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ACT-18
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健太郎たちは、迷宮を無事に脱出し、イベエラへと戻ってきていた。
現在、街のギルドでは、魔王軍幹部討伐の宴が始まっており、冒険者一同は、とても歓喜乱舞していた。
「一時はどうなるかと思いましたが、冒険者の皆んなさん、五体満足で生還することができて、良かったですね」
「そうだな」(ほとんど俺のせいで、皆んなを危険にさせていたことは、一生黙っておこう…)
「スズキさん、ギルドマスターが呼んでるぜ」
「え、俺を?」
健太郎はギルドマスターが居る部屋まで向かった。
「…失礼します」
「お、やっと来たか、待っておったぞ」
「は、はぁ…」(ヤバい、怒られる気しかしないよ。迷宮を立て直すほどのお金は持ってはいるけど、この状況で、それをポンと置く勇気はないよ)
「まぁ、かけたまえ」
「はい」
健太郎が椅子に腰掛けると、ギルドマスターは勲章のようなものを取り出した。
「君の活躍は聞いているよ、凄かったらしいね」
「直接言われると、なんだか照れくさいです」
「そうかそうか、慢心しないことは、いい冒険者になるための心構えだからな、結構結構」
(あれ、怒られる雰囲気ではないのかな? じゃあ、なんで俺を呼び出したんだろう?)
「顔がキョトンとしているよ」
「す、すみません。顔に出すつもりはなかったのですが…」
「ふふ、慌てなくてもいいよ。これから本題を話すからね」
「お願いします…」
ギルドマスターは、健太郎の目の前に、さっき取り出した勲章を見せた。
「あの、これって?」
「おめでとう、君は街の誇りだ! 今回、連合軍を率いていたリアム国王様から、直々に勲章を渡すように仰せつかった」
(えぇ!! 国王様から勲章!!)
「で、でも、今回の件は、別に大したことをしたわけではないのに…」
「何を言ってるんだ、幹部の二人を討伐し、他、幹部十人を一人で追い払ったそうじゃないか」
(倒したのは本当だけど、追い払ったのには語弊がある)
「以下の功績から、君に金龍の勲章を授与する」
「金龍の勲章?」
「ワンナイト王国のシンボルでもある金龍の勲章だ。これを肌身離さず着用していると、死後は必ず、英霊として蘇ることができるそうだ」
「なにそれ怖い」
「これと…」
「まだあるんですか?」
「いや、本来ならこんなことはなかったのだが、国王様から、これも渡しておけと言われた」
「なんですか、その禍々しい瘴気を放つ物は…」
「特別勲章だ。前代未聞の勲章なので、名前は付いていないが…。そうだ、魔神勲章とでも呼ぼうか」
(どうしよう、魔神が定着しつつある)
少し憂鬱な気分になってしまう健太郎。
「君の功績はギルドの誇りだよ」
「どうされたんですか…」
「ちょっと、思い出してしまったね」
「何をですか?」
「カケル君のことを」
(師匠の名前を知っているってことは、まだ師匠がギルドにいた頃のメンバーだったんだ)
「カケル君とは一緒に冒険をした中でね、よく年寄りくさいだのなんだなと言われたものだよ」
「へぇ~、そうでしたか」(師匠って、以外にスパッと言っちゃう性格だったんだ)
「彼はとても強くてね、スキルを100個以上持っていて、向かうところ敵なしだったよ」
「うわぁ~、チート」
「特に凄かったのは、クエストで倒した魔獣を、生で食べ始めたことかな」
「肉食かよ」
「はは、でもね、彼はとっても優しくて、勇気があって、ひたすら謙虚に振る舞っていたよ。まるで、今の君のようにね」
「俺は別に謙虚に振る舞っているつもりはありませんよ。ただ、こんな生き方をしていたら、いつのまにか癖になっていただけですよ」
「そうか、君も苦労をしたんだね」
「…」
健太郎は、複雑な気持ちでいっぱいになった。
「勲章も渡したし、そろそろ宴に戻りなさい。今日の主役がいないと盛り上がりにかけるからね」
「はい。ありがとうございました」
勲章を持って、部屋を出る。
(彼は本当に、カケルによく似ているよ。君もそう思っただろう、キャシー)
健太郎がシエラたちのもとへ戻ると、皆んなは度肝を抜いた。
「ご主人様、金龍の勲章を貰ったのですか?」
「あぁ、その証拠に…、ほら」
「本当だ!? 国を象徴する金龍の勲章が、まさか、こんなところで見れるなんて」
(やっぱり凄いんだな、この勲章。でも、イマイチ凄さが分からないな。小学校で貰っていた賞の方が、まだ理解ができる。だって、死んだら英霊になれるとか、突然言われても、ピンとこないし)
「やっぱり、ご主人様はナンバーワンです」
「どうした、急に」
「ギルドに登録して、まだ日も浅いというのに、もう魔王軍の幹部を二人も倒しているんですから」
「そうそう、戦いを生で見たから言えるけど、人間がする動きじゃなかったよ」
「それな、魔神って二つ名がピッタリ似合うよな」
「ご主人様…、いえ、魔神様万歳です!」
「皆んな、今回の主役の魔神様を胴上げだ!」
「おおぉぉー!!」 一同
(魔神は魔王より上の悪名だと思うのだけど、それは)
健太郎は、魔王より上の位の魔神にクラスアップして、さらなる悩みに苦悩するのであった。
現在、街のギルドでは、魔王軍幹部討伐の宴が始まっており、冒険者一同は、とても歓喜乱舞していた。
「一時はどうなるかと思いましたが、冒険者の皆んなさん、五体満足で生還することができて、良かったですね」
「そうだな」(ほとんど俺のせいで、皆んなを危険にさせていたことは、一生黙っておこう…)
「スズキさん、ギルドマスターが呼んでるぜ」
「え、俺を?」
健太郎はギルドマスターが居る部屋まで向かった。
「…失礼します」
「お、やっと来たか、待っておったぞ」
「は、はぁ…」(ヤバい、怒られる気しかしないよ。迷宮を立て直すほどのお金は持ってはいるけど、この状況で、それをポンと置く勇気はないよ)
「まぁ、かけたまえ」
「はい」
健太郎が椅子に腰掛けると、ギルドマスターは勲章のようなものを取り出した。
「君の活躍は聞いているよ、凄かったらしいね」
「直接言われると、なんだか照れくさいです」
「そうかそうか、慢心しないことは、いい冒険者になるための心構えだからな、結構結構」
(あれ、怒られる雰囲気ではないのかな? じゃあ、なんで俺を呼び出したんだろう?)
「顔がキョトンとしているよ」
「す、すみません。顔に出すつもりはなかったのですが…」
「ふふ、慌てなくてもいいよ。これから本題を話すからね」
「お願いします…」
ギルドマスターは、健太郎の目の前に、さっき取り出した勲章を見せた。
「あの、これって?」
「おめでとう、君は街の誇りだ! 今回、連合軍を率いていたリアム国王様から、直々に勲章を渡すように仰せつかった」
(えぇ!! 国王様から勲章!!)
「で、でも、今回の件は、別に大したことをしたわけではないのに…」
「何を言ってるんだ、幹部の二人を討伐し、他、幹部十人を一人で追い払ったそうじゃないか」
(倒したのは本当だけど、追い払ったのには語弊がある)
「以下の功績から、君に金龍の勲章を授与する」
「金龍の勲章?」
「ワンナイト王国のシンボルでもある金龍の勲章だ。これを肌身離さず着用していると、死後は必ず、英霊として蘇ることができるそうだ」
「なにそれ怖い」
「これと…」
「まだあるんですか?」
「いや、本来ならこんなことはなかったのだが、国王様から、これも渡しておけと言われた」
「なんですか、その禍々しい瘴気を放つ物は…」
「特別勲章だ。前代未聞の勲章なので、名前は付いていないが…。そうだ、魔神勲章とでも呼ぼうか」
(どうしよう、魔神が定着しつつある)
少し憂鬱な気分になってしまう健太郎。
「君の功績はギルドの誇りだよ」
「どうされたんですか…」
「ちょっと、思い出してしまったね」
「何をですか?」
「カケル君のことを」
(師匠の名前を知っているってことは、まだ師匠がギルドにいた頃のメンバーだったんだ)
「カケル君とは一緒に冒険をした中でね、よく年寄りくさいだのなんだなと言われたものだよ」
「へぇ~、そうでしたか」(師匠って、以外にスパッと言っちゃう性格だったんだ)
「彼はとても強くてね、スキルを100個以上持っていて、向かうところ敵なしだったよ」
「うわぁ~、チート」
「特に凄かったのは、クエストで倒した魔獣を、生で食べ始めたことかな」
「肉食かよ」
「はは、でもね、彼はとっても優しくて、勇気があって、ひたすら謙虚に振る舞っていたよ。まるで、今の君のようにね」
「俺は別に謙虚に振る舞っているつもりはありませんよ。ただ、こんな生き方をしていたら、いつのまにか癖になっていただけですよ」
「そうか、君も苦労をしたんだね」
「…」
健太郎は、複雑な気持ちでいっぱいになった。
「勲章も渡したし、そろそろ宴に戻りなさい。今日の主役がいないと盛り上がりにかけるからね」
「はい。ありがとうございました」
勲章を持って、部屋を出る。
(彼は本当に、カケルによく似ているよ。君もそう思っただろう、キャシー)
健太郎がシエラたちのもとへ戻ると、皆んなは度肝を抜いた。
「ご主人様、金龍の勲章を貰ったのですか?」
「あぁ、その証拠に…、ほら」
「本当だ!? 国を象徴する金龍の勲章が、まさか、こんなところで見れるなんて」
(やっぱり凄いんだな、この勲章。でも、イマイチ凄さが分からないな。小学校で貰っていた賞の方が、まだ理解ができる。だって、死んだら英霊になれるとか、突然言われても、ピンとこないし)
「やっぱり、ご主人様はナンバーワンです」
「どうした、急に」
「ギルドに登録して、まだ日も浅いというのに、もう魔王軍の幹部を二人も倒しているんですから」
「そうそう、戦いを生で見たから言えるけど、人間がする動きじゃなかったよ」
「それな、魔神って二つ名がピッタリ似合うよな」
「ご主人様…、いえ、魔神様万歳です!」
「皆んな、今回の主役の魔神様を胴上げだ!」
「おおぉぉー!!」 一同
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