかった。成長し、戦い方の幅がだいぶ広がったようだ。
ナギサがその場で一回転。今度は直線上に巨大斧を放り投げてきた。
わたしはかわさない。刀を両手持ちにし、真正面から迫り来る巨大斧に叩きつける。
ドゴオッ、とはね返したが、わたしも衝撃でうしろへ跳ぶ。
はね返った巨大斧をキャッチしたナギサが迫る──が、驚いた表情で急停止。
「お前は──」
うしろへ跳んだわたしをガシッ、と誰かか受け止めた。
えっ、と振り向いた瞬間にすうっ、と《断ち斬る者》の状態が解除された。なんでいきなり……それとこの人物はいったい──。
「由佳殿……あとは我に任せられよ」
わたしの頭の中にダダダダ、と文字が打ち込まれる。
《宝剣男子》《剣人一如》華叉丸。
そこには神社の神主のような服を着た青年。全体的に紫を基調とした色。髪も紫で、前髪の一部分だけ赤い。
服の隙間からは籠手や脛当てが見える。武器は持っていないようだ。
注目すべきはその顔。声をかけられなければ、女と間違えてもおかしくないほどの端正な顔立ち。
目元は優しそうで、まさに少女マンガのヒロインが恋に落ちそうな憧れの先輩といった感じだ。
綺麗系イケメン嫌いのわたしだが、不覚にもドキッとしてしまった。
「反乱の首謀者……ノレスト領主、華叉丸……! よくもぬけぬけと僕の前に顔が出せたな」
ズウン、と巨大斧を地面に下ろしながらナギサが指をさす。
反乱を起こした領主……この男が。
しかも兵も率いず、ひとりで。あのナギサ相手にどうするというんだ。
「おとなしく投降すれば命までは取らない。軍を解体し、城から盗んだモノを返せ」
「やはり疑いは晴れぬか……あらぬ嫌疑をかけられ、一方的に反逆者扱い……我らとて座して滅ぼされるわけにはいかんのでな」
「しらばっくれるな! お前が葉桜溢忌の残党をかくまっているのも知っている! 抵抗するなら腕の一本や二本じゃ済まないぞ……」
「そうやって捕らえた者をあの忌まわしい塔に閉じ込めておられるのか……愚かな。あの《覇王》も彼岸で嘆いておられよう」
「……オヤジが……なんだって……!」
いかん。その言葉……虎の尾を踏んだも同然だ。見ろ、ブチキレたナギサが突っ込んでくるぞ。
「由佳殿は我がうしろへ──」
素手のまま前に出る華叉丸。ナギサが巨大斧を振りかぶる。
「宝剣招来ッ──」
華叉丸の背中から後光のように光が発せられ、ズラアッ、と何本もの剣が扇状に並ぶ。
その一本を掴み、地面に突き刺すとゴオッと炎の壁が噴き出した。
「こんなものっ!」
かまわず炎を乗り越えるナギサ。それに対し、さらに剣を振り炎を飛ばす華叉丸。そして再び叫ぶ。
「宝剣招来ッ──」
次に掴んだ剣からはコオオオ、と白い霧状のモノが複数、不気味に飛ぶ。
よく見ればドクロの形。まるで亡霊の群れのようにナギサにまとわりついた。
「このっ、くそぉっ! 離れろっ!」
巨大斧を振り回すが、亡霊達をすり抜けていく。
「由佳殿、今のうちに退くぞ」
華叉丸はさらに剣を出現させ、地面へ向けて放り投げる。
その剣はどこか機械的なゴツゴツした形状。地面に触れるとガシャガシャン、と変形して一本のローラーブレードに。
華叉丸は瞬時にわたしを抱え上げてそれに乗り、急発進。その場から離れる。
わたしは突然の出来事に唖然──抵抗する事すら忘れていた。
ナギサの怒号が次第に遠のいていく。
ブゥンッッ、と振り上げた巨大斧。いかん、アレを地面に叩きつけるつもりだ。
巻き上げられた石や土砂が隕石のように降り注ぐ大技。
正気か、自軍にも被害が出るというのに。
これは受け止めなければならない──いや、はじめからそれが狙いか。
練気では多分、耐えられない。だったら──。
打ち下ろされた巨大斧。両手で支えた刀で受け止めた。足元の周りがボコオォッッ、と陥没する。
左目が熱い。わたしの左腕、左足に刺青のような紋様が浮き出ている。そして頭の中にダダダダダと文字が打ち込まれた。
《剣聖》《断ち斬る者》羽鳴由佳。
よし、問題なく《断ち斬る者》に変化できた。暴走する感じもない。
わたしは願望の力を高め、ナギサの巨大斧を押し返そうとする。
だがナギサも引かない。そのまま押し潰すかのごとく、力を込めてくる。
ナギサ……以前より格段に強くなっている。盟主としてより多くの人に認識されるようになったからか。
「由佳……! 本気で僕とやろうってんだな!」
怒りのナギサ。さらに押し込んでくるか、とこちらもさらに力を入れ──いや、フッと巨大斧が消えた。
バランスを崩したわたしにナギサが接近。潜り込むようにガシィッ、と腰を掴まれた。これほど近いと刀が使えない。
ナギサの首を押さえながら膝蹴り。だが怯む様子はない。
「ぜやあっっ!」
上へとブン投げられた。
ぐるっ、と回転しながらわたしは納刀。下ではナギサが巨大斧を出現させている。
「ふんっ!」「シッ!」
投擲した巨大斧とわたしの太刀風が空中で激突。
巨大斧はナギサの元へ戻り、わたしも距離を置いて着地した。
以前ナギサはあの武器の出し入れは自由に出来なかった。成長し、戦い方の幅がだいぶ広がったようだ。
ナギサがその場で一回転。今度は直線上に巨大斧を放り投げてきた。
わたしはかわさない。刀を両手持ちにし、真正面から迫り来る巨大斧に叩きつける。
ドゴオッ、とはね返したが、わたしも衝撃でうしろへ跳ぶ。
はね返った巨大斧をキャッチしたナギサが迫る──が、驚いた表情で急停止。
「お前は──」
うしろへ跳んだわたしをガシッ、と誰かか受け止めた。
えっ、と振り向いた瞬間にすうっ、と《断ち斬る者》の状態が解除された。なんでいきなり……それとこの人物はいったい──。
「由佳殿……あとは我に任せられよ」
わたしの頭の中にダダダダ、と文字が打ち込まれる。
《宝剣男子》《剣人一如》華叉丸。
そこには神社の神主のような服を着た青年。全体的に紫を基調とした色。髪も紫で、前髪の一部分だけ赤い。
服の隙間からは籠手や脛当てが見える。武器は持っていないようだ。
注目すべきはその顔。声をかけられなければ、女と間違えてもおかしくないほどの端正な顔立ち。
目元は優しそうで、まさに少女マンガのヒロインが恋に落ちそうな憧れの先輩といった感じだ。
綺麗系イケメン嫌いのわたしだが、不覚にもドキッとしてしまった。
「反乱の首謀者……ノレスト領主、華叉丸……! よくもぬけぬけと僕の前に顔が出せたな」
ズウン、と巨大斧を地面に下ろしながらナギサが指をさす。
反乱を起こした領主……この男が。
しかも兵も率いず、ひとりで。あのナギサ相手にどうするというんだ。
「おとなしく投降すれば命までは取らない。軍を解体し、城から盗んだモノを返せ」
「やはり疑いは晴れぬか……あらぬ嫌疑をかけられ、一方的に反逆者扱い……我らとて座して滅ぼされるわけにはいかんのでな」
「しらばっくれるな! お前が葉桜溢忌の残党をかくまっているのも知っている! 抵抗するなら腕の一本や二本じゃ済まないぞ……」
「そうやって捕らえた者をあの忌まわしい塔に閉じ込めておられるのか……愚かな。あの《覇王》も彼岸で嘆いておられよう」
「……オヤジが……なんだって……!」
いかん。その言葉……虎の尾を踏んだも同然だ。見ろ、ブチキレたナギサが突っ込んでくるぞ。
「由佳殿は我がうしろへ──」
素手のまま前に出る華叉丸。ナギサが巨大斧を振りかぶる。
「宝剣招来ッ──」
華叉丸の背中から後光のように光が発せられ、ズラアッ、と何本もの剣が扇状に並ぶ。
その一本を掴み、地面に突き刺すとゴオッと炎の壁が噴き出した。
「こんなものっ!」
かまわず炎を乗り越えるナギサ。それに対し、さらに剣を振り炎を飛ばす華叉丸。そして再び叫ぶ。
「宝剣招来ッ──」
次に掴んだ剣からはコオオオ、と白い霧状のモノが複数、不気味に飛ぶ。
よく見ればドクロの形。まるで亡霊の群れのようにナギサにまとわりついた。
「このっ、くそぉっ! 離れろっ!」
巨大斧を振り回すが、亡霊達をすり抜けていく。
「由佳殿、今のうちに退くぞ」
華叉丸はさらに剣を出現させ、地面へ向けて放り投げる。
その剣はどこか機械的なゴツゴツした形状。地面に触れるとガシャガシャン、と変形して一本のローラーブレードに。
華叉丸は瞬時にわたしを抱え上げてそれに乗り、急発進。その場から離れる。
わたしは突然の出来事に唖然──抵抗する事すら忘れていた。
ナギサの怒号が次第に遠のいていく。
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