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第3章
男の楽園
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わたくし、不知燈汰(しらず・とうた)は突然に異世界へと転生させられた。
初心者ダンジョンの完全復旧が終わって、だいたい1週間程度。
ここのところ、色々とあり過ぎて正直、心も体も既に休息モードに入っている。
新メンバーであるユキノが加入したことによって、心持ちとしては心機一転を図りたいところではあるのだが、どうにもクエストなどやる気は起きない。
疲れが溜まっているのもあるのだろうが、考えることが多すぎて頭がパンクした状態である。
例えば、最近の俺の評価。
俺は、ギルド《エクリプス》に所属している冒険者…ということになっている。
そこには、ギルドに所属している人間を評価するためのランキングなるものが存在する。
ギルドに所属している人間は膨大であり、俺が加入した段階で5万人はいた。
そして、俺とともにギルドに加入したエレナは何と既にトップ10の位置に付けており、新しく仲間となったユキノに至っても332位という素晴らしい評価を貰っている。
しかも、この2人は素行が大幅なマイナス要素として減点が加えられているにも関わらず、このランキングなのだ。
実質的な評価は、もっと上だと思って間違いない。
反面、俺はというと…ランキング50010位。
ギルドに加入してから数ヶ月、冒険者になる人もそこからさらに増えたことから、特に下位ランクに変動があったようだ。
それはわかる。
わかるのだが、なぜ俺のランクはこんなことになっているのだろうか。
ちなみに、現在のギルドの加入者数は50012人である。
つまり、俺のランキングは前回の5万人中49998位と何も変わっていない。
俺はつくづく思う。
このギルドのランキングシステムはまともに機能していない…と。
俺がこの街の役所に所属していて、各手続きの権限を有していたのなら、このギルドのランキングを命じたバカタレに1年程度の業務停止命令を出したいくらいだ。
労働をナメているとしか言いようがない。
ハッキリ言って、自分なりに頑張っているのに評価を全く得られないと、本当にやる気が消え失せる。
もちろん、別に他人の評価など知ったことではない…と声を大にして言うこともできるのだが、多少はチヤホヤされたいという思いもあるのだ。
これでは、まるで醜いアヒルの子である。
俺が一体何をしたというのか…。
そういうことなので、久々に涙で枕を濡らした今の俺に、ヤル気という概念は露ほども存在しない。
肝心の俺のパーティの問題児であるエレナとユキノの2人は、今日は一緒ではない。
エレナはきっと食堂で酒を飲みに、ユキノは用事があると言っていた。
正直、俺は2人の交友関係にもプライベートにも口を出すつもりはないし、興味もない。
心の底から、自由にやれば良いと思っている。
だから、俺もたまには自由にやりたいことをやりたい。
率直に言って、素敵なお姉さんにでも甘えたい気分だ。
俺だって、男である。
この異世界にもそういうお店があるらしいのだが、どうにも勇気が出ない。
見た目も、15歳前後のただの男の子…。
この外見で、そんな大人のお店に行くとこの世界ではあっさり捕縛されるかもしれない。
いや、この世界でなくても刑務所行きかもしれないが。
そういうことなので、無気力症候群を引き起こしている俺は、見事に借りパクに成功した自宅のテント内に引き籠っているのだった。
しかし、そんなことを考えていたからなのかもしれない。
まさしく、救いの神がテントにやってきたのだ。
「おーい、トータ。
いるかー?」
誰かの声が外から聞こえた。
正直、人生とはわからないものである。
何が今後の役に立つのかわからないし、一見すると何の役にも立たなかったものが、将来的に大活躍する…などということもある。
今回は、そんなお話である。
──────────────────
「えーっと、ここがそうなのか?」
俺は、冒険者仲間であるユーガに連れられてボロの街の少し古びた建物の前までやってきていた。
東門から少し歩いた、外壁沿いに佇んでいる静かな建物である。
地上2階から地下1階まであるらしい。
「おう。最近、お前疲れてるだろ?
俺が奢ってやるよ。」
そう言うのは、冒険者仲間のユーガである。
アパシーシンドロームでやる気のなかった俺を、ここまでわざわざ引っ張ってきてくれた。
どういうお店なのかというと、そういうお店である。
「なぁ…本当に入って大丈夫なのか?
捕まったりしないの?」
「大丈夫だっての。
だいたい、この国は15歳から酒飲んで良いんだぞ。
そういうお店だって、15歳になったら入って良いんだよ。
多分。」
曖昧なことを言うユーガだが、彼は17歳なので捕まるのは年齢不詳の俺だけである。
不安しかない。
ただ、入るのはヤブサカではないというジレンマ。
「あのさ、このお店ってどういうコンセプトなんだ?
俺、マジで何も知らないんだけど。」
「表向きは《記憶の館》っつってな。
その人の過去の良い記憶や思い出を魔法や魔道具で具現化して、精神的な疲れを癒すんだよ。」
「へぇ…メチャクチャ良いじゃん。
てか、魔法や魔道具って本当にすげーな。
そんなこともできるの?」
相変わらず、なんでもアリの世界である。
てか、表向きってなんだ?
「でな、裏の事情はそうではないわけ。
記憶や思い出を形にできるのは間違いないんだけどさ、なんでそんなことができるかお前わかるか?」
「うーん……。
魔法や魔道具が思い出や記憶に反応してるってこと?」
正直、さっぱりわからん。
だいたい、俺は自分が保有しているスキルでも意味が分からないものがあるくらいだし。
《ムギュルン》とか。
「まぁ30点だな。そういうことじゃねーんだよ。
お前、記憶も思い出も忘れてるのに、そんな仕様なら使えねーだろ?
俺がそんなところに連れてくるわけねーじゃん。」
「あ…確かに。」
言われて気づいた。
俺は、この世界の良い記憶や思い出など1つもない。
ましてや、記憶喪失という設定である。
「ようはさ、頭の中で思い描いたことを魔法や魔道具で具現化しているわけ。
実は、思い出とか関係ないの。イメージが大事。
意味わかるか?」
「…………。」
…なるほど。
俺は、気づいてしまった。
素晴らしい事実に。
「ユーガ、それってもしかして……。」
「そう!俺達の想像が形として具現化されるわけだ。
つまり、俺達が頭に思い描いた理想の相手が、その場に現れるんだなーこれが。」
「よし、行こう。」
俺は、ノリノリになった。
こんな素晴らしいことはない。
なぜなら、誰も損をしないからである。
「お、いいねぇ!
やっぱり話がわかる奴だお前は!!」
この異世界に来てから、俺は初めて自分の疲れを癒したいと思っていた。
そのチャンスが、目の前にあるのだというのだから逃すわけにはいかない。
というのは、もちろん言い訳で。
俺は単純にここで楽しみたいだけである。
なので、当然のごとく意気揚々と建物に入って行った。
建物に入っていくと、どうやら地上から2階はブラフで、地下1階にあるお店が本命らしい。
実際に、1階フロアはサビれている上に2階への階段もない。
「変わった建物だなぁ…。
これって、法律的に大丈夫なのかな。
すげー内緒でやってる感があるんだけど。」
「問題ねーよ。
これ、ギルドの奇特な人達が趣味で作った店だからな。」
「マジかよ最高だな。」
ギルドの人達も、日ごろから疲れやストレスが溜まっているのだろうか?
食堂もそうだけど、見た目に体力仕事だから。
まぁでも、こういうお店なら男女関係なく利用できるから問題ないのかもしれない。
「ちなみに、ギルドの女性職員は知らないから内緒な。」
「マジかよ最低だな…。」
本当に大丈夫なのかこれ…?
何でバレてないんだよ。
「この建物はさ、魔法陣で建物全体がブラフになってんだよ。
女性には、この建物そのものが認識できねーんだ。
だから、バレるわけねーよ。心配すんな。」
「魔法陣ってなに?そんなこともできるの?
てか、なんでそんなところに力入れてんの?」
趣味にとんでもなく力を入れる人はいるけど、どうやらこの世界にもいたみたいだ。
しかも、とんでもなく頭が良く、そしてアホである。
「お前も知ってると思うけど、魔法陣ってのは文字や図形に魔力を込めて発動する魔法だからな。
術式と準備次第じゃだいたい何でもできるぞ。」
「それ、デメリットとかないのか?」
「まぁ、準備するのがめんどくせぇってのがデメリットじゃねーの?
俺もしっかりと準備したものなんて使わねーしな。」
そもそも、俺は未だに身体強化のスキルしか使えない。
ユキノみたいな魔法を使ってみたいとは思うのだが、いまいちイメージができないのだ。
簡易的な魔法ですら、魔力を込めて発動する…という状況がよくわからない。
「魔法陣は準備がめんどくせぇ分、その効果は絶大で長時間続くんだよ。
だから、こんな感じで建物全体を偽装できるくらいの効果も発揮する。
で、皆こんなのめんどくぇから大半は簡易的な術式の魔法陣を使ってんだよ。」
「へぇー……?」
この異世界には、俺が把握しきれていないことがまだまだあるようである。
説明を聞いても、なんのこっちゃサッパリだ。
そんな話をしていると、地下へ行く階段を見つけた。
「この下にお店があるって話だ。」
「話…って、ユーガは来たことないのか?」
「当たり前だろ。
サラが怖くて1人じゃ行けないんだよ。
バレたら俺が死ぬだろうが。」
サラとは、ユーガの幼馴染兼パーティメンバーの女の子である。
怒るとすごく怖い。
実際に、最近まで俺やエレナも彼女に目の敵にされていた。
「お前な…俺やっとサラちゃんへの誤解が解けつつあるんだぞ。
向こうから話しかけてくれるようになったし。
また嫌われたくないぞ。」
「大丈夫だって!ようはバレなきゃいいんだよ。
見つかっても2人で歩いてたらさ、お前と遊んでたって言い訳できるだろ?」
なんだか、初めてお泊りに行く女子校生みたいな言い分である。
こんなんで、本当に大丈夫なのだろうか。
しかし、そんなことを言っている俺も、気分は高揚している。
異世界に来てからここまで、俺の周りにいる女性は奇想天外な方々ばかりであった。
見た目はかわいいのはわかっている。
しかし、中身が複雑怪奇なのだ。
きっと、彼女達の中身はパブロ・ピカソの絵の様に万人には理解できない状態になっているに違いない。
そこに価値を見出すことなど、俺には不可能である。
「よし、じゃあ行くかトータ。」
「あぁ。行こうぜ。」
せっかく、ここまで来たのだ。
俺は心も体も癒すため、男の楽園へと旅立つ。
初心者ダンジョンの完全復旧が終わって、だいたい1週間程度。
ここのところ、色々とあり過ぎて正直、心も体も既に休息モードに入っている。
新メンバーであるユキノが加入したことによって、心持ちとしては心機一転を図りたいところではあるのだが、どうにもクエストなどやる気は起きない。
疲れが溜まっているのもあるのだろうが、考えることが多すぎて頭がパンクした状態である。
例えば、最近の俺の評価。
俺は、ギルド《エクリプス》に所属している冒険者…ということになっている。
そこには、ギルドに所属している人間を評価するためのランキングなるものが存在する。
ギルドに所属している人間は膨大であり、俺が加入した段階で5万人はいた。
そして、俺とともにギルドに加入したエレナは何と既にトップ10の位置に付けており、新しく仲間となったユキノに至っても332位という素晴らしい評価を貰っている。
しかも、この2人は素行が大幅なマイナス要素として減点が加えられているにも関わらず、このランキングなのだ。
実質的な評価は、もっと上だと思って間違いない。
反面、俺はというと…ランキング50010位。
ギルドに加入してから数ヶ月、冒険者になる人もそこからさらに増えたことから、特に下位ランクに変動があったようだ。
それはわかる。
わかるのだが、なぜ俺のランクはこんなことになっているのだろうか。
ちなみに、現在のギルドの加入者数は50012人である。
つまり、俺のランキングは前回の5万人中49998位と何も変わっていない。
俺はつくづく思う。
このギルドのランキングシステムはまともに機能していない…と。
俺がこの街の役所に所属していて、各手続きの権限を有していたのなら、このギルドのランキングを命じたバカタレに1年程度の業務停止命令を出したいくらいだ。
労働をナメているとしか言いようがない。
ハッキリ言って、自分なりに頑張っているのに評価を全く得られないと、本当にやる気が消え失せる。
もちろん、別に他人の評価など知ったことではない…と声を大にして言うこともできるのだが、多少はチヤホヤされたいという思いもあるのだ。
これでは、まるで醜いアヒルの子である。
俺が一体何をしたというのか…。
そういうことなので、久々に涙で枕を濡らした今の俺に、ヤル気という概念は露ほども存在しない。
肝心の俺のパーティの問題児であるエレナとユキノの2人は、今日は一緒ではない。
エレナはきっと食堂で酒を飲みに、ユキノは用事があると言っていた。
正直、俺は2人の交友関係にもプライベートにも口を出すつもりはないし、興味もない。
心の底から、自由にやれば良いと思っている。
だから、俺もたまには自由にやりたいことをやりたい。
率直に言って、素敵なお姉さんにでも甘えたい気分だ。
俺だって、男である。
この異世界にもそういうお店があるらしいのだが、どうにも勇気が出ない。
見た目も、15歳前後のただの男の子…。
この外見で、そんな大人のお店に行くとこの世界ではあっさり捕縛されるかもしれない。
いや、この世界でなくても刑務所行きかもしれないが。
そういうことなので、無気力症候群を引き起こしている俺は、見事に借りパクに成功した自宅のテント内に引き籠っているのだった。
しかし、そんなことを考えていたからなのかもしれない。
まさしく、救いの神がテントにやってきたのだ。
「おーい、トータ。
いるかー?」
誰かの声が外から聞こえた。
正直、人生とはわからないものである。
何が今後の役に立つのかわからないし、一見すると何の役にも立たなかったものが、将来的に大活躍する…などということもある。
今回は、そんなお話である。
──────────────────
「えーっと、ここがそうなのか?」
俺は、冒険者仲間であるユーガに連れられてボロの街の少し古びた建物の前までやってきていた。
東門から少し歩いた、外壁沿いに佇んでいる静かな建物である。
地上2階から地下1階まであるらしい。
「おう。最近、お前疲れてるだろ?
俺が奢ってやるよ。」
そう言うのは、冒険者仲間のユーガである。
アパシーシンドロームでやる気のなかった俺を、ここまでわざわざ引っ張ってきてくれた。
どういうお店なのかというと、そういうお店である。
「なぁ…本当に入って大丈夫なのか?
捕まったりしないの?」
「大丈夫だっての。
だいたい、この国は15歳から酒飲んで良いんだぞ。
そういうお店だって、15歳になったら入って良いんだよ。
多分。」
曖昧なことを言うユーガだが、彼は17歳なので捕まるのは年齢不詳の俺だけである。
不安しかない。
ただ、入るのはヤブサカではないというジレンマ。
「あのさ、このお店ってどういうコンセプトなんだ?
俺、マジで何も知らないんだけど。」
「表向きは《記憶の館》っつってな。
その人の過去の良い記憶や思い出を魔法や魔道具で具現化して、精神的な疲れを癒すんだよ。」
「へぇ…メチャクチャ良いじゃん。
てか、魔法や魔道具って本当にすげーな。
そんなこともできるの?」
相変わらず、なんでもアリの世界である。
てか、表向きってなんだ?
「でな、裏の事情はそうではないわけ。
記憶や思い出を形にできるのは間違いないんだけどさ、なんでそんなことができるかお前わかるか?」
「うーん……。
魔法や魔道具が思い出や記憶に反応してるってこと?」
正直、さっぱりわからん。
だいたい、俺は自分が保有しているスキルでも意味が分からないものがあるくらいだし。
《ムギュルン》とか。
「まぁ30点だな。そういうことじゃねーんだよ。
お前、記憶も思い出も忘れてるのに、そんな仕様なら使えねーだろ?
俺がそんなところに連れてくるわけねーじゃん。」
「あ…確かに。」
言われて気づいた。
俺は、この世界の良い記憶や思い出など1つもない。
ましてや、記憶喪失という設定である。
「ようはさ、頭の中で思い描いたことを魔法や魔道具で具現化しているわけ。
実は、思い出とか関係ないの。イメージが大事。
意味わかるか?」
「…………。」
…なるほど。
俺は、気づいてしまった。
素晴らしい事実に。
「ユーガ、それってもしかして……。」
「そう!俺達の想像が形として具現化されるわけだ。
つまり、俺達が頭に思い描いた理想の相手が、その場に現れるんだなーこれが。」
「よし、行こう。」
俺は、ノリノリになった。
こんな素晴らしいことはない。
なぜなら、誰も損をしないからである。
「お、いいねぇ!
やっぱり話がわかる奴だお前は!!」
この異世界に来てから、俺は初めて自分の疲れを癒したいと思っていた。
そのチャンスが、目の前にあるのだというのだから逃すわけにはいかない。
というのは、もちろん言い訳で。
俺は単純にここで楽しみたいだけである。
なので、当然のごとく意気揚々と建物に入って行った。
建物に入っていくと、どうやら地上から2階はブラフで、地下1階にあるお店が本命らしい。
実際に、1階フロアはサビれている上に2階への階段もない。
「変わった建物だなぁ…。
これって、法律的に大丈夫なのかな。
すげー内緒でやってる感があるんだけど。」
「問題ねーよ。
これ、ギルドの奇特な人達が趣味で作った店だからな。」
「マジかよ最高だな。」
ギルドの人達も、日ごろから疲れやストレスが溜まっているのだろうか?
食堂もそうだけど、見た目に体力仕事だから。
まぁでも、こういうお店なら男女関係なく利用できるから問題ないのかもしれない。
「ちなみに、ギルドの女性職員は知らないから内緒な。」
「マジかよ最低だな…。」
本当に大丈夫なのかこれ…?
何でバレてないんだよ。
「この建物はさ、魔法陣で建物全体がブラフになってんだよ。
女性には、この建物そのものが認識できねーんだ。
だから、バレるわけねーよ。心配すんな。」
「魔法陣ってなに?そんなこともできるの?
てか、なんでそんなところに力入れてんの?」
趣味にとんでもなく力を入れる人はいるけど、どうやらこの世界にもいたみたいだ。
しかも、とんでもなく頭が良く、そしてアホである。
「お前も知ってると思うけど、魔法陣ってのは文字や図形に魔力を込めて発動する魔法だからな。
術式と準備次第じゃだいたい何でもできるぞ。」
「それ、デメリットとかないのか?」
「まぁ、準備するのがめんどくせぇってのがデメリットじゃねーの?
俺もしっかりと準備したものなんて使わねーしな。」
そもそも、俺は未だに身体強化のスキルしか使えない。
ユキノみたいな魔法を使ってみたいとは思うのだが、いまいちイメージができないのだ。
簡易的な魔法ですら、魔力を込めて発動する…という状況がよくわからない。
「魔法陣は準備がめんどくせぇ分、その効果は絶大で長時間続くんだよ。
だから、こんな感じで建物全体を偽装できるくらいの効果も発揮する。
で、皆こんなのめんどくぇから大半は簡易的な術式の魔法陣を使ってんだよ。」
「へぇー……?」
この異世界には、俺が把握しきれていないことがまだまだあるようである。
説明を聞いても、なんのこっちゃサッパリだ。
そんな話をしていると、地下へ行く階段を見つけた。
「この下にお店があるって話だ。」
「話…って、ユーガは来たことないのか?」
「当たり前だろ。
サラが怖くて1人じゃ行けないんだよ。
バレたら俺が死ぬだろうが。」
サラとは、ユーガの幼馴染兼パーティメンバーの女の子である。
怒るとすごく怖い。
実際に、最近まで俺やエレナも彼女に目の敵にされていた。
「お前な…俺やっとサラちゃんへの誤解が解けつつあるんだぞ。
向こうから話しかけてくれるようになったし。
また嫌われたくないぞ。」
「大丈夫だって!ようはバレなきゃいいんだよ。
見つかっても2人で歩いてたらさ、お前と遊んでたって言い訳できるだろ?」
なんだか、初めてお泊りに行く女子校生みたいな言い分である。
こんなんで、本当に大丈夫なのだろうか。
しかし、そんなことを言っている俺も、気分は高揚している。
異世界に来てからここまで、俺の周りにいる女性は奇想天外な方々ばかりであった。
見た目はかわいいのはわかっている。
しかし、中身が複雑怪奇なのだ。
きっと、彼女達の中身はパブロ・ピカソの絵の様に万人には理解できない状態になっているに違いない。
そこに価値を見出すことなど、俺には不可能である。
「よし、じゃあ行くかトータ。」
「あぁ。行こうぜ。」
せっかく、ここまで来たのだ。
俺は心も体も癒すため、男の楽園へと旅立つ。
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