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恋に恋する乙女の意見
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「恋がしたい」
また言っているよ。右隣の席の櫛川さんの口癖だ。ド金髪でギャルメイク、耳はピアスだらけでネイルもビカビカの櫛川さんは、ギャルでありながら陰キャな僕にも優しい、男子からの隠れ人気が高い美少女だ。
「いや、毎度言うけど、櫛川さんなら引く手数多と言うか、告白だって良くされているじゃない」
「そうだけどさあ。な~んか違う? って言うの? こう、ピーン! と来ないんだよねえ」
言いたい事が分からない。ピーン! と来ない?
「『恋』がしたいなら、とりあえず付き合ってみたら?」
「バッカ、日下、それは、『恋』じゃない」
こだわりがある訳か。
「例えばさあ、私みたいなのの話を延々と聞かされても、笑顔を崩さないとか」
「男子なら皆そうだと思うけど?」
「はあ」
ため息をこぼさなくても。
「日下ぁ、世の中の女子はな、男子が思っている以上に男子の行動を観察しているんだよ。ああ、こいつ話聞く振りして胸ばっかり見ているなあ。とかさ~」
そうなのか。確かに櫛川さんは胸大きいし、そこに目が行くのは分かる。僕は逆に恥ずかしくて胸が見れなくて、櫛川さんの目ばかり見ているけど。
「他にも、階段を上っているとするじゃん。で、不意に足を踏み外した時、それをガシッとキャッチして、『大丈夫?』。みたいなさ~」
分からん。
「教科書忘れて、横の席とくっつけた時に、『あれ? 同じシャンプー?』。みたいなさ~」
うん?
「雨の中で捨てられていた子猫を抱いて、動物病院までダッシュする姿とか」
んん?
「街中で声掛けたら、ビクッとなって振り返って、私の横の男を彼氏と勘違いしてドギマギして、兄貴と分かったらホッとして、それでいてちゃんとあいさつ出来て」
いや、それって僕の事なのでは!? え!? もしかして、櫛川さんの好きな人って、僕!?
「って感じで上手い事乗せたら、日下ならドキドキして、私の事好きになるか?」
え?
「今の、何かのシミュレーション?」
「まあ……、そんな感じかなあ」
と目を逸らす櫛川さん。うう、確かに乗せられてドキドキしてしまった。からかわれた。恥ずかしい。
「まあ、強いて私の好きなタイプを言うなら、こんなからかわれ方しても、めげずに私に告白してくるような漢気のあるヤツかなあ」
そう言いながらそっぽを向いている櫛川さんの耳は、真っ赤になっていた。
「へえ……、そうなんだ。ふ、ふ~ん。どうしよう、僕、今日は委員会があるから、帰りが遅くなるんだよなあ。教室には、誰も残っていないだろうなあ」
「ふ、ふ~ん。誰もいない夕暮れの教室で告白とか、…………ロマンチックじゃん」
言って机にうつ伏せになって顔を隠す櫛川さん。僕の人生を決定付ける一日が始まった。
また言っているよ。右隣の席の櫛川さんの口癖だ。ド金髪でギャルメイク、耳はピアスだらけでネイルもビカビカの櫛川さんは、ギャルでありながら陰キャな僕にも優しい、男子からの隠れ人気が高い美少女だ。
「いや、毎度言うけど、櫛川さんなら引く手数多と言うか、告白だって良くされているじゃない」
「そうだけどさあ。な~んか違う? って言うの? こう、ピーン! と来ないんだよねえ」
言いたい事が分からない。ピーン! と来ない?
「『恋』がしたいなら、とりあえず付き合ってみたら?」
「バッカ、日下、それは、『恋』じゃない」
こだわりがある訳か。
「例えばさあ、私みたいなのの話を延々と聞かされても、笑顔を崩さないとか」
「男子なら皆そうだと思うけど?」
「はあ」
ため息をこぼさなくても。
「日下ぁ、世の中の女子はな、男子が思っている以上に男子の行動を観察しているんだよ。ああ、こいつ話聞く振りして胸ばっかり見ているなあ。とかさ~」
そうなのか。確かに櫛川さんは胸大きいし、そこに目が行くのは分かる。僕は逆に恥ずかしくて胸が見れなくて、櫛川さんの目ばかり見ているけど。
「他にも、階段を上っているとするじゃん。で、不意に足を踏み外した時、それをガシッとキャッチして、『大丈夫?』。みたいなさ~」
分からん。
「教科書忘れて、横の席とくっつけた時に、『あれ? 同じシャンプー?』。みたいなさ~」
うん?
「雨の中で捨てられていた子猫を抱いて、動物病院までダッシュする姿とか」
んん?
「街中で声掛けたら、ビクッとなって振り返って、私の横の男を彼氏と勘違いしてドギマギして、兄貴と分かったらホッとして、それでいてちゃんとあいさつ出来て」
いや、それって僕の事なのでは!? え!? もしかして、櫛川さんの好きな人って、僕!?
「って感じで上手い事乗せたら、日下ならドキドキして、私の事好きになるか?」
え?
「今の、何かのシミュレーション?」
「まあ……、そんな感じかなあ」
と目を逸らす櫛川さん。うう、確かに乗せられてドキドキしてしまった。からかわれた。恥ずかしい。
「まあ、強いて私の好きなタイプを言うなら、こんなからかわれ方しても、めげずに私に告白してくるような漢気のあるヤツかなあ」
そう言いながらそっぽを向いている櫛川さんの耳は、真っ赤になっていた。
「へえ……、そうなんだ。ふ、ふ~ん。どうしよう、僕、今日は委員会があるから、帰りが遅くなるんだよなあ。教室には、誰も残っていないだろうなあ」
「ふ、ふ~ん。誰もいない夕暮れの教室で告白とか、…………ロマンチックじゃん」
言って机にうつ伏せになって顔を隠す櫛川さん。僕の人生を決定付ける一日が始まった。
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