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第2部 消えた志求磨
7 剣人一如
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「由佳殿っ、そこから動くなっ!」
華叉丸が飛び出す。
「宝剣招来ッ──」
バチバチイッ、と電撃を帯びた刀を振る。
華叉丸の能力。出現させた剣や刀によって戦闘スタイルが変化する願望のようだ。
「気翔拳っ!」
振り下ろされた一撃を至近距離の気弾で迎撃。
ボカァッ、と爆発が起きて華叉丸が退がる。
ショウは逆に突っ込んでいき、連続で拳打を繰り出す。
華叉丸はすでに別の剣に持ち替えていた。
両手持ちの大剣。それを盾のようにしてショウの攻撃を防ぐ。
「跳虎連脚!」
ショウの空中連続蹴り。ゴゴゴッ、と大剣の上から叩き込む。華叉丸はさらに後退。
着地したショウが低い体勢から溜め──あの技は。
「焔撃鳳拳っっ!」
ゴオッ、と炎をまとったショウのアッパーカット。周りの木々も炎に包まれる。なんと迷惑な技だ。
「ぬんっ!」
華叉丸が大剣を振ると、白い光とともに衝撃波が発生。ショウを吹き飛ばし、周りの炎も消えた。
「やるなっ」
空中で回転しながらショウは嬉しそうに笑う。木の幹や枝を蹴りながらバババッ、と素早く移動。また来るぞ。
ボッ、ボボッ、と繰り出されるショウの蹴りや拳打をかわしながら華叉丸の大剣は消える。
「剣は人、人は剣。我は剣より顕現し存在。元来、剣は主を選べぬが──我が願望は人を剣に変え、これを操ることが出来る。これこそ我が剣人一如の能力」
華叉丸の両手が紫色に妖しく光る。
ガシイッ、と左で拳を受け止めながら右の掌でショウの胸板に触れる。
「──これはっ!?」
ショウの驚愕の声。
わたしの目の前でショウの姿が変化していく。
紫色に光りながら、ぐにぐにと粘土のように──。
華叉丸はそれを形を整えるようにして両手で押さえたり引き伸ばす。
紫色の光が収まると、華叉丸の手には一本の刀が握られていた。
「ふむ……彼らしい、剛直で切れ味の良さそうな刀だ。素晴らしい」
満足げに眺め、背中へ回すと刀はフッ、と消えた。
「いまのは一体……おい、ショウはどこ行ったんだ……?」
「我が能力で変化したのを見たであろう? 我はああやって人を剣や刀に変え、その力を行使できる」
「変えたって……大丈夫なのか? 変えられた本人は……」
面倒な格闘バカだが、ショウは悪人ではない。あんな姿になって平気なのだろうか。
「心配せずとも死んだわけではない。我が望めば元に戻す事もできる。いまのショウの変化も、ナギサ公と争う間だけだ」
《宝剣男子》……そういえば聞いたことがある。元の世界で人気のアニメ作品だ。
たしか有名な剣や刀を擬人化したキャラクターのはずだが……華叉丸の願望はそういう設定なのだろう。
だが、こんな人を剣に変えるなんて力があっただろうか。綾なら詳しい事を知ってるかもしれないが。
「さあ、先へ急ごう。砦からの部隊も近くまで来ているようだ。そこまで辿り着ければ安心だ」
華叉丸が手を差し伸べてくる。
わたしはそれに掴まりながら立ち上がった。
再びふたりで森の中を走る。
森の中にはすでに多くのナギサ軍が入り込んでいるようだ。
随所で小規模の戦闘に遭遇。味方の兵に加勢して敵兵を倒していく。
「いかんっ、あれは──テンプルナイツのひとりだ」
さらに進んだところで華叉丸が叫ぶ。
その先には──青い鎧に身を包んだ戦士。
兜や鎧は竜を模した形をしている。わたしの頭の中にダダダダ、と文字が打ち込まれた。
《ドラグーン》レオン・ハミルトン。
わたし達の姿を確認すると、手にした槍をブンッ、と振る。その足元にはノレストの兵士達が複数倒れていた。
「──おのれっ」
怒りにまかせ、突っ込んでいく華叉丸。
しかし、華叉丸の四方を半透明の赤い壁が取り囲む。
「なにっ!」
赤い壁とともに華叉丸の姿が消えた。空間転移──こんな真似ができるのは相当な力を持つ願望者だ。タイプ的に《ドラグーン》レオンの仕業ではない。
別の新手がどこかに潜んでいたのか。
ともかく華叉丸と引き離され、ひとりになってしまった。
無言でズンズン近づいてくるレオン。
わたしは《断ち斬る者》になれない。どこか調子が悪いのか──というか、わたしの中にいるはずの黒由佳の気配がまったく感じられない。
ゴッ、と槍をしごいて突き出してくるレオン。問答無用か。
居合いからの抜刀。槍の穂先を上に弾く。
返す刃で袈裟斬り。ブ厚い鎧に阻まれたが、いまのは斬鉄の技──レオンの鎧に亀裂が入り、たたらを踏む。
追撃──踏み込むが、ビュオッ、と石突きの部分を振り上げて反撃してきた。危ない。あと半歩前にいたら顎を砕かれていた。
コイツ……強い。華叉丸はテンプルなんとかのひとりだとか言っていた。五禍将みたいな幹部の名称だろうか。
《断ち斬る者》にはなれそうにないが、華叉丸の能力を見てピンときた。
元の世界で考えていた、わたしの新しい戦い方。コイツで試してやる。
華叉丸が飛び出す。
「宝剣招来ッ──」
バチバチイッ、と電撃を帯びた刀を振る。
華叉丸の能力。出現させた剣や刀によって戦闘スタイルが変化する願望のようだ。
「気翔拳っ!」
振り下ろされた一撃を至近距離の気弾で迎撃。
ボカァッ、と爆発が起きて華叉丸が退がる。
ショウは逆に突っ込んでいき、連続で拳打を繰り出す。
華叉丸はすでに別の剣に持ち替えていた。
両手持ちの大剣。それを盾のようにしてショウの攻撃を防ぐ。
「跳虎連脚!」
ショウの空中連続蹴り。ゴゴゴッ、と大剣の上から叩き込む。華叉丸はさらに後退。
着地したショウが低い体勢から溜め──あの技は。
「焔撃鳳拳っっ!」
ゴオッ、と炎をまとったショウのアッパーカット。周りの木々も炎に包まれる。なんと迷惑な技だ。
「ぬんっ!」
華叉丸が大剣を振ると、白い光とともに衝撃波が発生。ショウを吹き飛ばし、周りの炎も消えた。
「やるなっ」
空中で回転しながらショウは嬉しそうに笑う。木の幹や枝を蹴りながらバババッ、と素早く移動。また来るぞ。
ボッ、ボボッ、と繰り出されるショウの蹴りや拳打をかわしながら華叉丸の大剣は消える。
「剣は人、人は剣。我は剣より顕現し存在。元来、剣は主を選べぬが──我が願望は人を剣に変え、これを操ることが出来る。これこそ我が剣人一如の能力」
華叉丸の両手が紫色に妖しく光る。
ガシイッ、と左で拳を受け止めながら右の掌でショウの胸板に触れる。
「──これはっ!?」
ショウの驚愕の声。
わたしの目の前でショウの姿が変化していく。
紫色に光りながら、ぐにぐにと粘土のように──。
華叉丸はそれを形を整えるようにして両手で押さえたり引き伸ばす。
紫色の光が収まると、華叉丸の手には一本の刀が握られていた。
「ふむ……彼らしい、剛直で切れ味の良さそうな刀だ。素晴らしい」
満足げに眺め、背中へ回すと刀はフッ、と消えた。
「いまのは一体……おい、ショウはどこ行ったんだ……?」
「我が能力で変化したのを見たであろう? 我はああやって人を剣や刀に変え、その力を行使できる」
「変えたって……大丈夫なのか? 変えられた本人は……」
面倒な格闘バカだが、ショウは悪人ではない。あんな姿になって平気なのだろうか。
「心配せずとも死んだわけではない。我が望めば元に戻す事もできる。いまのショウの変化も、ナギサ公と争う間だけだ」
《宝剣男子》……そういえば聞いたことがある。元の世界で人気のアニメ作品だ。
たしか有名な剣や刀を擬人化したキャラクターのはずだが……華叉丸の願望はそういう設定なのだろう。
だが、こんな人を剣に変えるなんて力があっただろうか。綾なら詳しい事を知ってるかもしれないが。
「さあ、先へ急ごう。砦からの部隊も近くまで来ているようだ。そこまで辿り着ければ安心だ」
華叉丸が手を差し伸べてくる。
わたしはそれに掴まりながら立ち上がった。
再びふたりで森の中を走る。
森の中にはすでに多くのナギサ軍が入り込んでいるようだ。
随所で小規模の戦闘に遭遇。味方の兵に加勢して敵兵を倒していく。
「いかんっ、あれは──テンプルナイツのひとりだ」
さらに進んだところで華叉丸が叫ぶ。
その先には──青い鎧に身を包んだ戦士。
兜や鎧は竜を模した形をしている。わたしの頭の中にダダダダ、と文字が打ち込まれた。
《ドラグーン》レオン・ハミルトン。
わたし達の姿を確認すると、手にした槍をブンッ、と振る。その足元にはノレストの兵士達が複数倒れていた。
「──おのれっ」
怒りにまかせ、突っ込んでいく華叉丸。
しかし、華叉丸の四方を半透明の赤い壁が取り囲む。
「なにっ!」
赤い壁とともに華叉丸の姿が消えた。空間転移──こんな真似ができるのは相当な力を持つ願望者だ。タイプ的に《ドラグーン》レオンの仕業ではない。
別の新手がどこかに潜んでいたのか。
ともかく華叉丸と引き離され、ひとりになってしまった。
無言でズンズン近づいてくるレオン。
わたしは《断ち斬る者》になれない。どこか調子が悪いのか──というか、わたしの中にいるはずの黒由佳の気配がまったく感じられない。
ゴッ、と槍をしごいて突き出してくるレオン。問答無用か。
居合いからの抜刀。槍の穂先を上に弾く。
返す刃で袈裟斬り。ブ厚い鎧に阻まれたが、いまのは斬鉄の技──レオンの鎧に亀裂が入り、たたらを踏む。
追撃──踏み込むが、ビュオッ、と石突きの部分を振り上げて反撃してきた。危ない。あと半歩前にいたら顎を砕かれていた。
コイツ……強い。華叉丸はテンプルなんとかのひとりだとか言っていた。五禍将みたいな幹部の名称だろうか。
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