怪談レポート

久世空気

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№183 後部座席

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 1年前、高校のときの同級生とプチ同窓会をしたんです。仲が良かった5人でご飯食べて近況報告して・・・・・・。私は車で来たし、他の子たちもそれほどお酒は飲まなかったので、テンションは高めでしたがしっかりしていたと思います。

 全員を最寄り駅まで送ってあげることにして、私は助手席に一人、後部座席に3人乗せて車を出しました。駅まではすぐだったはずですが、曲がる場所を間違えたのか、何故かどんどん山の方に向かいました。

 もちろん途中、軌道修正を試みました。全員で地図アプリや標識で道を確認しながら走っているのに、どんどん駅から離れていくんです。
「停まろうか?」
 と私は言いましたが、後部座席にいる一人が怖がって
「こんなところに停まってどうするの!」
 とヒステリーをおこし、車内は最悪の雰囲気になりました。

 一方通行で街灯が少ない道を走っていたら、トンネルが現れました。全員息をのむのが分かりました。でも引き返すすべはありません。私は心の中で念仏を唱えながらトンネルに入りました。

 その瞬間バン! と窓を叩く音がしました。後部座席で悲鳴が上がり、誰かが泣き出しました。助手席の子は何かブツブツとつぶやいていたので私と同じように念仏や題目を唱えてるんだと思いました。私はとにかく前を向いて、続く窓を叩く音に気を取られないように運転に集中しました。

 どのくらいの長さのトンネルだったのかは分かりません。体感では10分くらいあったような気がしますが、もしかしたら1分くらいだったかもしれません。トンネルを抜けるとすぐに明るい道に出ました。助手席の子が
「駅の近くだ!」
 と声を上げ、後部座席からも喜びと安堵の声が漏れました。
 「良かった!」「なんだったんだろうね」「ああ、まだ涙出てくる」

 私も力が抜けましたが、まだ心臓がドキドキしていました。

「駅近でお茶でもして帰る?」
 と、声を掛けると後部座席の一人が
「う~ん、でも家に帰ってゆっくりしたいかな。お腹の子も心配だし」

 言葉の意味を捉えかねていると他の子も
「そうだよね、あんまり母体には良くないよね」「お腹の子もびっくりしちゃったよね」

 駅について振り返って友達の一人を見ると、さっきまでぺったんこだったお腹が大きくなっていました。誰もそれをおかしいとは言いません。私だけ困惑して言葉が出ずにいましたが、気にせずに車を降りていきます。最後に後部座席の子が降りたとき、唇に指を当てて「黙って」というポーズをして微笑みました。
 あのときの子は生まれ、そろそろ1歳になります。未婚で産んだそうです。一体なんの子供なのか、どうして誰も疑問に思わないのか分かりません。

――そのときのメンバーからまた同窓会の連絡が来ているが、宇野さんは返事をしかねているらしい。
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