人が怖いお姫様と守護騎士

第8話『魔法』

今日から魔法を使ってみましょうかと言うジーヴスさんの指示に従って私とロイスは再び中庭に来ていた。昨日とは違う敷物の上に座り込み魔力の循環を学ぶ。

「体内にある魔力が動くことを想像してください。初めから魔力を感じるのは難しいのでまずはイメージからですね。頭から指先、足先までぽかぽかと温まるイメージですね。」
と言うジーヴスさんの言葉に従ってしぶしぶロイスの手を離そうとした私に、「お二人は魔力の相性がいいのでつないだままで大丈夫ですよ。」と教えてくれたものだからロイスと笑いあってキュッとつないだ手に力を込めた。

想像しても自分の魔力は感じられなかったけれどロイスと繋いだ手から暖かなものが流れてきた。「ロイスの魔力感じた。」とロイスを見つめると「俺もリリアの魔力が感じられた。暖かいな。」と笑いかけてくれた。

「でしたら、リリア様はロイス様の魔力を、ロイス様はリリア様の魔力の巡りを感じていれば自ずと魔力の通り道が分かるはずです。」と言われロイスから流れてきた魔力に集中した。指先から腕、肩、お腹、足を巡りまた指先へ戻って行くことが感じられた。

「その感じられた魔力を自ら動かすイメージですね。」と言われた通りに試してみると私の体内で温かいものがめぐり始めた。

ジーヴスさんがおやっと顔をしてから「お二方とも成功ですね。凄いです、では少し休憩を入れてから午後の授業に移りたいと思います。」というと敷物の上にピクニック気分のような軽食が並べられた。

私は食欲よりも眠気がピークに来ていてうとうとしているのに気づいたロイスが「はい、あーん」と口に入れてくれたサンドイッチをもそもそと咀嚼して飲み込む。ちょうどいいタイミングで追加を差し出されされるがままにお昼ご飯を終えて木陰でしばらくうとうとしていた。

午後からの授業は、魔法の発動方法であった。発動に、呪文などは必要ではないが、なるべく詳細にイメージすることが重要なようだった。手始めに指先へ魔力を貯めて手のひらサイズの竜巻を発生させることをイメージした。

案の定すぐに掌に竜巻が現れた。その隣でロイスは小さな火種を指先に灯していた。

あまり、魔力が減った自信もなくジーヴスさんを見つめると「そのままの現象を保っていて下さいませ、魔力制御の訓練となりますので。」というジーヴスさんの言葉に従って、魔法を放出しておいた。

これがかなり大変で気持ちと共に風も弱まり
消えそうになるのを何度も持ちこたえた。これを制御訓練というらしい。

隣ではロイスが飄々とした顔で魔力制御をつづけていた、