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20.お屋敷にて(ルドルフ視点)①
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やっと私の屋敷に一緒に行く約束をする事ができた。少し強引な手を使ったがこうでもしないと無理だったので気にしない事にした。
行きの馬車内で「お前覚えてろよ!」とは言われたが本当に嫌ならとっとと逃げ出しているはずなので(それをできるだけの能力はある)その言葉も気にしない。でも一応美味しい食事でもてなす(ごまかす)予定にしているのでご勘弁願いたい。いつも一緒に食堂で食事をしているので好みはリサーチ済み。今頃屋敷のコックが準備に勤しんでいる事だろう。
学園の馬車は王族が乗る事もあるので乗り心地は素晴らしく数時間の道中も苦にならなかった。
「おぉー本当にお屋敷だー。緊張する…」
使用人たちが出迎えてくれるなか屋敷に入る。久しぶりの我が家はいつも通り暖かい雰囲気に包まれている。
「やあ、君がルドルフの言ってたリュ君だね。初めまして。父のエルンストだ。こちらは妻のルイーゼ。今日は来てくれて本当に嬉しい。是非我が家でゆっくりしていってくれたまえ」
父と母が現れた。
リュはどのように反応するのか?と思って横を見ると
スッと作法通りの礼をし
「リュと申します。お招きありがとうございます」
『突貫工事で何とか覚えた』と本人は言っていたがなかなかサマになっている。ぎこちなさは否めないが、何だろう?筋が通っているというか綺麗な形になっているのが不思議だ。後で父に聞いたら『身体をキチンと鍛えているから姿勢が保てて礼が崩れず美しく見えるのだよ』と教えてくれた。私も図書館ばかり行かずに少しは運動をするかな…
「…あとこちら大した物ではございませんが滞在のお礼に是非お受け取り下さい」
リュは執事に何かを渡した。それは薬草だった。
「我が村の特産品です。この薬草はどの薬に混ぜてもその薬の効き目を上げる効果がございます。執事様が薬草に大変お詳しいとお聞きしましたのでご確認いただけたら」
父に目で促された執事は薬草を確認し
「これは!なかなか手に入れるのが難しい貴重な薬草です!実物を見るのは私も久しぶりです」と驚いた。
「それからこちらは使用人の皆さんでお使い下さい。伯母の薬草店の商品で、ちょっとした傷やあかぎれならこれを塗ると1日で治ると評判になっている物です」
と猫のシルエットが描かれた入れ物に入った物も渡した。
「これはひょっとしてあの『ゲルダの薬草店』の『ピピの塗り薬』では?」
母の側に控えてた侍女長が声をあげた。彼女に言うところによると『売れすぎていてなかなか手に入らないレア商品』のようだ。馬車に乗る前にゲルダさんの店に寄り道したのはこの為か…しかしこれだけ高価な品物買って大丈夫なのか?とリュに耳打ちすると『薬草はおばばが持ってけってくれた。塗り薬は宣伝になるからタダでいいって』と小声で返ってきた。やはりゲルダさん商売人だ…
応接室に場所を移し、ゆったりとお茶をしながら話がはずんだ。彼の緊張も少しほぐれたように見える。
「そう言えばルドルフから聞いたのだが、ハインリヒ君が不正入学だった事を暴かれる前から知っていたようだったと…本当かね?」身を乗り出す父。
「あ!それ私も知りたかったんだ。教えてくれないか?」
リュは目をぱちくりして
「えーどこから話せば…」
私の父は森に入る時私に常々
『いいか、森に入ったら周りを良く観察しろ。昨日と違う所はないか?周りと様子がおかしい所はないか?と気を配れ。それが出来ない奴は森で仕事をする事は出来ない。絶対だ、分かったな』と言ってます。
学園という新しい環境に入るのは新しい森に入るようなものと考えて良く周りを観察するようにしていたら気がついたのです。
入学式の後クラスで自己紹介の時間があり、仮面のルドルフ君の時、半分くらいの学生は『あぁ魅了の…』という反応。残りは『仮面の理由は?』『本人がいうまで聞かない方がいいかも』といった感じで変な先入観がなさそう、少なくともマイナスな感じは受けなかったんです。
学園の選抜基準は『人格』。クラスの様子を見るに変な先入観を持たず差別的な考えも持たない又は持ったとしても表には出さない人格が選ばれているのではと私は判断しました。考えてみれば当たり前ですよね。貴族の子弟に家名を名乗るのも禁止しているくらい身分差をなくして教育をする場なのですから。
それなのに私の番になった時クラスで誰も浮かべてない『差別的』な『嫌悪感』たっぷりの表情をこちらに向けている学生が1人だけいたので驚きました。それが羽…ハインリヒ君でした。これだけなら『選抜が甘かったのかな?』と思われるのですが、他の学年の学生さんたちと話したり接触したりしているうちに他に誰1人そんな学生はいない事に気がついてしまい…『選抜が甘い』ではなく『選抜の不正』の可能性に至ったわけです。
なるほど筋が通ってる…でもハインリヒ君の名前は覚える気がないのか…
話を頷きながら聞いていた父はいたく感心した様子で
「12歳とは思えないくらいの思考力だね。ルドルフいい友人を得たな。ところでリュ君」
椅子から身を乗り出して
「うちの遠縁に後継のいない家があって…」
「ちょっと…」と私と母が話を止めようとしたその時
急にドアが開けられた。
「私もお話に参加したいわ」
それは『我が家で1番の美形』『女傑だった曽祖母の生まれ変わり』『我が家の後継者』『話さなければ聖女のような』と色々言われている私の姉ーシャルロッテだった。
行きの馬車内で「お前覚えてろよ!」とは言われたが本当に嫌ならとっとと逃げ出しているはずなので(それをできるだけの能力はある)その言葉も気にしない。でも一応美味しい食事でもてなす(ごまかす)予定にしているのでご勘弁願いたい。いつも一緒に食堂で食事をしているので好みはリサーチ済み。今頃屋敷のコックが準備に勤しんでいる事だろう。
学園の馬車は王族が乗る事もあるので乗り心地は素晴らしく数時間の道中も苦にならなかった。
「おぉー本当にお屋敷だー。緊張する…」
使用人たちが出迎えてくれるなか屋敷に入る。久しぶりの我が家はいつも通り暖かい雰囲気に包まれている。
「やあ、君がルドルフの言ってたリュ君だね。初めまして。父のエルンストだ。こちらは妻のルイーゼ。今日は来てくれて本当に嬉しい。是非我が家でゆっくりしていってくれたまえ」
父と母が現れた。
リュはどのように反応するのか?と思って横を見ると
スッと作法通りの礼をし
「リュと申します。お招きありがとうございます」
『突貫工事で何とか覚えた』と本人は言っていたがなかなかサマになっている。ぎこちなさは否めないが、何だろう?筋が通っているというか綺麗な形になっているのが不思議だ。後で父に聞いたら『身体をキチンと鍛えているから姿勢が保てて礼が崩れず美しく見えるのだよ』と教えてくれた。私も図書館ばかり行かずに少しは運動をするかな…
「…あとこちら大した物ではございませんが滞在のお礼に是非お受け取り下さい」
リュは執事に何かを渡した。それは薬草だった。
「我が村の特産品です。この薬草はどの薬に混ぜてもその薬の効き目を上げる効果がございます。執事様が薬草に大変お詳しいとお聞きしましたのでご確認いただけたら」
父に目で促された執事は薬草を確認し
「これは!なかなか手に入れるのが難しい貴重な薬草です!実物を見るのは私も久しぶりです」と驚いた。
「それからこちらは使用人の皆さんでお使い下さい。伯母の薬草店の商品で、ちょっとした傷やあかぎれならこれを塗ると1日で治ると評判になっている物です」
と猫のシルエットが描かれた入れ物に入った物も渡した。
「これはひょっとしてあの『ゲルダの薬草店』の『ピピの塗り薬』では?」
母の側に控えてた侍女長が声をあげた。彼女に言うところによると『売れすぎていてなかなか手に入らないレア商品』のようだ。馬車に乗る前にゲルダさんの店に寄り道したのはこの為か…しかしこれだけ高価な品物買って大丈夫なのか?とリュに耳打ちすると『薬草はおばばが持ってけってくれた。塗り薬は宣伝になるからタダでいいって』と小声で返ってきた。やはりゲルダさん商売人だ…
応接室に場所を移し、ゆったりとお茶をしながら話がはずんだ。彼の緊張も少しほぐれたように見える。
「そう言えばルドルフから聞いたのだが、ハインリヒ君が不正入学だった事を暴かれる前から知っていたようだったと…本当かね?」身を乗り出す父。
「あ!それ私も知りたかったんだ。教えてくれないか?」
リュは目をぱちくりして
「えーどこから話せば…」
私の父は森に入る時私に常々
『いいか、森に入ったら周りを良く観察しろ。昨日と違う所はないか?周りと様子がおかしい所はないか?と気を配れ。それが出来ない奴は森で仕事をする事は出来ない。絶対だ、分かったな』と言ってます。
学園という新しい環境に入るのは新しい森に入るようなものと考えて良く周りを観察するようにしていたら気がついたのです。
入学式の後クラスで自己紹介の時間があり、仮面のルドルフ君の時、半分くらいの学生は『あぁ魅了の…』という反応。残りは『仮面の理由は?』『本人がいうまで聞かない方がいいかも』といった感じで変な先入観がなさそう、少なくともマイナスな感じは受けなかったんです。
学園の選抜基準は『人格』。クラスの様子を見るに変な先入観を持たず差別的な考えも持たない又は持ったとしても表には出さない人格が選ばれているのではと私は判断しました。考えてみれば当たり前ですよね。貴族の子弟に家名を名乗るのも禁止しているくらい身分差をなくして教育をする場なのですから。
それなのに私の番になった時クラスで誰も浮かべてない『差別的』な『嫌悪感』たっぷりの表情をこちらに向けている学生が1人だけいたので驚きました。それが羽…ハインリヒ君でした。これだけなら『選抜が甘かったのかな?』と思われるのですが、他の学年の学生さんたちと話したり接触したりしているうちに他に誰1人そんな学生はいない事に気がついてしまい…『選抜が甘い』ではなく『選抜の不正』の可能性に至ったわけです。
なるほど筋が通ってる…でもハインリヒ君の名前は覚える気がないのか…
話を頷きながら聞いていた父はいたく感心した様子で
「12歳とは思えないくらいの思考力だね。ルドルフいい友人を得たな。ところでリュ君」
椅子から身を乗り出して
「うちの遠縁に後継のいない家があって…」
「ちょっと…」と私と母が話を止めようとしたその時
急にドアが開けられた。
「私もお話に参加したいわ」
それは『我が家で1番の美形』『女傑だった曽祖母の生まれ変わり』『我が家の後継者』『話さなければ聖女のような』と色々言われている私の姉ーシャルロッテだった。
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