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第5話『執事の独り言』

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ジーヴスside

私はオールディス公爵家に使える執事、ご子息であられるロイス様がお出かけからお帰りになられる際に、リリア様も共にお帰りになられると聞いたので、リリア様シフトに変更を指示しているところです。

リリア様は隣のスレディナ子爵家のご令嬢ではありますが、ラインハルト様や、ベアトリス様、そしてロイス様に溺愛されていて将来的にはロイス様の奥方として、当家に嫁いでこられる方だと、指示をもらっております。

誠に失礼ながら我々使用人一同としましてもあの怯えた小動物のような仕草でロイス様や、ラインハルト様、ベアトリス様にお隠れになられる姿がとても愛らしく、庇護欲をそそられるものだと存じております。

リリア様におかれましては幼少期にその美しい美貌から誘拐されかけたことがトラウマになってしまい、他の人が恐怖の対象だと伺いましたので、リリア様が安心して屋敷にて過ごして頂くために、リリア様訪問時には使用人はあまりリリア様の前に現れることの無いようなシフトを組むことをラインハルト様に提案させて頂いた所、同意を頂きましたので、僭越ながら私や、メイド長のティナがリリア様のお世話をさせて頂いております。

リリア様も、近頃は私やティナの顔も見なれたらしく、ロイス様のお傍を離れることはございませんが、目を合わせてくださるまでに慣れてくださったようでございました。

その事もあり、学園入学までに誠に僭越ながら私が、教育係として、ロイス様とリリア様に勉強や、マナー、歴史等をお教えすることになりました。

オールディス公爵家として、教育係に必要な資格は、一通り取得しているので問題はございませんし、何より外部からの教育係の質が落ちているという評判を最近よく耳にするので、ラインハルト様や、ベアトリス様のご意見はとても素晴らしいものだと存じております。

リリア様より2つ年上のロイス様に置かれましては一足先に勉学やマナー、剣術をお教えさせて頂いておりますが、魔法や、薬術に関することはまだ始めておりませんのでその点を重点的に学習していただき、お二方には万全の状態で学園にご入学していただきたいと思っております。

学園に関してですが、お二方がご入学される場所はカナリア魔法学園と言いまして、国内で唯一1人からでの戦闘試験が認められている学園でもあります。

本来の戦闘試験ではパーティーでのバトルがメインでございまして、ランキング式の勝ち抜き戦であります。入学時から卒業時まで50ランクほど順位を上げることが出来ないと卒業が出来ないという制度でございます。

首席卒業の者は将来的に良い仕事に付けるだけでなく国王陛下に願い事をひとつ叶えて貰えるとあって日々順位の変動が激しいものであります。

カナリア魔法学園をラインハルト様が選んだ理由としましてはリリア様の精神の安全と共に、ロイス様とリリア様の魔力の相性が飛び抜けていいので、ほかのメンバーの方がパーティーに所属した場合には出来ない戦術が沢山あることもあります。

ラインハルト様はベアトリス様とタッグペアで首席卒業した方であり、ロイス様とリリア様の属性はまだ分かりませんが、共に強い魔力量を持っていらっしゃる上にラインハルト様が直接ご教示されるとの事で、首席卒業に、1番近いのではないかと存じております。




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