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7 洞 ③
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動物公園という名前の地獄から解放されたのは昼過ぎだった。
「あ~楽しかったね~写真もいっぱい撮れて満足!」
あの状況を楽しめるのか?…ショウの携帯を覗くと写真のフォルダが今日1日で溢れかえってすごい事になってる。容量足りる?
あ!この写真ふれあい広場で飼育員さんに俺が謝られてるところだ!こんなのまで撮ってるんだ。俺渋~い顔してるけどこれってショウ的には良い写真なのか?
「ミイちゃん~もう1カ所行きたい場所があるんだけど~」
背中の毛が逆立つ。嫌な予感。
「危なくない所なんだろうな?」
そんな俺の言葉はあいつには届いてないらしく
「こっちこっち~ここから歩いて行けるんだ~」とスキップしながらどんどん先に進んで行ってしまう。
『マツナガさんと一緒に帰ればよかった』
後悔先に立たずってこう言う時の言葉で合ってる?
着いた場所は大きな横穴の前だった。入り口にはいい感じに寂れた管理人小屋があり、『お一人様500円』と書いてあるやや煤けた紙が貼ってあった。もう穴はゴリゴリなんだけど…
「鍾乳洞だよ~。パワースポットって聞いた事ない?それで有名だって~ほらここに書いてあるでしょ?」
ショウの持ってるその本、既視感が…
「あっ!これあの時のトンデモ本じゃないか!」
そうその本はショウが砂の町を探そうとしたきっかけになった本だ。有象無象のトンデモ話が沢山載っている。砂の町で少しは懲りたかと思ったがダメだったか…とっとと取り上げて古紙回収に出してしまうべきだった。
「ん?これはこの間のとは違うよ~。今月号なんだ~。毎月定期購読中~」
「マジか…定期購読は解約しろ。もっとちゃんとした本が世の中には沢山あるだろう!やっぱり帰る!」
と回れ右して帰ろうとしたら、ガッと肩を掴まれた。その痩せた身体から出るとは思えないほど強い力、そしてそれに似つかわしくない半べそ顔。
「ただの観光地だよ~。この辺りではそこそこ有名なんだよ~。1周15分くらいしかかからないよ~」
あの管理人小屋の寂れ具合から察するに『そこそこ有名』ではなさそうだけど、一応管理されてるみたいだし…俺ショウのあの顔に弱いんだよな。仕方ない行くか
やる気のなさそうな管理人さんに料金を支払い鍾乳洞に入ってみると、下に続く階段がありその奥がパワースポットになっているらしい。俺たちの他に観光客はおらず、ポタポタ垂れる水音とひんやりとした空気に満ちている。上を見ても横を見ても氷柱状の鍾乳石がびっしりで壮観だ。歩行者用の通路はちょっとぬめって歩きにくいが、まあまあ良い観光スポットなんじゃないかな。と、どんどん奥へ進んでいくと
「うわーすごい!」
通路の突き当たりには青い池があった。青白い鍾乳石に囲まれた深い深い青い池。照明の灯りは届いていないはずなのにほのかに光ってる様にさえ見える。これは確かにパワースポットと言われても納得だ。動物公園で疲れた俺の心も癒してくれそう。柵があるので近づけないがこの位置からでも…
「おい!何してる!」
見ると、ショウがその柵を乗り越えている。捕まえようと手を伸ばしたが、するりと逃げられあっという間に向こう側へ。そして青い池へダッシュ!俺は管理人さんに通報すべきかそれとも追いかけるか一瞬悩んだが、それはほんの一瞬。
俺も柵を乗り越え、ショウの後を追った
「あ~楽しかったね~写真もいっぱい撮れて満足!」
あの状況を楽しめるのか?…ショウの携帯を覗くと写真のフォルダが今日1日で溢れかえってすごい事になってる。容量足りる?
あ!この写真ふれあい広場で飼育員さんに俺が謝られてるところだ!こんなのまで撮ってるんだ。俺渋~い顔してるけどこれってショウ的には良い写真なのか?
「ミイちゃん~もう1カ所行きたい場所があるんだけど~」
背中の毛が逆立つ。嫌な予感。
「危なくない所なんだろうな?」
そんな俺の言葉はあいつには届いてないらしく
「こっちこっち~ここから歩いて行けるんだ~」とスキップしながらどんどん先に進んで行ってしまう。
『マツナガさんと一緒に帰ればよかった』
後悔先に立たずってこう言う時の言葉で合ってる?
着いた場所は大きな横穴の前だった。入り口にはいい感じに寂れた管理人小屋があり、『お一人様500円』と書いてあるやや煤けた紙が貼ってあった。もう穴はゴリゴリなんだけど…
「鍾乳洞だよ~。パワースポットって聞いた事ない?それで有名だって~ほらここに書いてあるでしょ?」
ショウの持ってるその本、既視感が…
「あっ!これあの時のトンデモ本じゃないか!」
そうその本はショウが砂の町を探そうとしたきっかけになった本だ。有象無象のトンデモ話が沢山載っている。砂の町で少しは懲りたかと思ったがダメだったか…とっとと取り上げて古紙回収に出してしまうべきだった。
「ん?これはこの間のとは違うよ~。今月号なんだ~。毎月定期購読中~」
「マジか…定期購読は解約しろ。もっとちゃんとした本が世の中には沢山あるだろう!やっぱり帰る!」
と回れ右して帰ろうとしたら、ガッと肩を掴まれた。その痩せた身体から出るとは思えないほど強い力、そしてそれに似つかわしくない半べそ顔。
「ただの観光地だよ~。この辺りではそこそこ有名なんだよ~。1周15分くらいしかかからないよ~」
あの管理人小屋の寂れ具合から察するに『そこそこ有名』ではなさそうだけど、一応管理されてるみたいだし…俺ショウのあの顔に弱いんだよな。仕方ない行くか
やる気のなさそうな管理人さんに料金を支払い鍾乳洞に入ってみると、下に続く階段がありその奥がパワースポットになっているらしい。俺たちの他に観光客はおらず、ポタポタ垂れる水音とひんやりとした空気に満ちている。上を見ても横を見ても氷柱状の鍾乳石がびっしりで壮観だ。歩行者用の通路はちょっとぬめって歩きにくいが、まあまあ良い観光スポットなんじゃないかな。と、どんどん奥へ進んでいくと
「うわーすごい!」
通路の突き当たりには青い池があった。青白い鍾乳石に囲まれた深い深い青い池。照明の灯りは届いていないはずなのにほのかに光ってる様にさえ見える。これは確かにパワースポットと言われても納得だ。動物公園で疲れた俺の心も癒してくれそう。柵があるので近づけないがこの位置からでも…
「おい!何してる!」
見ると、ショウがその柵を乗り越えている。捕まえようと手を伸ばしたが、するりと逃げられあっという間に向こう側へ。そして青い池へダッシュ!俺は管理人さんに通報すべきかそれとも追いかけるか一瞬悩んだが、それはほんの一瞬。
俺も柵を乗り越え、ショウの後を追った
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