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2人きりだね。
しおりを挟む私には義理の弟がいる。
うちの親は私が小さい頃に離婚。
それからお母さんは一生懸命働きながら私を育ててくれて。
3年前に再婚した。
その再婚相手には連れ子がいて、今は家族4人で一緒に暮らしている。
一見して普通の家族だけど、私達兄弟には秘密がある。
*
トントン。
部屋で勉強をしていると扉をノックする音が聞こえた。
「入ってもいい?」
「どうぞ」
扉を開けると直ぐに私に向かって飛びかかってくる晄。
この子が私の弟であり、私の一番大切な人。
晄のあまりの勢いに、バランスを崩しそうになってすぐ横のベットに倒れ込んだ。
「ちょっといきなり何?」
びっくりして少し怒り口調でそう言うと、
「えー、華恋ちゃん冷たい」
と甘えた声を出す晄。
「勉強中だったの」
「せっかく2人きりなのに?」
今日はお父さんは出張でお母さんは夜勤だから、晄と二人きりだったりする。
「だって、テスト近いんだもん」
「俺が教えてあげよっか?」
「えー、晄に教えてもらうようになったら終わりだよ」
「マジでひどいんだけど!」
そう言いながら、ほっぺたを膨らませて怒る晄。
こんな言い合いをしていてもらちが明かない。
私の上に乗っている晄を押して、ベッドから起き上がろうとした。
だけど晄の力で全然身体が動かない。
「もう力では俺に勝てないよ」
マジメな顔でそう吐く晄。
「生意気」
「なんとでも言ってよ」
晄は余裕そうに言いながら、顔がだんだんと近づいてきて。
唇が触れるギリギリのところで止まった。
晄は私の目を見ながらニコニコしてる。
「華恋ちゃん、好き。大好き」
晄はいつもド直球に気持ちを伝えてくれて。
それがすごく嬉しくて、ドキドキする。
お互い見つめ合っていると、かすかに階段を上ってくる足音が聞こえて。
晄と二人、顔を見合わせて急いで距離をとった。
「華恋、扉開けっ放しじゃない…って晄ちゃんいたの?ホント仲いいわね」
「宿題で分からないところがあったから」
晄はとっさに誤魔化した。
「へー、そう?ふーん?」
「…お母さん。今日夜勤じゃなかった?」
いる気配全然してなかったけど…。
「シフト変わったの。
それより次のシフト希望出したいから、三者面談の日、分かったらすぐ教えてね」
お母さんはそう言いって1階へ降りて行った。
晄と顔を見合わせて、ほっと息をつく。
晄は扉を閉めながら
「危なかったね」
なんて言って、ちっともそう思ってなさそうな顔で笑って、
「ねー、続きしよ?」
って、徐々に距離を詰めてくる。
「何言ってるの。お母さんいるんだよ?」
「いるね」
「バレたらどうするの?」
「バレないよ。ドア閉めたし」
そういう問題じゃなくって。
「また急に入ってきたらどうすんの?」
「その時はその時だよ」
晄はそう言いって急に顔が近づいてきたと思ったら、一瞬で唇を塞がれた。
その瞬間、晄の香りでいっぱいになって、頭がくらくらする。
思考が停止しそう。
「華恋ちゃんだってホントは、俺とイチャイチャしたいんでしょ?」
「そんなこと…「分かるよ」
私の言葉にかぶせて、また唇を重ねてくる晄。
ほらまた何も考えられなくなる。
弟のクセにいつも生意気なんだから。
そんな晄に、いつも私の気持ちはかき乱されてばっかり。
「晄、大好きだよ」
「うん、知ってる!」
.END
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