最速の英雄ANY%~RTA走者がゲーム世界に異世界転移。攻略知識を生かして知識チート攻略していきます。~

貝竜

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第82話 作戦立案

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『借りを返す。』
「そうだね。負けっぱなしっていうのは性に合わない。」
「ええ、あの時より私たちは強くなってる。今ならきっと勝てるはず……!」
「そうですわ。お姉さま。一度の負けがなんだと言うのです。最後に勝った者こそ真の勝者ですわ。それに今はわたくし達も付いています!我らの魔法でお姉さまたちをバックアップいたしますわ!」
「でもあのバリアはやっかいだね。攻撃が通らない。」
――バリアなんてあったかしら?
――あの時のレーヴェリオンに攻撃してもバリアのせいで通らないんだ。って言わなかったっけ?
――そんなこと忘れちゃったわ。
――そっかぁ忘れちゃったなら仕方ないなぁ。
「ご心配なく!バリア魔法を中和する魔法装置……下層世界では落果遺物と呼んでいるものがございますわ!それを使えばバリアを無力化できるかと。」
「そんな落果遺物あるんだ!ていうか魔法装置っていうんだ!見せて見せて!」
「はい、よろしいですわ。ハウンド、あとでタラサ様を魔法装置保管庫にお連れしなさい。」
「はっ畏まりました。」
「やったぁ!」
「その落果遺物でバリアを無効化するとして、どうやってレーヴェリオン王の下に向かうのですかな?」
「お父様はずっとレーヴェリオン王を警戒しておりました。戦う力はもっておらねども、こと情報においては他国の追随を許さないほどにレーヴェリオンの行動を監視しておりました。」
――他にも国あるんだ。戦う力持ってなかったら意味ないわよね?というかJ達にやったみたいに拘束してギロチンかければいいんじゃない?
――多分通用しないの分かってるんだよ。
「下層の王城にいるレーヴェリオンは本体ではありません。あれは魔力を固めて作った幻影です。おそらく本体は最下層の魔王場にあるはずです。」
「曖昧な言い方ね。」
「はい、お父様の感知は下層世界までしか届きませんでした。その下の最下層まではどうしてもレーヴェリオンの魔力の壁が厚く感知できないようでした。」
「私たちは1週間以内に得体の知れない最下層に行って本体を倒すのが使命ってわけね。」
「はい、無茶を承知でお願い致します。我が国には兵士はおれども戦力があるとは言い難き平和な国。今までは父王の魔法によって少量のモンスターの侵入のみ許しておりましたが、父が倒れた今、隣国も含めてこのままではレーヴェリオンに蹂躙されるのが事の始末かと。」
「なかなかハードだね。Jはいいのかい?」
① 『ああ、やろう』
② 『シスネ。バックアップを頼む。』
③ 『難しい依頼だ。』
④ 『無理だ。怖い。』
Jは2番目の選択肢を選んだ。
『シスネ。バックアップを頼む。』
「もちろんですわ。国を挙げてあなた達に尽くします。」
「乗り掛かった舟だものね。よーし!お姉さんも最後までつきあっちゃうんだから!」
「決まりね。シスネ。私たちはあなた達に協力するわ。」
「よかったぁ。ありがとうございますわ!」
「つきましてはまずこちらをどうぞ。ハウンド!」
「はっ。」
ハウンドは掌に乗るくらいの大きさの宝箱を持ってきて、それを開いた。中からワープホールとインカムのようなものが入っている。
「こちらはワープホール。設置した空間内を自在に行き来する魔法装置ですわ。」
「知ってるよ。使ってるもん。」
「まぁすごい!そしてこちらは、通信装置でございます。耳たぶに設置すると、離れたところどうしで会話することが出来ます。皆さま、つけてみてくださいまし。」
J達は耳たぶにその魔法装置を接着する。
「その装置に魔力を込めて通信相手の名前を言うとその方との通信が繋がります。おそらく最下層でも私達と通信できるでしょう。」
「すまないが、私たち下層世界の人間は魔力を込められないのだが……」
「その場合は耳の裏に指をあて通信相手の名前を言うと繋がります。私たちがモニターして戦闘のお助けをしますわ。」
「期限は一週間、それまでに最下層に潜ってレーヴェリオンの本体を討つ。それでいいのね。」
「はい、1週間が過ぎてしまうと樹上世界と下層世界……ひいてはティーア皇国とアニマリア王国の戦争となってしまいます。それはなんとしても避けたいのです。ですが、そうなってしまうことも想定して戦争の準備を行っておきますわ。」
「了解だよ。僕たちに任せて。なんとしても戦争を止めてみせる。」
「では、これを見てくださいまし。」
部屋中央にある魔法装置には世界樹を中心とした樹上世界と下層世界がホログラム状に立体投影されている。シスネは、それに近づき、両手を開いた。すると、ホログラムが拡大され、自分たちが今いる王城が表示され、中に小さく人の形も見える。
「これはこの世界の地図ですわ。私たちが今いるところはここ。この部屋になります。」
シスネは一度両手を合わせ、その後両手を開く。するとさらに拡大され、この部屋が映し出される。そこにはJたちの姿も投影されていた。
「これはお父様が長い年月をかけて作った人々の行動を把握するための地図です。」
――プライバシーもあったもんじゃない。ディストピア感すごいわね。
――そうだね。
「すっごい……」
タラサは固唾をのみ込む。落果遺物マニアとしてぜひとも調べたい逸品だ。
「皆様にはレーヴェリオンの討伐をお願いしたいのですが、より確実にレーヴェリオンの力を奪うなら封印することをお願いしたいのです。」
「封印?」
「ええ、お父様のヴィジョンでレーヴェリオンは転生を繰り返していることは存じていると思います。此度レーヴェリオンを討伐したとしてもいずれ転生して再び脅威となってしまうでしょう。ならば、封印することが吉かと思います。お父様は封印のことも考慮に入れて、下層世界に封印するための魔法装置を落果させておりました。7日の間にそれらを回収するのは難しいかと思いますが、封印も考慮に入れておいてくださいまし。」
――倒すより封印する方が楽にレーヴェリオンに勝てるんだけど、下層世界をめぐるのが手間だから討伐ルートで行く。
――トゥルールートはどれなの?
――封印ルート。
『了解だ。』
「そして下層世界に落果させる魔法装置のカプセルがここにありますわ。」
ウィレナは地図を縮小させ王城から北西に2キロほど行ったところにピンが刺されている。
「それを使い樹上世界の地盤を貫通。そのまま下層世界に落果させます。その後、地下世界に入っていくのがよろしいかと。地下世界突入の際には私に声をおかけくださいまし。あなた達に強化魔法をかけて差し上げますわ。」
「分かったわ。」
軍議はこれでお開きとなった。
――これからゲーム内時間で1週間。リアル時間で7時間以内にレーヴェリオンを討伐する。実際はそんなに時間はいらないんだけどな。本来なら樹上世界を探索したりする時間だが、RTAならすぐに話しかけて地下世界に突入する。
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