上 下
15 / 19

13

しおりを挟む
「あなたは被害者とは面識は」

警察に聞かれるなんてドキドキするわね。
私は婦人客室に刑事さんと入り、事情聴取をされている。
この美しい部屋はオリエンタルな雰囲気があり、天井の薔薇と小鳥の刺繍やイスラム風の装飾が非現実な気持ちにさせる、まぁ、そうじゃなくても殺人事件が起きてる訳だから非現実よね。

「まったくありませんわ、私がやめた後に越してらしたとか、被害者の方に親族はいらっしゃいますの?」

「離婚した奥様との間にお子さんがいたようですからお子さんにいくでしょう」

「そのお子さんはどちらに?」

「警察が調べてますが、母親のもとにはいないようです」

「とっても奇妙ですわね」

「あなたは事件当時どちらにいましたか?」

「なんと言ったらわからないわ、いつ事件が起きたとお考えなのかしら?」

私はなんとなく刑事さんが明確に言わないことで犯人を探ろうとしているような気がしてきた、明確に犯行時刻を話さないのに答えられたら怪しいもの。

「幽霊騒ぎの時には既に死んでいたのではと考えてはいますが」

「刑事さんの言うとおり、そう考えておくのが自然よね、つまり幽霊騒ぎは目眩しでその時にはもう死んでいて犯人はアリバイがあると、でないと幽霊騒ぎの意味がわかりませんものね」

私は自分の考えを述べつつ、なんだか引っかかるものを感じていた。

「変な質問でしたら申し訳ないのですが、ウェルウッドさんはこちらで以前働いてらして屋敷にはかなり詳しいとお聞きしているのですが……」

「あらやだわ、誰がそんなことを話したのかしら?安堂さんあたりかしらね、それで?」

「幽霊騒ぎに関してあなたは何かご存じなのではないかと思いまして」

刑事さんら意味ありげな顔で私に聞いてきた。
普段なら閉めていない扉が閉まっていることを見て、私は刑事さんにあることを伝えることにした。

「ええ、大事なことをね」

私はこれ以上ないくらい優美に微笑み
レティキュールから鋭利なガラスを取り出した。
しおりを挟む

処理中です...