私が騎士団の司令官ってなんですか!? ~聖女じゃなかった私は得意の料理で騎士たちの心を掴んだら食堂の聖女様と呼ばれていました~

あんねーむど

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7 ルンルンソワソワアゲアゲ

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 やっとやって来た週に一度の休日、お茶を淹れて自分の部屋で久しぶりにゆっくりとした朝を過ごしていると、コンコンと控えめなノック音が部屋のドア越しに響く。

 実は今日、来客があることは事前に知っていた。チーフから護衛役の騎士が挨拶に来ると聞かされていたからだ。
 まだ暴漢騒ぎから三日しか経っていないのにこの対応の早さ。それだけ〝食堂の聖女〟が評価されているということなのだろうか。

 そんな訳で、正直に言えば私は少なからず浮かれていたのだ。〝ゆっくりとした朝〟なんて真っ赤な嘘で、起きてからずっとソワソワしていたし彼を迎える準備は万端だった。

 護衛役の騎士と聞いて、どうしても顔が緩んでしまう。だって〝騎士〟が私を〝護衛〟してくれるのだ、夢にまで思い描いた願望、妄想で何度も描いた設定ではないか! もしかして私は夢を見ているの? 否、夢ではない! 間違いなく現実なのさ! 

 どうせ護衛されるならカッコイイ騎士様だといいなぁ、あわよくばノエルくんだったらいいなぁ、なんて贅沢は言えないけどね!

 メイビー、いえいえマスビー、本物のナイト様なら誰でもウェルカムなのです!!

 そんな淡い期待を胸に抱きながら私はドアへと駆け寄る。

「はーい」と満面のスマイルと猫なで声でドアを開けていく私の表情が、徐々に凍りつき引きつっていくのが分かった。

 なぜなら、そこに立っていたのは絶対殺すリスト第一位に君臨する男、クラウディオだったからだ。

 仏頂面で私を見下ろしてくる赤髪の男の視線に、アゲアゲだった気分は一瞬で吹き飛んでしまう。

「チェンジで……」

 スン――、となった私がドアを閉めようとするとクラウディオがドアの縁を掴んだ。

「な、なにすんのよ! 離しなさいよ!」

「俺だってお前みたいなマヌケの護衛なんて嫌だが、これは騎士団長直々の命令だ」クラウディオは淡々と告げる。

「命令? だいたいあなたは衛士でしょ! なんで騎士団の制服を着てるのよ!?」

 リリアの話しでは、こいつは衛士のはず。衛士隊はスカイブルーの制服、騎士団は白を基調とした制服であり、明確に区別されている。
 なにより騎士の方が衛士より格上で貴族家系の男子から選抜される。衛士が騎士にジョブチェンジすることも、その逆も基本的には有り得ない。

「俺が聞きたいぜ」とクラウディオはドアを抑えたまま肩をすくめてみせた。

 ぐにににぃ……!! 余裕というのか、すごい力だ……、びくともしない!

「昨日いきなり騎士団長に呼び出されたかと思ったら騎士団に入れって言われてな。しかも初任務がお前の護衛だって言いやがった」

「嫌なら断わればいいじゃないの!」

 私は壁を蹴りながら、さらに力を込めてドアを引く。

「断れば禁固刑だとよ、無茶苦茶だぜ」

 クラウディオは不機嫌そうに言葉を続けた。

「とにかく俺だってやりたくてやってるわけじゃない、それを言いに来ただけだ、調子に乗るな。俺は隣の部屋で寝泊まりすることになったから外出するときは必ず声を掛けろ、いいな?」

 そう言い捨てると彼は抑えていたドアから手を離して踵を返す。バタンと勢いよく閉まったドアと同時に私は尻もちをついた。

「いったぁ~~……」

 ――調子に乗るなですって!? もう最悪!!
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