最速の英雄ANY%~RTA走者がゲーム世界に異世界転移。攻略知識を生かして知識チート攻略していきます。~

貝竜

文字の大きさ
108 / 124

第108話 樹上世界にて

しおりを挟む
――イベントスキップ。
Jは横穴のドーム内にあるピラミッドを登っていく。そしてそのピラミッドの上に立つと、ピラミッドの頂点から麓にかけて青い光の線が走っていき、その青い線はピラミッドだけにとどまらず世界樹のドーム内を駆け巡る。
――イベントスキップ。
ウィレナ、マウガンがパーティーから離脱した。
――ここからも1週目で見た内容とほぼ同じルートになる。飽きないでね?
――もう慣れたわ。
地図を持ったロージナに先行してJは進んでいくが、道を間違えることなく魔力水晶で左右を囲まれた迷路のような道を進んでいく。坂道を登り、しばらく進むと、魔力水晶の向こう側に小さな長方形の小屋のような建物が見えてきた。半分ほど雪雲で埋まっている。
その小屋に近づきロージナは首を傾げる。
「あれれ~……おかしいなー。私の地図によればここには大きなケッツァーの研究所があるらしいんだけど……」
『ケッツァー?』
「あれ?そうだよね知らないよね。『ケッツァー』っていうのは球体と三角柱を組み合わせたモンスターみたいなやつ。」
『それなら前に戦った。』
『倒したことがある。』
Jは1番目の選択肢を選んだ。
『それなら前に戦った。』
「え?戦った?下層にもいるの?マジかー……お姉さんちょっとトラウマなんだよねー。拉致られた独房の周りをウロウロしてて気味悪くてさー」
『ケッツァーは何のためにいる?』
『下層世界の遺跡にいたぞ』
Jは1つ目の選択肢を選んだ。
『ケッツァーは何のためにいる?』
「どうやら樹上世界の人間の召使いのように働かせてるっぽいのよねぇ。戦闘用にカスタマイズされてるのもあるっぽいけど、それがいたのかな?ひとまず中に入ってみようか。」
ロージナは半分地面に埋まっている扉を取っ手を引き開く。
開いた先には下り階段が続いている。
「入り口からすぐに下り階段……登ってきた坂道を考えると、建物が地面の下に埋まっているって考えた方がよさそうだね。」
屋上からの入室になる。研究所内は暗いが、魔力が通った導線が天井を這うように直線に走っており、その部分が青白く発光して通路を明るく照らしている。
「私が閉じ込められてた独房に雰囲気が似てる……ごめん、ちょっとトラウマ……」
ロージナはその場でうずくまる。そしてすぐに立ち上がり、大きく息を吸い込み、吐き出した。
「うん、終わったことくよくよしても仕方ないね!よし、J君行こう!皆を助けよう!」
Jに操作が切り替わる。Jは通路を進む。J達は廃病院を奥に進み、バックパックを回収、ケッツァーコアをロージナに回収し持たせながら、ラミアケッツァーや犬型ケッツァーを撃破して先へ進んでいく。ベルトコンベアーやコアのギミッグを解きながら進むと、最深部にてケルベロスケッツァーを苦も無く撃破。来た道を戻りウィレナとマウガンのところへ戻っていく。
――なんかすごくダイジェストだった気がするんだけど。
――気のせいじゃないかな?イベントスキップ。
「ウィレナちゃん!マウガン君!……J君!ここで一体何が……!」
ロージナは慌てふためく。
『落ち着け』
『あたりを調べてみよう。』
Jは2番目の選択肢を選んだ。
Jは周囲を探索する。すると、刀傷の他に、白い鎧の肩あてがベッドの下から出てきた。
「J君……それは……?」
『おそらくウィレナ達を攫ったやつらの装備だろう。殺されたのなら、血痕や死体があるはずだ。』
「そうだね。きっとそう。この鎧の集団を探してみましょう。さっきの地図に近くの街が書かれていたわ。一旦そこで情報収集をしてみましょう。」
Jとロージナは東へと走る。青白く光を反射する雪雲がだんだん減っていき、見慣れた地面が雪雲の下から顔を出す。魔力水晶の数も次第に減っていき、草が生い茂り始めている。人が長い年月をかけて踏み固めたであろう草の生えてない土の道を道なりに走ると、遠目に白い壁の建物が目立つ街らしきシルエットが姿を現した。Jたちは
そのシルエットが実体を帯びるまで近づくと、白いコンクリートで打ちっぱなしにされた5階建てほどのビルや直方体を敷き詰めたような街並みが見て取れる。どこもかしこも直線で構成されており、とても無機質な町だ。
――たしか待ち人に話して酒場に行くのよね?
――ああ、その通りだ。よく覚えてるな。
――高性能AIだもの。当然だわ。
J達は町人の男性に話しかけ、酒場のヒントを貰い、酒場にて白鎧の集団はヴォルクルプスの配下の兵だと情報を得た。そして酒場の客から警戒され、配下の兵たちを呼ばれる。そこでひと戦闘が発生し、J達は退散。隙を見て兵士の甲冑を奪い卸問屋へ向かった。卸問屋では、馬型ケッツァーを入手する代わりに、荷馬車の護衛を頼まれ、これを了承した。
Jは馬車の右側後方に、ロージナは左側後方に付き護衛として移動する。馬車が街の入り口まで移動すると、行きではいなかった門番の兵士達が商人を見送る。
そうして荷馬車を護衛しながらJ達はワイバーンやケンタウロス型のケッツァーを撃退しながら、廃工場内に入っていく。そこで大量のケッツァーのパーツがうねりをあげてJ達に襲い掛かり、そのパーツは巨大な人の上半身の形となってJ達を追ってくる。J達は巨人の巨腕を掻い潜り、荷馬車に攻撃が行かないように巨人の動きをコントロールして迎撃する。そうして移動していくにつれて、巨人はだんだんと体のパーツを地面によって削られていき、小さくなっていく。そしてJ達はケッツァーパーツの巨人から逃げ切り、ワイバーン達の襲撃を回避し、王城へ潜入成功。裏口へと入っていく。
そこでメイド長から情報を聞き出し、離れの塔にマウガンが幽閉されていると聞き、J達は離れの塔へ向かう。そこでウィレナ扮するメイドに会い、場面はウィレナが捕らえられているところへ移る。
ウィレナはシスネから自身がヴォルクルプスの娘であると聞き、樹上世界の人間にとっての下層世界、そこに住む人間についての知見を聞いた。そしてシスネが部屋を退室したのち、ウィレナは脱出を図る。窓から身を乗り出し、雨どいを伝いメイドの会話を盗み聞き、マウガンが捕らえられている牢を知る。そしてメイドの後をつけてメイド服を入手し、J達と会うのであった。
J、ウィレナ、ロージナ、マウガンの4人は円を囲むように座り、話し合った。そして真相を知っているであろうヴォルクルプスに会いに行くことで同意したのだった。
――マウガンだけ鎧着てないけどどうするの?
――俺やロージナと同じように鎧をはぎ取るか、メイド服に着替える。
――メイド服?マジで?
――大マジで。しかもそっちの方が着替えるまでが早い。
J、ウィレナ、ロージナ、マウガンは離れの塔の地下牢を後にする。そして螺旋階段を登り、往来している兵士に忍び寄り、鎧の隙間からパイルバンカーを打ち込んだ。打ち込まれた兵士のライフゲージは0となり絶命し、J達は堂々と廊下を走っていく。そして右手に見えるメイドの個室に入り込み、メイド服を拝領。マウガンに着せた。そこには、筋骨隆々で今にも全身のボタンや縫い目がはじけ飛びそうなマッチョなメイドが現れた。マウガンは外出用の外套を被り顔を見られないようにする。
――これで本当にばれないの?
――ああ、なぜかバレない。
その後、J達はメイドや兵士達とすれ違うが、マウガンは気づかれることはなかった。
――どう見ても不審者で変態じゃない。
そうして王城内を迷うことなく先に進み、王の間の大扉の前まで来た。
「いよいよヴォルクルプスとの御対面ね。みんな、準備は出来てるかしら?」
「はい、このマウガン、常在戦場にございますぞ。」
マウガンは腕を目の前に出し、力こぶをぎゅっと作る。すると腕に巻いてあるリボンがばつんとはじけ飛んだ。
――その格好で言われても。
「最後までウィレナちゃんについていくよ。」
「ありがとう。ロージナ、マウガン。行くわよ!」
Jは鎧を脱ぎその場に置いた。マウガン、ウィレナ、ロージナも同様に鎧や服をはぎ取り下着姿にする。そして王城内に入っていく。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

異世界サバイバルゲーム 〜転移先はエアガンが最強魔道具でした〜

九尾の猫
ファンタジー
サバイバルゲームとアウトドアが趣味の主人公が、異世界でサバゲを楽しみます! って感じで始めたのですが、どうやら王道異世界ファンタジーになりそうです。 ある春の夜、季節外れの霧に包まれた和也は、自分の持ち家と一緒に異世界に転移した。 転移初日からゴブリンの群れが襲来する。 和也はどうやって生き残るのだろうか。

クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました

髙橋ルイ
ファンタジー
「クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました」 気がつけば、クラスごと異世界に転移していた――。 しかし俺のステータスは“雑魚”と判定され、クラスメイトからは置き去りにされる。 「どうせ役立たずだろ」と笑われ、迫害され、孤独になった俺。 だが……一人きりになったとき、俺は気づく。 唯一与えられた“使役スキル”が 異常すぎる力 を秘めていることに。 出会った人間も、魔物も、精霊すら――すべて俺の配下になってしまう。 雑魚と蔑まれたはずの俺は、気づけば誰よりも強大な軍勢を率いる存在へ。 これは、クラスで孤立していた少年が「異常な使役スキル」で異世界を歩む物語。 裏切ったクラスメイトを見返すのか、それとも新たな仲間とスローライフを選ぶのか―― 運命を決めるのは、すべて“使役”の先にある。 毎朝7時更新中です。⭐お気に入りで応援いただけると励みになります! 期間限定で10時と17時と21時も投稿予定 ※表紙のイラストはAIによるイメージです

処理中です...