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横入り
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門から安全地帯の町に入ると、すぐに黒い魔物が目に入った。門から町役場まで続く中央通りで、二十人はいるであろう冒険者の魔物たちを相手に暴れ回る骸骨が一体。しかしその骨は他の骸骨とは違い、全身漆黒となっている。しかも化神族と同化した事で自力の上がっているその漆黒の骸骨が、腕を一振りするだけで、触れてもいない周囲の建物が朽ちて壊されていく。そのせいで冒険者たちも迂闊に近寄れないらしい。
「あいつか」
漆黒の骸骨を目に収めながら、『有頂天』で周囲を探索すると、左の畑や牧場のある農業地区に二体、右の闘技場やカジノのある遊興地区に二体の強い反応があった。どうやらバヨネッタさんとダイザーロくんは右の遊興地区で戦っているようだ。
「カッテナさん」
「今のままでは無理です。もう少し弱らせないと」
俺が何を言わんとしているかを汲み取ったカッテナさんは、そう断言した。
岩山のダンジョンを周回している途中に、カッテナさんのレベルが五十となり、金丹を使って無事に超越者となった。なったのは隔仙と言う仙者系だった。超越者となるとギフトとスキルを一つずつ覚えるが、そこで『付与』と言う単純だが強いギフトと、『分割』と言うスキルを覚えたのだ。
この『分割』と言うスキルがとても便利で、岩山のダンジョンボスである水晶トカゲの鱗を剥がすのに、とても重用出来たので、カッテナさんが『分割』を覚えてからは、『土拳』で水晶トカゲの動きを封じる必要がなくなった。発動範囲は狭いが、それは『付与』で銃弾に『分割』を付与する事で解決出来る。
そんなカッテナさんの『分割』なら、眼前で冒険者たちと戦っている、化神族に支配された漆黒の骸骨から、化神族だけを分離させられると思ったのだが。
「あの黒骸骨のレベルは六十一だ。水晶トカゲよりは低いが、化神族と同化しているから、一気に分離させないといけないからな。水晶トカゲの時のように、少しずつ鱗を剥がしていく。みたいな事が出来ないんだろう」
とは武田さんの言。成程?
「つまり二人の話を合わせると、あの漆黒の骸骨のHPを削れば、漆黒の骸骨から化神族を分離させる事も可能。って事ですか?」
俺が二人を見遣ると、同時に頷き、カッテナさんが話し出す。
「これは水晶トカゲと対峙していて感じた事ですが、水晶トカゲの耐久値が私よりも高くても、鱗を分離出来たのは、鱗と鱗の継ぎ目の、耐久値の低いところを狙って分離させていた事と同時に、皆さんが攻撃してくれていた事で、HPが下がった事も大きな要因だと思います。私もまだ新しいスキルとギフトを使いこなせていないので、自分で使ってみての所感になってしまいますが」
それでもカッテナさんから見て、あの漆黒の骸骨から化神族を分離させる事は可能との判断なのだろう。なら、
「とりあえずボコボコにしてみます? それとも分離させられる機会を待ちますか?」
「この町やこの町に住む住民たちにも愛着が湧いてきているからねえ。出来るなら速やかに化神族に取り込まれた魔物を排除してあげたいねえ」
言いながらミカリー卿は腕組みをして状況を静観するだけで、戦闘に加わろうとはしない。それは困った事に俺たちの前では、冒険者たちがもう既に漆黒の骸骨と戦っているからだ。これが問題だった。
このエキストラフィールドは、カヌスが俺から分捕ったスマホのゲームを基本に作られている。そのゲームはもちろん一人でも遊べるが、MMOとしても遊べるRPGだった。その為、既に戦闘中のところに、横入りして良いとこ取りするのはマナー違反なのだ。これは冒険者ギルドでマナー講習がなされる程、このエキストラフィールドでは徹底されている。
そんなマナーなんて、魔物が遵守する訳ない。と思われるかも知れないが、これを守る限り、『カヌスの加護』とやらの力で、冒険者の魔物たちはフィールドやダンジョンで死んでも、安全地帯の町の、町役場前の噴水広場で復活出来るのだ。なのでこれを守らない冒険者はいない。
これが俺たち人間にも適用されるのかは分からないが、現在進行形で漆黒の骸骨と戦っている冒険者たちは、俺たちが横入りしても良い顔をしないだろう。下手をすると、今回は俺たちが上手く化神族を手に入れられるかも知れないが、冒険者のマナーを破ったと言う事で、今後この安全地帯の町に居場所がなくなってしまうかも知れない。
「バヨネッタさんたちは既に遊興地区で戦っているみたいですし、そっちに行きますか? それとも人手が足りていなさそうな、左の農業地区に行きますか?」
「いや、横入りしても今回はお咎めなしみたいだ。まずはここの黒骸骨を倒してから、バヨネッタたちと合流しよう」
そう提案した武田さんは、ウインドウを操作して、今回のイベントクエストの欄を見ているようだ。
「今回のイベントクエスト、レイド戦扱いになっている。範囲はこの安全地帯の町全域。このイベント中に限り、安全地帯の町の中で先に戦っている冒険者たちに後から加わっても、マナー違反にはならないようだ」
成程。カヌスとしても早く事態を収拾したい訳だし、闘技場の事件の時とは違って、町全域が滅茶苦茶になってしまうような今回の件で、横入り禁止にはしないか。それに今回の件はちゃんとしたイベントクエストだしな。
「それじゃあ、助っ人として、まずは眼前の漆黒の骸骨を倒しますか」
俺の一言に全員が頷き、戦闘中の冒険者たちの元へと駆けていくのだった。説明もしないと、冒険者たちも理解していないかも知れないもんなあ。
「あいつか」
漆黒の骸骨を目に収めながら、『有頂天』で周囲を探索すると、左の畑や牧場のある農業地区に二体、右の闘技場やカジノのある遊興地区に二体の強い反応があった。どうやらバヨネッタさんとダイザーロくんは右の遊興地区で戦っているようだ。
「カッテナさん」
「今のままでは無理です。もう少し弱らせないと」
俺が何を言わんとしているかを汲み取ったカッテナさんは、そう断言した。
岩山のダンジョンを周回している途中に、カッテナさんのレベルが五十となり、金丹を使って無事に超越者となった。なったのは隔仙と言う仙者系だった。超越者となるとギフトとスキルを一つずつ覚えるが、そこで『付与』と言う単純だが強いギフトと、『分割』と言うスキルを覚えたのだ。
この『分割』と言うスキルがとても便利で、岩山のダンジョンボスである水晶トカゲの鱗を剥がすのに、とても重用出来たので、カッテナさんが『分割』を覚えてからは、『土拳』で水晶トカゲの動きを封じる必要がなくなった。発動範囲は狭いが、それは『付与』で銃弾に『分割』を付与する事で解決出来る。
そんなカッテナさんの『分割』なら、眼前で冒険者たちと戦っている、化神族に支配された漆黒の骸骨から、化神族だけを分離させられると思ったのだが。
「あの黒骸骨のレベルは六十一だ。水晶トカゲよりは低いが、化神族と同化しているから、一気に分離させないといけないからな。水晶トカゲの時のように、少しずつ鱗を剥がしていく。みたいな事が出来ないんだろう」
とは武田さんの言。成程?
「つまり二人の話を合わせると、あの漆黒の骸骨のHPを削れば、漆黒の骸骨から化神族を分離させる事も可能。って事ですか?」
俺が二人を見遣ると、同時に頷き、カッテナさんが話し出す。
「これは水晶トカゲと対峙していて感じた事ですが、水晶トカゲの耐久値が私よりも高くても、鱗を分離出来たのは、鱗と鱗の継ぎ目の、耐久値の低いところを狙って分離させていた事と同時に、皆さんが攻撃してくれていた事で、HPが下がった事も大きな要因だと思います。私もまだ新しいスキルとギフトを使いこなせていないので、自分で使ってみての所感になってしまいますが」
それでもカッテナさんから見て、あの漆黒の骸骨から化神族を分離させる事は可能との判断なのだろう。なら、
「とりあえずボコボコにしてみます? それとも分離させられる機会を待ちますか?」
「この町やこの町に住む住民たちにも愛着が湧いてきているからねえ。出来るなら速やかに化神族に取り込まれた魔物を排除してあげたいねえ」
言いながらミカリー卿は腕組みをして状況を静観するだけで、戦闘に加わろうとはしない。それは困った事に俺たちの前では、冒険者たちがもう既に漆黒の骸骨と戦っているからだ。これが問題だった。
このエキストラフィールドは、カヌスが俺から分捕ったスマホのゲームを基本に作られている。そのゲームはもちろん一人でも遊べるが、MMOとしても遊べるRPGだった。その為、既に戦闘中のところに、横入りして良いとこ取りするのはマナー違反なのだ。これは冒険者ギルドでマナー講習がなされる程、このエキストラフィールドでは徹底されている。
そんなマナーなんて、魔物が遵守する訳ない。と思われるかも知れないが、これを守る限り、『カヌスの加護』とやらの力で、冒険者の魔物たちはフィールドやダンジョンで死んでも、安全地帯の町の、町役場前の噴水広場で復活出来るのだ。なのでこれを守らない冒険者はいない。
これが俺たち人間にも適用されるのかは分からないが、現在進行形で漆黒の骸骨と戦っている冒険者たちは、俺たちが横入りしても良い顔をしないだろう。下手をすると、今回は俺たちが上手く化神族を手に入れられるかも知れないが、冒険者のマナーを破ったと言う事で、今後この安全地帯の町に居場所がなくなってしまうかも知れない。
「バヨネッタさんたちは既に遊興地区で戦っているみたいですし、そっちに行きますか? それとも人手が足りていなさそうな、左の農業地区に行きますか?」
「いや、横入りしても今回はお咎めなしみたいだ。まずはここの黒骸骨を倒してから、バヨネッタたちと合流しよう」
そう提案した武田さんは、ウインドウを操作して、今回のイベントクエストの欄を見ているようだ。
「今回のイベントクエスト、レイド戦扱いになっている。範囲はこの安全地帯の町全域。このイベント中に限り、安全地帯の町の中で先に戦っている冒険者たちに後から加わっても、マナー違反にはならないようだ」
成程。カヌスとしても早く事態を収拾したい訳だし、闘技場の事件の時とは違って、町全域が滅茶苦茶になってしまうような今回の件で、横入り禁止にはしないか。それに今回の件はちゃんとしたイベントクエストだしな。
「それじゃあ、助っ人として、まずは眼前の漆黒の骸骨を倒しますか」
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