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第二章【招集】
40 ボッチイズインザアンダーグラウンド
「すごい、すごいすごいすごい!! この特性を利用すれば、確かに遠くにいる相手と会話できるかもしれない! ああ、早く試作品を作らなくちゃ! ごめんチドリ司令、授業はこれで終わりッス!」
目を爛々と輝かせたまま、フェルさんは破片をかき集めて作業台の上に並べていく。
「あ、はい……。ごちそうさまでした……?」
私は自らフェルさんの部屋から退出していた。
ばたん、と扉が閉まる。
廊下でしばらく立ち尽くした後、呆然としたまま司令官室へ戻ってきていた。
体を預けるように椅子へ座る。ふかふかの背もたれが私を優しく包み込む。
無意識に、自分の唇に指先が触れていた。
えっと……、なに? キスされた? しかも結構ディープめのやつだったよね? なんだか……、とんでもないことが起きた気がするけれど。女の子同士だから……、ね?
唇にじんわりと熱を感じる私は、机の上の読みかけのマニュアルを手に取った。
昨日はノエルくんのところで読むのを止めてしまった。フェルさんのことも書いてあるはずだ。どういう人物なのか、ちゃんと知っておいた方がいい。
フェルナンド=グリフォード
平民出身
身長167センチメートル、年齢十九歳。
王国騎士団魔導部隊所属の魔導士。魔力値が高く、近接戦闘能力も高い前衛型魔導士であり、将来を期待され、最年少で部隊長になると目されていたが、禁忌指定されるアルデラの魔導書を密かに収集していたことが発覚する。
異端審問に掛けられるところだったが、回復魔術に秀でており、タリスマンの生成にも精通していたため、戦術騎士隊に抜擢される。
「……ふむむぅ?」
一度読み終え、私は視線を最初の行に戻した。とてつもない違和感を覚えたからだ。
何か、何だろうか……、決定的な何かを見落としている気がしてならない。
……名前はフェルナンド=グリフォード。うん、フェルナンドだからフェル? フェルナンド……。
えっと……、どちらかというと男寄りな名前の気がするんですけど。ま、まさかね……。いやでも……、さっきのキス、異性だったら簡単にキスなんてしないでしょ??
いやいや、同性でもしないのだが……。
本人に確かめるしかない。しかし、なんて聞けばいいのやら……。
「あなたは男性ですか?」とか? 聞けるわけがない……。女性だった場合、失礼すぎるでしょ!?
考えても分からん!! もうとりあえず、お昼にするかぁ。
私はカティアちゃんが用意してくれたバゲットサンドを取り出して、ありがたく頂くことにした。
とても美味しいけれど、ひとりで食べるお昼は寂しい。しかも地下だし。窓もないし。
静まり返った司令官室で、もそもそとバゲットをかじる。明日は食堂に行ってみようかな、みんなで食事しているかもしれないし。
さて、午後は訓練。トレーニングルームだと言っていたから見学させてもらおうっと。
◇◇◇
ボッチ飯を終えると、お手製の地図を頼りに私はトレーニングルームへやって来た。
部屋の広さは執務室と同じくらいだけど、床は踏み固められた砂で無数の足跡が刻まれている。すでに打撃音が響いていて、エドガーとクラウディオの激しい攻防が展開されていた。
二人は同時に踏み込み砂が跳ねる。木剣同士が激しくぶつかる。
よく分からないけど、エドガーの鋭い剣をクラウディオが低い姿勢から滑るように踏み込み、斜めに斬り上げる。だが、その軌道を読んでいたかのようにエドガーが受け流す。
そして、すぐさま反撃。そんなやりとりが何度も何度も繰り返されている。
先に息が荒くなったのは、クラウディオの方だった。クラウディオがエドガーに押され始めている。
私は壁際に立って彼らの戦いを見つめる。見るしかできない。
彼らには私のことなんて眼中にない。いてもいなくても同じ存在――、その事実が、ひどく悔しく思えた。
目を爛々と輝かせたまま、フェルさんは破片をかき集めて作業台の上に並べていく。
「あ、はい……。ごちそうさまでした……?」
私は自らフェルさんの部屋から退出していた。
ばたん、と扉が閉まる。
廊下でしばらく立ち尽くした後、呆然としたまま司令官室へ戻ってきていた。
体を預けるように椅子へ座る。ふかふかの背もたれが私を優しく包み込む。
無意識に、自分の唇に指先が触れていた。
えっと……、なに? キスされた? しかも結構ディープめのやつだったよね? なんだか……、とんでもないことが起きた気がするけれど。女の子同士だから……、ね?
唇にじんわりと熱を感じる私は、机の上の読みかけのマニュアルを手に取った。
昨日はノエルくんのところで読むのを止めてしまった。フェルさんのことも書いてあるはずだ。どういう人物なのか、ちゃんと知っておいた方がいい。
フェルナンド=グリフォード
平民出身
身長167センチメートル、年齢十九歳。
王国騎士団魔導部隊所属の魔導士。魔力値が高く、近接戦闘能力も高い前衛型魔導士であり、将来を期待され、最年少で部隊長になると目されていたが、禁忌指定されるアルデラの魔導書を密かに収集していたことが発覚する。
異端審問に掛けられるところだったが、回復魔術に秀でており、タリスマンの生成にも精通していたため、戦術騎士隊に抜擢される。
「……ふむむぅ?」
一度読み終え、私は視線を最初の行に戻した。とてつもない違和感を覚えたからだ。
何か、何だろうか……、決定的な何かを見落としている気がしてならない。
……名前はフェルナンド=グリフォード。うん、フェルナンドだからフェル? フェルナンド……。
えっと……、どちらかというと男寄りな名前の気がするんですけど。ま、まさかね……。いやでも……、さっきのキス、異性だったら簡単にキスなんてしないでしょ??
いやいや、同性でもしないのだが……。
本人に確かめるしかない。しかし、なんて聞けばいいのやら……。
「あなたは男性ですか?」とか? 聞けるわけがない……。女性だった場合、失礼すぎるでしょ!?
考えても分からん!! もうとりあえず、お昼にするかぁ。
私はカティアちゃんが用意してくれたバゲットサンドを取り出して、ありがたく頂くことにした。
とても美味しいけれど、ひとりで食べるお昼は寂しい。しかも地下だし。窓もないし。
静まり返った司令官室で、もそもそとバゲットをかじる。明日は食堂に行ってみようかな、みんなで食事しているかもしれないし。
さて、午後は訓練。トレーニングルームだと言っていたから見学させてもらおうっと。
◇◇◇
ボッチ飯を終えると、お手製の地図を頼りに私はトレーニングルームへやって来た。
部屋の広さは執務室と同じくらいだけど、床は踏み固められた砂で無数の足跡が刻まれている。すでに打撃音が響いていて、エドガーとクラウディオの激しい攻防が展開されていた。
二人は同時に踏み込み砂が跳ねる。木剣同士が激しくぶつかる。
よく分からないけど、エドガーの鋭い剣をクラウディオが低い姿勢から滑るように踏み込み、斜めに斬り上げる。だが、その軌道を読んでいたかのようにエドガーが受け流す。
そして、すぐさま反撃。そんなやりとりが何度も何度も繰り返されている。
先に息が荒くなったのは、クラウディオの方だった。クラウディオがエドガーに押され始めている。
私は壁際に立って彼らの戦いを見つめる。見るしかできない。
彼らには私のことなんて眼中にない。いてもいなくても同じ存在――、その事実が、ひどく悔しく思えた。
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