勇者?いいえ、聖・魔剣使いです。〈 聖・魔剣使いの英雄談〉

カザミドリ

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第2章 ベアトリス女王国防衛編

6.決戦 魔王・インセクト

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魔法での討伐が始まるなか、俺は、魔王・インセクトを探す。

ナビさん、インセクトはどこにいる?

〈向かって右側、林の中に、身を潜めています〉

了解!


林の中を進むと、一人の男が佇んでいた。

「ようこそ、お出でくださいました、
勇者様」

「勇者ではないんだか、俺の事を知ってるみたいだな?」

「えぇ、私もあの村の光景を見ていましたから」

「そうか……」

「ですので、あなたへの対策は、完璧です」

出てきたのは、修道服を着たシスターや神父の蟲人、これが対策?笑わせてくれる。

「もう、準備はいいのか?ならいくぞ?」

「ふん、強がりを、聖剣は効果が薄いですよ?」

「……来い!魔剣・デュランダル!!」

黒い光を発しながら現れるのは、魔剣・デュランダル、聖剣エクスカリバーと対をなす剣。

「聖剣ではなく、魔剣だと?貴様はいったい……」

最後まで聞くことなく、蟲人達に切りかかる。
直ぐに蟲人を切り伏せ、その勢いのまま、インセクトを切りつける。

ガキンっ!

切りつけると、インセクトは正体を表し、デュランダルを受け止める。
インセクトの正体は、まさに蟲そのものだった。
触角の生えた蛾のような顔に、カマキリの鎌の生えた腕、バッタの様な脚。

「この姿を見たからには、貴様には八つ裂きになってもらいますよ!」

インセクトは、バッタの脚で地面や木を蹴り、高速で跳びはね、カマキリ鎌で切り裂いてくる。どうやらこれが、奴の戦い方らしい。

ガッガッガキン

鎌による斬激を魔剣で受け止める。鎌は魔剣には勝てず、徐々にし刃こぼれしていく。

「ずいぶん、鎌がぼろくなったな?」

「ちぃっ!余裕でいられるのも、それまでだ!」

体が動かせなくなる、何だ?よく見ると細い糸が絡み付いている、蜘蛛の糸か?

「クックック、動けまい、特製の糸だ!そして貴様には念には念を入れて、これで死んでもらう」

そう言うと、インセクトの背中に、蝶の様な羽が生える、それをバサリと振りりんぷんを飛ばしてくる。

「毒りんぷんだ、苦しかろう!」

ガクリと膝をつき、項垂れる俺に、抗う力がもう無いだろうと、近付いて止めを指しに来るインセクト。

十分に近づき、鎌を振り上げるインセクト、それを魔剣で逆に切り飛ばす。

「グキャッ!な、何故動ける!」

「残念ながら、俺に毒は効かないんだ」

俺には、聖剣の加護がある、聖剣の加護は、所持している聖剣の特性を、全て付与される物、なので、状態異常耐性を持つ聖剣を所持している俺は、当然、毒は効かない。ちなみに巻き付いていた糸は、膝をついているときに、デュランダルで簡単に切れたよ。

「さて、もう、終わりにするか」

「く、くそ貴様はいったい何なんだ!?」

「魔王っては、皆同じ質問をするものなのか?俺は、ただの異世界人さ」

「おのれ、おのれ!!」

最後の悪あがきに、インセクトが残った鎌を振り上げる。

「切り刻め、デュランダル!!」

黒いオーラを発するデュランダルを振り抜く、インセクトの体に、幾度も切られたように、刀傷ができ、そこから、緑の鮮血が舞い散る。
一撃必殺のエクスカリバーに対し、デュランダルは重撃必殺の剣。一振りで何重にも切られたインセクトは崩れ落ちる。

「ふぅ……」

一息つくが、まだ終わっていない、直ぐに澪達のところに戻り、街の防衛をしなくては。

街の近くまで戻ると、どうやら勝敗は決していたようだ、近くの兵士に聞くと、魔王である、インセクトを倒した事で、魔物の動きが鈍りだし、その期に、ミレナ女王始め、澪達が魔法で討伐したとの事だ。

「明くーん!」

殺気を感じ、咄嗟に右に飛ぶ、今まで俺が居た場所を、両手を広げた澪が通過する。

「どうして、逃げるの……」

「殺気を感じたから」

笑顔なのだが、濁った目の澪がにじり寄ってくる、何だ?何か、デジャブを感じる。

そんな事をしていると、司達が集まってきた。ミレナ女王と戦果の報告をする。

「魔王を倒したのですね?」

「あぁ、そちらも、大丈夫そうだな?」

「ハイ、街にも被害はありません」

「そうか、なら一安心だな」

「えぇ、もうすぐ日が暮れます、帰ってお休み下さい」

「そうするとしよう」

戦いが終わり、身体を休めるため、城に戻る、途中街の人たちの歓声に包まれ、防衛の成功を噛み締める。


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