上 下
27 / 28

第25話『エピローグ』

しおりを挟む
両思いになって、ヴィンセントさんの言うそこから先って言うのはよくわからなかったけれど、気づいたら婚約者?とかいうものになっていた。

婚約者?になっても今まで通りヴィンセントさんのそばで一日を過ごす変わらない日々でそのがとても愛しいものだと知った。

ヴィンセントさんがそばに居てくれるから暗いのも少しくらいなら怖くなくなったし、ヴィンセントさんがいなくなるのは怖いけれど「ずっと俺のそばにいてくれ」って言われたから大丈夫。

私はヴィンセントさんの婚約者?だからヴィンセントさんのお部屋で寝泊まりしてずーっと離れちゃいけないんだって、そんなの聞いたこともないから不思議な感じだけど彼が言うならそうなんだろう。

それからしばらくは婚約者として過ごした私はヴィンセントさんと正式に結婚することになった、彼はもう近衛騎士団長ではないし、私も実験体じゃなくなった。

名前がなかった私はヴィンセントさんにレナという名前もつけてもらって、婚約期間にヴィンセントさんとの強いパイプが欲しくて私の親を語る鳥人の人も沢山来たりしていたけれどヴィンセントさんの「ほぉ、お前がうちの可愛いレナをスラムなんぞに捨てたんだな」という一言でみんなすごすごと下がって行った。

ゴーンゴーンと鐘が鳴る中、真っ白なドレスを身にまとった私を眩しそうに見つめるヴィンセントさんの騎士の服ではない正装もかっこよくて、ドキドキしながら彼を見つめた、ヴェールに隠れて赤い顔は見えないだろうけれど見惚れていることはバレていたらしいクスッと笑われてしまった。

ギィィと鈍い音を立てて開かれた大きな扉、父親の代わりにエスコートを無理を承知で頼んだのはフィルマンさんで彼は二つ返事で頷いてくれた。私が探してくれたことにお礼をする時にしれっとヴィンセントさんが頼んでいたこと、私を気遣ってくれていたフィルマンさんに泣いて喜んでもらえて、その手に引かれて真っ赤な絨毯の上を歩く、その先にはヴィンセントさんが居て、光の差し込む教会で私は彼と永遠を誓った。

ヴィンセントさんの友人と最近できた私のお友達、みんなに祝福されて涙が止まらなかった。誰かに幸せを祝って貰ったのは初めてで、いつか私も誰かの幸せを言われる人になりたいなそう思えたことに感謝を。

私が生まれてから、辛かったこと、苦しかったことも多かった、でも全部今の幸せのため、ヴィンセントさんに会うための準備だって思ったら苦しくて痛くて、寒くて死にたくなった思い出も大切だって思えるようになった。

だからね、顔も知らない両親へ産んでくれてありがとう今、私は幸せです。
しおりを挟む

処理中です...