勇者?いいえ、聖・魔剣使いです。〈 聖・魔剣使いの英雄談〉

カザミドリ

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第2章 ベアトリス女王国防衛編

4.魔剣の整理

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翌日、俺は、女王に呼ばれていた。今回は謁見の間ではなく、女王の執務室に行く。
特に、さほど大きな話ではないので、行くのも俺一人である。
エレナ姫に案内され、執務室に入る。

「失礼致します、お母様、工藤様をお連れしました」

「ご苦労ですエレナ、どうぞお入りください工藤様」

「邪魔するぞ」

「わざわざ、お忙しい中、お呼びして申し訳ありません」

「別に構わない、暇だし」

「そ、そうですか?」

魔王が攻めてくるというのに、暇だと言う俺に女王は苦笑いをする。

「先日は、クロエ達を助けていただき、
ありがとうございました」

「気にしないでいい、それで、魔王の詳しい情報は?」

「ハイ、恐らくクロエ達の報告から、蟲の魔王・インセクトと思われます」

「魔王インセクトは、その二つ名の通り、蟲を自由に操る力を持っています、そして、性格は極めて残忍な危険なものです」

「なるほど、他の村の様子は?」

「クロエ達と別に調査に出ていた者達の、一部と連絡が取れなくなっています」

「という事は、他にも?」

「恐らく、蟲人になっているかと……」

「そうか…」

場の空気が重くなる。いくつの村が蟲人になっているのか、想像したくないものだな。
だが、嘆いていても仕方ない、今は救えるものを救おう。その為には俺も強くならねば。そう考えていると、ミレナ女王が話題を変えるためか、聞いてくる。

「そう言えば、クロエに何かしたのですか?」

「何かってなんだ?藪から棒に」

「いえ、少々様子がおかしかったので」

「どんな風に?」

「そうですね…強いて言うなら、まるで、神に出会ったシスターの様にですかね?」

「神?俺は会ってないが、神ってそんな簡単に会えるものなのか?」

「いえ、気のせいですかね?」

ミレナ女王と二人で首をかしげる。

「というか、こんな話してる場合じゃないよな」

「そうですね、工藤様はこれからどちらに?」

「あぁ、訓練所に行こうかと」

「では、エレナご案内して差し上げて」

「はい、お母様、工藤様参りましょう」

エレナ姫と二人で、執務室を後にする。
向かった先は訓練所、勇者や兵士が常日頃訓練する場だ。


着くとそこでは、司達が訓練していた。
かなり実戦的なようで、司達四人と、アリシアが対峙していた。
司達四人を相手に、捌ききっているアリシアは、流石だな。司達はまだ実戦経験で、差ができてる感じかな?

邪魔にならないよう、訓練所の端に行く。

「訓練をするのでは、無いのですか?」

「俺が、ここで訓練したら、少なくとも、この街の半分が瓦礫に変わるがいいのか?」

「絶対辞めてください!」

いや、やらないけどね?

〈目標に設定しますか?〉

しないよ!?ナビさんは俺を何にしたいの?

〈英雄です〉

絶対違うものにしようとしてるよね?
破壊神とか。

〈破壊神様の御力は、この程度では、まだ程遠いかと〉

いるんだ、破壊神……絶対関わらない様にしよう。

と、ナビさんと話ていると、エレナ姫が、不安そうに見てくる。

「いや、大丈夫だ、訓練ではなく、整理しに来ただけだから」

「整理ですか?」

「あぁ、分別とも言うな」

そう言って、ナビさんに頼んで、魔剣を全て出してもらう。
巨大な魔方陣が形成され、その中から100本の魔剣が出てくる。

「な、な、何ですかこれは……」

「何って、魔剣」

これからやるのは、魔剣の整理、具体的には使って大丈夫な物と、危険な物。

魔剣を一本、一本手に取り、確認していく。

「いろいろな魔剣があるのですね」

「あ、そこにあるの、触らない方がいいよ?呪われてるから」

「ひえ!」

エレナ姫の近くの、魔剣について注意をすると、変な悲鳴が聞こえた。
気にせずに、魔剣を見ていく。

「うーん、やばそうなのが多いな」

「おーい、明くーん」

訓練が終わったのか、澪達がこちらに近付いてくる。

「あんた、そんな隅で何してんの?」

「魔剣の分別」

「聞くからに、危険な事してるね」

「ねぇねぇ、前から気になってたんだけど、聖剣や魔剣て、剣てつくのにいろんな形があるよね?何で?」

「それは、聖剣や魔剣が、あくまでもクラスを表す言葉だからだ」

「クラスですか?」

「そう、例えば、聖剣クラスの槍とか、聖剣クラスの弓とかだな」

「へぇ、何か面白いね」

「で、今はそんな魔剣の分別だが……」

「危険な物が多そうだな」

脱線した話を戻し、魔剣の分別に戻る。
一本の魔剣を澪達の目の前に持っていく。

「そうだな、例えば、これなんか一振りで、周りにいるものを狂気でつつみ、自我が戻らないようにする能力とかな」

「怖っ!そんな物掲げるんじゃないわよ!」

「私も、狂気はいやかな」

じゃあ、何ならいいんだよ、とは聞かない、やぶ蛇だからな。

「他には、血を見るまでは、収まらない
衝動にかられるとか…」

「明くんは平気なの?なんだったら、私の破瓜の血で……」

「俺は魔剣使いだからな、呪いは受けないんだ」

「本当に、貴方は規格外ですね」

「頼もしいような、恐ろしいような……」

「後は、瘴気が出て、街をつつみ永遠の暗闇をあたえるとか……」

「絶対やめてください!」

「しないよ」


その後、一通り分別が終わり、魔剣の力を試そうとしたら、エレナ姫に涙目で止められたため、今日はここまでにした。
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