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第十八話
誰もいない休憩室にポツンと座っている彼女は仕事中と同じく背筋が真っ直ぐで美しかった。
声をかけたら終わってしまうこの時間が惜しい。もう少しだけ見ていたいけど、あの会話だけで窺えた彼女の性格では、この休憩は時余計な時間なのだということは熱に浮かれた俺でも理解できた。
「伊澄さん」
声をかけると一瞬警戒を表したが俺だと気づくと苦笑いを浮かべた。
「助かりました。デスクありがとうございます」
「ああ、別にいいよ」
迷惑をかけたことは間違い無いのに、自分じゃなくて主任に感謝を伝えろという誠実さに益々魅力を感じる。ここまではっきりと自分の意見を言えるだろうか。俺はできないかもしれない。
どうにか印象に残って欲しくてお礼に託けて小銭を出したら心底嫌な顔をされた。
奢られる行為が好きじゃないのかもしれない。しかも甘党じゃなさそう。最初から悪手だっただろうか。けど何かきっかけは欲しい。飲み物もランチも断られて八方塞がりだ。
やばい、このままでは嫌な印象になるかもしれない。焦る気持ちを見透かされたくなくて会話をするけれど彼女はドライな性格なのか、取り付く島もない。
そんな中で与えられた梅味の飴。
小さく口角を上げて「はい、これあげる」と、たったそれだけで立ち去る彼女を目で追いながら、手のひらの中に残された飴は消えずに残っていて、ただそれだけなのに高揚する気持ちが抑えられなかった。
口から気持ちが出ていくんじゃないかと思わず手で押さえたけど、当然何も出ていくわけもなく、ただただ口から言葉にならない呼気が溢れただけだった。
注意力散漫故にせっかく見せてもらった時間だけでは足りず、上長に掛け合って早朝から彼女の席を借りた。経理主任と小さな声で会話しながら仕事に集中する。主任がいてよかった。もし一人にされていたら彼女の席に着いたという事実だけで仕事が進みそうにない。
真面目に仕事をしていた自分への神様からのご褒美なのか、偶然にも彼女に再び会えた。
凛としている彼女は早朝でも変わらなかった。
カバンを下げてこちらを見下ろす顔は寒さからか、ほのかにピンクに染まっていて瞳は少し潤んでいた。朝から会えたことに気持ちが弾む。……どうしよう嬉しい。
でもそんな彼女は一方的な俺の気持ちなんて気づかずに今までの迷惑行為を訴えてきた。
仕事が思うように進まないことが余程嫌だったのだろう、仕事をしたい彼女はしたくもない早朝出勤までして帳尻を合わせようとしているのだ。
申し訳なさと、彼女を悩ませている女性たちへの苛立ちを覚える。今まで女性を疎ましく思ったことはあったが、鬱陶しいと思ったことはなかった。しかし彼女に迷惑がかかるのならそれは疎ましいという言葉では済まされない。
早々に女性たちへの対処をした。
ファンだと彼女は言うけれどそんな大層なものではないと思う。アイドルでもなんでもないのだし、ただ顔が良いと思う男に自分の妄想を押し付けて遊んでいるだけに違いない。
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楽しく読ませてもらっています。
結構はまってるんですけど、更新が…。
(´・ω・`)ショボーン
2人のキャラ設定が面白いですね!
°˖☆◝(⁰▿⁰)◜☆˖°
「経理」キャラってほかの小説でもよく出てきますけど、「松田ねこ太郎」先生のキャラ付けも大好きです!
更新楽しみにしてますねー!
(⋈◍>◡<◍)。✧💖
お返事が大変遅くなってしまいましたが、メッセージありがとうございます!
私も頑張って完結まで更新していきたいと思っています。
気長にになってしまいますが、お付き合いくださると嬉しいです。
2025/05/21 松田ねこ太郎