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貯古齢糖 壬琉苦

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ACT-48

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魔族の少女は、胸ポケットからナイフを取り出し、虚ろな目をして動かない健太郎に、ナイフを突きつける。


「これで、貴方は終わり」


 ビュッン!!


 少女がナイフに力を入れようとした時、下の方から大きな岩が飛んできた。


「誰?」

 少女が下を見ると、地面の一部が削られていた。


「弟子を見捨てて逃げるなんて、師匠の僕には出来ないよ」

 シエラと共に逃げたはずの翔が、大きな岩に乗り、上空にやって来た。


「貴方がアレを投げてきたの?」

 少女は翔に問う。


「そうだよ、さっきの攻撃は、僕がした」

「貴方、魔法使い?」

 再度、少女が質問すると、翔は笑って答えた。

「魔法使い? いいや、僕は超能力者だよ」


 ズドン!


 突如、少女の美しい紫翼に穴が開いた。

 少女はよろけながらも、しっかり上空にとどまり、体制を崩さない。


(今の僕の攻撃を耐えた…。手抜きなしの攻撃だったんだけどな…。彼女もまた、相当な修羅場を潜り抜けてきた戦士のようだ。なら、僕は彼女のことをリスペクトし、本気で挑もう)

 翔は技能スキル 念動力で操っていた岩から降りて、少女の前に立ち、先頭体制に入る。


「貴方の力、とても不思議。今まで見たことがない」

「そりゃ嬉しいな~、君みたいな可愛い女の子に喜んでもらえるなんて、お兄さん張り切っちゃうよ☆」

 翔は少女に手をかざし、技能スキルを発動した。


 念動力の力で、高濃度に圧縮された空気の矢が、少女目掛けて放たれた。


「同じ攻撃は、二度通用しない!」

 少女は、空気の矢を軽く弾き返した。


「見えない矢を弾くなんて、本当に強いみたいだね。でも、この攻撃は防ぎきれるかな?」

 翔は、少女に一呼吸する隙も与えず、無数の空気の矢を連続で放った。


 ズドドン!! ズドドン!! ズドドン!! ズドドン!!


「ふんっ!」

 少女は魔力の壁を展開して、空気の矢を回避する。


「その身で避けれないなら、壁を作る…。合理的判断だね。でも、僕の攻撃はそんなに甘くないよ」


 ペキ…


 空気の矢は微振動を繰り返し、魔力で作られた壁に、少しずつ亀裂をいれていく。


「ぐっ!!」

 少女は、無数に飛んでくる空気の矢に耐えきれなくなり、壁を壊されてしまった。


「これで、チェックメイトだ!」


 翔は念動力で生成した空気の刃を、守ることが出来なくなった少女に投げつけた。


「ひゃん!?」


 少女は肩からザックリ斬られ、地面に落ちていった。


(まだ、これしきの攻撃では、彼女は倒せていないだろう。早く、彼女との決着をつけなければ、危険な気がする)

 翔は、少女に引導を渡しに向かう。


 シュー………


 立ち込める白い砂煙の中、ボロボロになった少女がいた。


「見つけたよ」

 少女が立ち上ったタイミングに合わせたかのように、翔がやって来た。


「貴方、強い…。その強さは、普通じゃない……」

(何だ? 急に雰囲気がガラリと変わった)

 少女は翔に歪んだ瞳を向け、言った。


「貴方の罪は、その強さですか?」

「……!?」

 翔は意識を奪われた、少女のたった一言に…。



 ドガッーン!!!


 少女が翔を殺そうと近寄ると、物凄い勢いで"何か"が飛んできた。


「また……!?」

「わりぃ、俺の罪は重すぎて、お前なんかじゃ裁けなかったみたいだわ」

 少女は驚く、自分が必ず破られるはずのない攻撃をしたのに、彼がこの場に現れたことに。
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