疾風の往く道

初音

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写真の裏側②

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 それにしても、急に連絡がつかなくなれば武雄には心配をかけるだろう。キヨには、学校には、どのように話が伝わっているのだろうか。
 このまま、九州に行くのだろうか。キヨにも会えず、武雄にも会えず。考えたら、ぞっとした。

 せめてそれぞれに手紙を出そうと、悉乃は事情をしたためた。シゲに託して郵便に出してもらおうとしたが、悉乃の行動は文信にはお見通しだったようで。

「悉乃さま……申し訳ありません。旦那さまから、悉乃さまが外の方と連絡を取ることを許すなと仰せつかっておりまして」

 シゲは本当に申し訳なさそうな様子ではあったが、文信の命令に反してまで悉乃の味方をするつもりはないようだった。シゲの事情も気持ちもわからないではない。文信の逆鱗に触れれば、自らが路頭に迷ってしまうのだから。シゲを責めるのはお門違いだ。

「そう。わかったわ」

 悉乃は、シゲから返された手紙を受け取った。だが、このままでは終われない。


 シゲに頼んでダメなら、自分でなんとかするしかない。悉乃は直接文信の部屋に行き、手紙を出させてくれと談判した。
 
「そんなもの、許可できるわけがないだろう。お前を外に出せないはあの男のせいだというのがまだわからんのか」
「ですが、急に消息を絶ったら不義理というものですわ」
「あの男に義理など立てる筋合いはない。それと、学校にはもう退学の意思を説明してある。鹿嶋キヨとかいう女への手紙もならぬ」
「あんまりですわ。せめてキヨさんだけでも。退学するならなおさら、学友に別れの挨拶くらいしなければそれこそ不義理ですわ」
「知ったことか」

 ここで、ハイそうですかとは引き下がらない。悉乃は、考えておいた台詞を放った。

「キヨさんは、あの鹿嶋財閥のご令嬢ですのよ。友人としての縁を繋いでおくことはお父様にとっても悪い話でないと思いますけれど。残念ですわ。ろくな挨拶もせずキヨさんの前を去ったら、きっと私、嫌われてしまう……」
「か、鹿嶋財閥だと……!」

 文信の目の色が変わった。悉乃は「本当ですわよ」と念を押した。文信は悔しそうに唇を噛み、しばらく考え込んだ。

「……そのキヨ殿という友人に手紙を出すことを許そう。ただし、本当に挨拶だけなのかどうか、送る前に中は確認する。いいな」
「ありがとうございます……!」

 悉乃はパッと顔を綻ばせた。中を確認する、というのは厄介だが、一歩前進だ。悉乃は早速自室に戻ってペンを取った。

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