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第20話『お茶会』

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連れてかれた場所は日当たりのいいカフェテラス。でも車椅子に座る私には届かない高さのテーブルで、「あら、ごめんなさいね、リリアさんにはテーブルが高かったかしら?」とご令嬢達がくすくすと小さく笑う。

私はなんでここに居るんだろうって途端に恥ずかしくなった。カフェテラスは、放課後だからかなのか、ご令嬢達がなにかしたのかは分からないけれど私たち以外の人はいなかった。

「今日はね、リリアさんにお願いがあって皆さん集まりましたの。」とニッコリ微笑む、1人のご令嬢、周りの人はまるで取り巻きのように頷くだけ、私への害意と、言われたから従って居るだけのような取り巻きたちの行動に薄ら寒いものを感じた。

「ねぇ、リリアさん?車椅子のあなたがロイス様の唯一のパートナーなんて、不遜だと思わなくって?」やっぱり、そう来たかと思った。ロイスが囲まれている時に私の陰口を話していたのは彼女の取り巻きたちで、彼女たちの中では社交界にでてない私など、元々眼中になかったのだろう。でも、学園が始まった途端、憧れのロイスの傍に私がひょっこり居て、パーティーを組んでもらって、あわよくば引きこもりの婚約者の座を奪ってやろうと思っていたのを邪魔されて、苛立ちを隠せずに私に直接言ったのだろうか。

「でもそれだとリリアさんが1人になって可哀想でしょう?だから私の弟を付けるわ、だからロイス様に言ってくれる?パーティーは組まないって」と私の顔を覗き込む彼女の顔がとても歪んで見えて、怖くなって返事をしないでいると、「ジジア様のお言葉を無視するなんて!」と取り巻きのひとりが怒り、別の人が、私にカップのお茶をかける。「あら、ごめんなさいね、手が滑ってしまって。」カップのお茶はもう温くて、やけどにはならなかったけれど、新しい制服にシミになりそうで悲しかった。

無言のまままた車椅子を押され、着いた先は薄暗い埃っぽい使っていない教室で、案の定、そこに置いていかれ、鍵を閉められてしまった。私は「大丈夫、すぐロイスが来てくれる」って自分に言い聞かせたけれど攫われた時の記憶が蘇り過呼吸になってそのまま気絶してしまった。
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