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第10話『お家』

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次に向かったお店は可愛らしい雑貨屋さんで、可愛いアクセサリーや、ぬいぐるみが沢山あった。可愛いぬいぐるみがみたくてロイスの手を引っ張って棚の近くに寄った。

兎さんや熊さん、狼さんに羊さん色々なぬいぐるみがあったけれど私が一番気になったのは青の目の鷹のぬいぐるみだった。キリッとした凛々しい顔がロイスに似ている気がしてぬいぐるみを眺めていると「気に入ったものがあった?」とロイスが私の顔を覗き込む。

「上の棚の鷹のやつがロイスに似ててかっこいい。」と私が言うとロイスの顔が真っ赤になった。私はびっくりして「大丈夫?お熱?」とおでこを合わせたけれどロイスは「大丈夫」と恥ずかしそうにしていた。

そこにベアトリス様が来て、「ロイスは恥ずかしがり屋さんだからかっこいいって褒められて嬉しかったんだわ」と私に耳打ちしてくれた。私はそっか!とベアトリス様に頷いた。

そんなことをしているうちにロイスが鷹のぬいぐるみを手に持ちお会計へと向かった。私は慌ててロイスを追いかけたけれど「プレゼントさせて?」というロイスの笑顔に頷くしかなかった。

それから街でお昼ご飯を食べて可愛いアクセサリーを見て、ロイスにもらったぬいぐるみを抱えながらロイスのお家に向かった。

ロイスのおうちに着くと何だかバタバタしていて、普段は見かけない人も沢山いた。なれない雰囲気にびっくりしてロイスの手をぎゅっとにぎり、私のお部屋に戻った。

いつも帰ってくると会いに来るジーヴスさんも、ティナさんもお部屋には来なかった。普段と違う感覚に、人混みに揉まれて緊張していた私は泣き出してしまった。

何がとは分からいけれど不安で嫌な予感がして涙が止まらなかった。必死に目を擦る私にロイスがふわふわのタオルで涙をふいて私を抱きしめてくれた。ロイスのそばは安心して、私は疲れからか眠ってしまった。

目が覚めたとき、私はベッドの上にいて、周りをロイスとベアトリス様、ラインハルト様が囲んでいた。私は何かあったのかな?と首を傾げると、「目が覚めたか、」とラインハルト様が神妙そうな顔をしていた。

私が頷くとラインハルト様が「済まない、リリア、1度家に帰ってもらえるか?」と言われた。私は初めて言われた帰れという言葉に驚きが隠せなかった。私がびっくりしていると、ベアトリス様が「ごめんなさいね、どうやらうちの家、狙われてるらしいのよ、」と私が首を傾げると、「昔、俺が捉えた盗賊が脱獄したらしくてね、うちに来る可能性が高いんだ、だから外部からは安全な家にいてくれ」とラインハルト様が言った。

私は「わかりました」とだけ答えてロイスに抱きついた。
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