34 / 57
第三部【後編】
26 対異能戦3
しおりを挟む
「顔を隠してうまく隠れていたつもりだろうが、一番安全な位置にいるからすぐにお前だって分かったぞ。それにしても想定していたよりも行動が早くて焦ったよ。やるじゃないか、八重山照……。しかし、姫も一緒に来ると思ったんだが、さすがにそこまでバカじゃなかったか……、さあ、遊びは終わりにしよう。マスクを外すんだ……、お前にはまだもらわなきゃいけないモノがあるからな」
さらに強く、後頭部に銃口が押し付けられた。
震える両手で黒いフードと防毒マスクを外す―――、
「こ、殺さないでくれ……」
防毒マスクを外したのは照ではなかった。頭髪を金髪に染め上げた少年だ。後頭部に銃口を押し付けられる少年の声は恐怖で震えている。
「―――なッ!?」
静かに、マークの後方に倒れていた兵士の一人が立ち上がり、混乱する彼の後頭部に銃口を押し付けた。
「確かに、思惑通りに踊っていましたよ、室長は……」
防毒マスクを介したくぐもった声にマークの表情が凍り付いた。
「まさか……、囮だったというのか……」
「ええ、僕と背格好の似たそいつだけあらかじめ異能を解いて指揮官を演じるように脅しておいたんです。こんなに上手くいくとは思いませんでしたが……。おい、ボンクラ、この男から銃を奪え」
防毒マスクを外した照はマークに銃を突き付けられている少年に言った。
少年は小さくうなずいてから体の向きを変え、震える手でマークが握る銃を奪い取る。
「それから、あそこのテーブルの上に手帳サイズのデバイスがあるだろ……、持って来い」
照は顎でクイとテーブルの上に置いてあるデバイスを指した。
「はい……」
よろめきながら歩き出した少年がデバイスを手にしたことを確認した照は続けて指示を出す。
「デバイスを床に置いて、撃て」
少年はデバイスを床に置き、慣れない手つきで照準を合わせて引き金を引いた。銃弾は一発でデバイスを貫く。液晶画面が弾け飛び散ると同時に照は《アブソリュート・エンペラー》を展開させる。
糸が切れたようにガクリと体勢を崩した少年の意志が奪われ、再び感情を持たない兵士に変貌した。さらに意識を失っていた三名の男たちも立ち上がり、マークに向けて銃を構える。
「これで完全に勝敗は決しましたね。室長、両膝を床に付けて両手を出してください」
黙ったままマークは言われた通りに両膝を床に付け、次いで両手を差し出した。兵士の一人が無機質な動きでマークの両手に手錠をかけるとモーターを駆動させながら手首を固く締め上げていく。
「俺を殺さないのか?」
「そうですね……、どうしようか考え中です。ここで殺すか、咲に判断を委ねるか、警察に突き出すか……」
「早く止めを刺しておけばよかったと……、後悔するなよ」
「一応、肝に銘じておきます」
その直後だった。四名の兵士たちに異変が起こる。
兵士の首がボキンと鈍い音を立てながら二七〇度回転した。続いて上半身が時計回りに捻じれ始め、下半身が反時計回りに捻じれた次の瞬間、全身の骨がバキバキと砕け筋線維が引き千切れ、鮮血を噴き出しながら四人の兵士たちの身体が同時に捻じ切れる。
その姿はまるで固く絞られた雑巾のように、血飛沫を撒き散らしながら兵士たちは倒れていった。
さらに強く、後頭部に銃口が押し付けられた。
震える両手で黒いフードと防毒マスクを外す―――、
「こ、殺さないでくれ……」
防毒マスクを外したのは照ではなかった。頭髪を金髪に染め上げた少年だ。後頭部に銃口を押し付けられる少年の声は恐怖で震えている。
「―――なッ!?」
静かに、マークの後方に倒れていた兵士の一人が立ち上がり、混乱する彼の後頭部に銃口を押し付けた。
「確かに、思惑通りに踊っていましたよ、室長は……」
防毒マスクを介したくぐもった声にマークの表情が凍り付いた。
「まさか……、囮だったというのか……」
「ええ、僕と背格好の似たそいつだけあらかじめ異能を解いて指揮官を演じるように脅しておいたんです。こんなに上手くいくとは思いませんでしたが……。おい、ボンクラ、この男から銃を奪え」
防毒マスクを外した照はマークに銃を突き付けられている少年に言った。
少年は小さくうなずいてから体の向きを変え、震える手でマークが握る銃を奪い取る。
「それから、あそこのテーブルの上に手帳サイズのデバイスがあるだろ……、持って来い」
照は顎でクイとテーブルの上に置いてあるデバイスを指した。
「はい……」
よろめきながら歩き出した少年がデバイスを手にしたことを確認した照は続けて指示を出す。
「デバイスを床に置いて、撃て」
少年はデバイスを床に置き、慣れない手つきで照準を合わせて引き金を引いた。銃弾は一発でデバイスを貫く。液晶画面が弾け飛び散ると同時に照は《アブソリュート・エンペラー》を展開させる。
糸が切れたようにガクリと体勢を崩した少年の意志が奪われ、再び感情を持たない兵士に変貌した。さらに意識を失っていた三名の男たちも立ち上がり、マークに向けて銃を構える。
「これで完全に勝敗は決しましたね。室長、両膝を床に付けて両手を出してください」
黙ったままマークは言われた通りに両膝を床に付け、次いで両手を差し出した。兵士の一人が無機質な動きでマークの両手に手錠をかけるとモーターを駆動させながら手首を固く締め上げていく。
「俺を殺さないのか?」
「そうですね……、どうしようか考え中です。ここで殺すか、咲に判断を委ねるか、警察に突き出すか……」
「早く止めを刺しておけばよかったと……、後悔するなよ」
「一応、肝に銘じておきます」
その直後だった。四名の兵士たちに異変が起こる。
兵士の首がボキンと鈍い音を立てながら二七〇度回転した。続いて上半身が時計回りに捻じれ始め、下半身が反時計回りに捻じれた次の瞬間、全身の骨がバキバキと砕け筋線維が引き千切れ、鮮血を噴き出しながら四人の兵士たちの身体が同時に捻じ切れる。
その姿はまるで固く絞られた雑巾のように、血飛沫を撒き散らしながら兵士たちは倒れていった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち
ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。
クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。
それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。
そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決!
その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる