異世界行ったら従者が最強すぎて無双できない。

カザミドリ

文字の大きさ
1 / 45

プロローグ

しおりを挟む
「………終わった」

 今貯金を全て宝くじにつぎ込み、見事に全部ハズレ崩れ落ちる男が一人。
 俺、坂本 拓斗(さかもと たくと)28歳 無職

「無理だ、死んだ、明日からどうすれば……」

 突然バイトをクビになり、自棄を起こして全財産を宝くじにオール・インした今、道は絶たれお先真っ暗。

「……こうなったら仕方がない……」

 残された道はただ一つ。

「そうだ!異世界に行こう!!」

  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「え~っとなになに?」

 家に帰りさっそく異世界への行き方をネットで調べる。
 その中でも特に目を引いた物を試してみる。

「真っ白な紙に、魔方陣を書き、その中心に『入』を書く、それを握りしめながら寝る」

 ……果たしてこんな事で本当に異世界に行けるのだろうか?でもトラックに突っ込むのも嫌だし。

「えーい、南無三!」

 ダメで元々、試しに寝てみる、どうか異世界に行けますように!

  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 眠りについてしばらく、不思議な浮遊感に苛まれ目を開ける。

「う、うわぁ!何だ!?」

〈やあ、やあ、よく来たね?ようこそ次元の狭間へ〉

「…………」

〈おーい、大丈夫かい?〉

「#%&*@↑←→↑↓|〓!?」
 目の前には神様らしき人物が一人。
 試したら本当に出来ちゃいました。

  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
〈落ち着いたかい?〉

「は、はい、すいません」

〈君たち人間はどうして自分でした事に驚くのかな?〉

「いえ、実際に来れるとは、思わず……」

〈ハァ、まぁ良いや、それでどうするんだい?異世界に行く?まだ戻れるけど?〉

「そ、その前に一つ、神様ですか?」

〈うん、まぁそんなような所かな、僕はこの次元の狭間の管理者、世界線を越える者を見極めるために居るんだよ〉

「へぇ、一見ただの小学生にしか見えませんが……」

〈あぁ、君にはそう見えてるんだね?人によって違うんだよ、老人だったり、美少女だったり〉

「美少女が良かったです」

〈ははは、素直だね、それで、異世界に行くのかい〉

「はい!是非に!」

〈……ハァ、困るんだよね、最近異世界に行きたい人が増えて、皆そんなに行きたいのかなぁ?〉

「えっと、すいません……」

〈まぁ、良いんだけどさ、じゃあ手続きに入るよ〉

「は、はいお願いします」

 若干怒られたが、異世界に行けるようだ。

〈えっと、坂本拓斗さん 28歳ね、まだ若いけど本当にいいの?〉

「は、はい」

〈あっちにはゲームも、テレビも、漫画も無いよ?〉

「は、はい……」

〈だいたい異世界に行きたいって言うのって皆若い人なんだよね~〉

「は、はぁ……」

〈この間なんて、異世界に行きたいからトラックにわざと跳ねられた人が居たんだよ!?跳ねちゃった人の迷惑も考えてほしいよね!?〉

「そ、そうですね……」

 自分もやろうとしたなんて口が裂けても言えない。

〈で、君も異世界で勇者がしたいって人?〉

「いえ、できれば、冒険者みたいな事がしたいです」

〈うーん、じゃあもう既に勇者が居る所でいっか〉

「勇者って結構需要あるんですか?」

〈うん、あるよ!今勇者が必要な世界が三つだね、まぁ勇者を送ってもダメな時があるんだけどね?勇者の人間性的に………〉

「えー……」

〈まぁ、その時はよろしくね?〉

「えー……」

 どうか勇者がまともでありますように!!

〈じゃあ次はギフトだね〉

「ギフト貰えるんですか?」

〈うん、何も授けないで送ると直ぐにみんな死んじゃうからね、ギフトなんだけど残りの幸運値で決まるから〉

「幸運値?」

〈そう、要するにこれから得られる筈だった幸せかな〉

「へぇ~」

〈うーんと、うわぁ、何これ、結婚しないと幸せになれない設定になってるよ〉

「え?」

〈君、今まで幸せな出来事少なかったんじゃない?〉

 言われてみれば、彼女いない歴=年齢だし、大学は行っても三流、就職は出来たけど三年で倒産、それ以来派遣とバイトをふらふら、どちらかと言えば不幸に傾くかな?

〈本来であれば、一生を通して平均的に幸運と不運があるんだけど、君は幸運が結婚後に傾いているんだよ〉

「それって、大丈夫なんですか?」

〈いや、そもそもこの状態じゃあ結婚できないし、設定担当のミスかな?〉

 神様に担当とかあるんだ。

〈うーん、でも今はどうする事もできないし……〉

「あの、なら、ギフトをちょっとだけ良いものしてもらいたいなぁ、なんて?」

〈それでいいのかい?それなら出来るけど〉

「はい、お願いします!出来れば強いステータスと一人じゃあ不安なんで、強い使い魔か下部的な者が居ると助かります!」

〈ふむ、ふむ、それくらいならお安いご用だよ!〉

「ありがとうございます!神様!」

〈さて、では、良い異世界ライフを!!〉

 神様がそう言うと浮遊感が大きくなり、身体が薄れていく、いよいよ異世界に行くらしい、今度こそ人並みの幸せを手にして見せる。

こうして、俺の異世界物語が始まるのであった!
目指せ無双異世界ライフ!!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

ダンジョントランスポーター ~ 現代に現れたダンジョンに潜ったらレベル999の天使に憑依されて運び屋になってしまった

海道一人
ファンタジー
二十年前、地球の各地に突然異世界とつながるダンジョンが出現した。 ダンジョンから持って出られるのは無機物のみだったが、それらは地球上には存在しない人類の科学や技術を数世代進ませるほどのものばかりだった。 そして現在、一獲千金を求めた探索者が世界中でダンジョンに潜るようになっていて、彼らは自らを冒険者と呼称していた。 主人公、天城 翔琉《あまぎ かける》はよんどころない事情からお金を稼ぐためにダンジョンに潜ることを決意する。 ダンジョン探索を続ける中で翔琉は羽の生えた不思議な生き物に出会い、憑依されてしまう。 それはダンジョンの最深部九九九層からやってきたという天使で、憑依された事で翔は新たなジョブ《運び屋》を手に入れる。 ダンジョンで最強の力を持つ天使に憑依された翔琉は様々な事件に巻き込まれていくのだった。

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

スラム街の幼女、魔導書を拾う。

海夏世もみじ
ファンタジー
 スラム街でたくましく生きている六歳の幼女エシラはある日、貴族のゴミ捨て場で一冊の本を拾う。その本は一人たりとも契約できた者はいない伝説の魔導書だったが、彼女はなぜか契約できてしまう。  それからというもの、様々なトラブルに巻き込まれいくうちにみるみる強くなり、スラム街から世界へと羽ばたいて行く。  これは、その魔導書で人々の忘れ物を取り戻してゆき、決して忘れない、忘れられない〝忘れじの魔女〟として生きるための物語。

おばさんは、ひっそり暮らしたい

波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。 たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。 さて、生きるには働かなければならない。 「仕方がない、ご飯屋にするか」 栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。 「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」 意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。 騎士サイド追加しました。2023/05/23 番外編を不定期ですが始めました。

処理中です...