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国作ります
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さて、戦争回避の報酬で国を貰ったのだが、まずは貿易で輸出入する物を決めなければならない。
「よろしく勇者殿」
まずは領地受け渡しの無い魔王国との話し合い。
「改めてタクトだ、よろしく」
「魔王国元首エキドナよ、よろしくお願いするわ」
「エキドナ?」
エキドナって確かメデューサの親族じゃなかったかな?メロウはゴーゴン、何か関係があったりするのだろうか?
「我が国の王は襲名制で、魔王は古来よりエキドナを名乗っています」
俺の疑問にサナリが答える。
「へぇ、襲名制ね、誰がいつ作ったんだ?」
「そ、それは……」
サナリがちらりとメロウを見る。なるほど。
「なるほどね、とりあえずそれは置いといて、魔王国は何が出せる?」
「魔王国では、魔大陸にしか居ない魔物の素材、薬草、あとは魔石くらいか」
「魔石ってこんなやつか?」
俺は剣を取り出して見せる。
「ほぅ、これは……」
「珍しいですね、人族でこれ程の純度の魔石を持っているなんて」
二人が繁々と魔石を見ながら言う。
「純度?」
「ええ、魔石には純度が有り高いほど闇色が深くなるのよ」
「へー」
エキドナの話を聞きながら魔石を覗き込む、確かに黒と紫の綺麗な色をしている。
「この魔石をどこで?」
「ああ、実はな……」
魔石を手に入れた経緯、墓地での騒動と魔王教について説明。
「はぁ、迷惑な話ね、私一度も世界を滅ぼすなんて言って無いんだけど」
「そうですね、むしろ融和路線でずっと言ってきたはずなんですが」
エキドナとサナリが頭を抱える。
「魔王からしてみても魔王教は迷惑な存在なのな」
「当然よ」
「まぁ、そこら辺に関してはまた今度話そう、ひょっとしたら今回の和平で魔王教も鳴りを潜めるかもしれないしな」
その後、こちらからの輸出物、主に従者生の物質について話終わった。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「我が国は如何なる物も差し出します!」
開口一番そう宣言したのはエシリア王国テオドール国王。
「いや、如何なる物って、具体的にエシリア王国は何を生産しているんですか?」
「そうですなぁ、我が国では酪農や畜産が有名ですかな」
「ほぅ、酪農……」
「ええ、他の国の王達にも気に入られており、お土産に買って行くほどです、特に娘のアルメルが育てた牛は特別良い牛乳を出しまして、姫の乳として名が知られています」
姫の乳ってやばくないか?誰だよ命名したの。
「では、それらの輸出をお願いします、こちらからは……」
魔王国と同じように説明。エシリア王国も特に問題なしと。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「獣王国は国民こそ資産なのです!」
人身売買の突然の売り込み。
「えっと、国民を売るって事か?さすがにそれは……」
まぁ、お国柄喜んで来る獣人は多そうだが。特に女王が率先して来そう。
「違うので………その考えは無かったのです」
真面目な顔で言うテトラにドン引き。
「じゃあ、国民が資源って?」
「毛皮なのです!」
詳しく聞いてみると、ここで言う毛皮と言うのはあくまでも散髪した物らしい、例えば羊やヤギの刈った毛を利用して作る衣服など。
「なるほど、じゃあ別に取っても問題無いものなんだな?」
「はいなのです!むしろ必要の無い物なのです!」
良かった、元の世界での毛皮を獣人でやると悲惨な光景しか出来ないからな。
「じゃあ、あくまで自然にできた物をうちで輸入するといった形で頼む、無理矢理とか身を削ってとかは無しでな?」
「…………勿論なのです!」
「おい、なんだ今の間は?」
一抹の不安を残しつつ、獣王国との会議は滞りなく終わった。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「マーメティアからはぁ、お魚をお渡ししますぅ」
うーん、海洋国は大体予想どおりである。
「じゃあそれで、あと海藻や貝なんかもお願いします」
「はいぃ、観賞ようでいいですかぁ?」
「いや、できれば食用を頼む」
「食用?出汁に使うのですか?」
「そうだな、他にはスープの具にしたり、サラダにしたり」
「…………」
なぜか知らないがウェティアさんが絶句した。
「どうしました?」
「た、食べるのですかぁ?貝をぉ?」
「食べるけど?」
「海藻もぉ?」
「ああ、食べるよ?」
味噌汁の具際はあさりかワカメ派だ。
「あ、あり得ないですぅ」
聞けば人魚からしたら、人間視点で言うところの海藻は観賞用の生花、貝は真珠を作る苗床なのだそうだ、そりゃ食わないわな。
その後ある程度海藻や貝を使った料理を教え話し合いは終わった。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
次は帝国なのだが、大いに悩んでいた、それと言うのも。
「帝国の自慢は軍事製品なんだが、お前ら必要か?」
「いえ、全く要らないです」
剣や盾何かを大量に渡されても困る、何より。
「だよなぁ、お前の所の従者なら、うちの物より百倍良いもの作れるしな、なんだったらうちが貰いたい位だぜ」
これである、物作りに関してはクロノの右に出る者は居ない。
「タクト様、飛竜の素材を頂いてはどうでしょう?」
「おお、そりゃ良い!」
話によると、帝国は保有する膨大な飛竜の鱗の処分に困っていたそうだ。
「自国では使わないんですか?」
「そんなもんとっくに使ったよ、うちの兵士は全員鱗を使った装備さ」
なるほど、消費しきれないとな。
「わかりました、では飛竜素材を貰います」
「おう、よろしくな」
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
さて、最後は妖精国なんだが。
「…………」
「…………」
き、気まずい、入って来てから十分位こんな感じだぞ。
「えーっと……」
「………まずは謝罪を、これまでの無礼、お許し頂ければ幸いです」
喋り出したかと思うと、頭を下げるエルフの女王。
「はぁ、まぁ、構いませんが……」
何か変わった?
「改めまして、妖精国女王、エルフィでございます」
「あ、ああ、よろしく……」
握手を交わし、貿易の話へ。
「妖精国からは森の果実や薬草をお渡しします」
「そうだな、それで頼む」
特に問題なく貿易は締結された。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
タクトとエルフィの話し合いの後。
「どう言った風の吹き回しですかな?」
会議室を出たエルフィに、扉の影からクロノが問いかける。
「別に貴殿方に話す程の事ではありません、強いて言うのであれば、物の見方を変えただけです」
エルフィは影を見ることもせず、淡々と答えた。
「ふむ、まぁ良いでしょう、ただ、タクト様に危害を加えた場合、今後は容赦しませんので、お忘れなく」
「承知しています」
そのまま気配は消えた。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
会議が終わった後、会議室ではタクトが背伸びをしていた。
「あー、やっと終わった」
「お疲れ様ですタクト様」
メロウがお茶を出しながら労ってくれる。
「この後は如何しますか?」
「うーん、そうだなぁ、とりあえず貰った土地に家を作らなきゃなぁ」
各国からそれぞれ貰った土地は全て未開の地らしい、まずは住む所を確保しなければならない。
「畏まりました、では明日より移動で宜しいですかな?」
クロノが聞いて来たので頷く。
「そうだな、何だかんだ時間掛かったしな、明日から移動、で、開拓かな」
まだ見ぬ新天地に胸を踊らせ、その日は終わった。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
タクトが各国と貿易を締結した日の夜。
エリシア王国ファストの街冒険者ギルドでは。
「えっと、何かご用でしょうか?」
ギルド長メグミが客人を迎えていた。
「いえ、少々お願いがございまして」
「お願いですか?」
客人は一枚の紙を差し出した、それを見たメグミ。
「これは、移民の募集?」
「ええ、ギルドの掲示板に貼って頂けますか?」
「それは構いませんが、あの、これ変な魔力を感じるんですけど……」
「普通の方には影響はありませんので、お気になさらず」
「は、はぁ……」
何となく触れてはならないと思いメグミは口を継ぐんだ。
「それと、あの屋敷は自由にして宜しいですかな?」
「あ、はい、あれは差し上げたものなので大丈夫ですよ」
「それはありがたい、では遠慮なく」
客人は頭を下げると、すっと影に消えていった。
「急に現れたと思ったら、本当にお願いだけ?な、なんだろう何となく嫌な予感がするんだけど?」
渡された紙を見て、もう一度ため息が出たメグミだった。
「よろしく勇者殿」
まずは領地受け渡しの無い魔王国との話し合い。
「改めてタクトだ、よろしく」
「魔王国元首エキドナよ、よろしくお願いするわ」
「エキドナ?」
エキドナって確かメデューサの親族じゃなかったかな?メロウはゴーゴン、何か関係があったりするのだろうか?
「我が国の王は襲名制で、魔王は古来よりエキドナを名乗っています」
俺の疑問にサナリが答える。
「へぇ、襲名制ね、誰がいつ作ったんだ?」
「そ、それは……」
サナリがちらりとメロウを見る。なるほど。
「なるほどね、とりあえずそれは置いといて、魔王国は何が出せる?」
「魔王国では、魔大陸にしか居ない魔物の素材、薬草、あとは魔石くらいか」
「魔石ってこんなやつか?」
俺は剣を取り出して見せる。
「ほぅ、これは……」
「珍しいですね、人族でこれ程の純度の魔石を持っているなんて」
二人が繁々と魔石を見ながら言う。
「純度?」
「ええ、魔石には純度が有り高いほど闇色が深くなるのよ」
「へー」
エキドナの話を聞きながら魔石を覗き込む、確かに黒と紫の綺麗な色をしている。
「この魔石をどこで?」
「ああ、実はな……」
魔石を手に入れた経緯、墓地での騒動と魔王教について説明。
「はぁ、迷惑な話ね、私一度も世界を滅ぼすなんて言って無いんだけど」
「そうですね、むしろ融和路線でずっと言ってきたはずなんですが」
エキドナとサナリが頭を抱える。
「魔王からしてみても魔王教は迷惑な存在なのな」
「当然よ」
「まぁ、そこら辺に関してはまた今度話そう、ひょっとしたら今回の和平で魔王教も鳴りを潜めるかもしれないしな」
その後、こちらからの輸出物、主に従者生の物質について話終わった。
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「我が国は如何なる物も差し出します!」
開口一番そう宣言したのはエシリア王国テオドール国王。
「いや、如何なる物って、具体的にエシリア王国は何を生産しているんですか?」
「そうですなぁ、我が国では酪農や畜産が有名ですかな」
「ほぅ、酪農……」
「ええ、他の国の王達にも気に入られており、お土産に買って行くほどです、特に娘のアルメルが育てた牛は特別良い牛乳を出しまして、姫の乳として名が知られています」
姫の乳ってやばくないか?誰だよ命名したの。
「では、それらの輸出をお願いします、こちらからは……」
魔王国と同じように説明。エシリア王国も特に問題なしと。
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「獣王国は国民こそ資産なのです!」
人身売買の突然の売り込み。
「えっと、国民を売るって事か?さすがにそれは……」
まぁ、お国柄喜んで来る獣人は多そうだが。特に女王が率先して来そう。
「違うので………その考えは無かったのです」
真面目な顔で言うテトラにドン引き。
「じゃあ、国民が資源って?」
「毛皮なのです!」
詳しく聞いてみると、ここで言う毛皮と言うのはあくまでも散髪した物らしい、例えば羊やヤギの刈った毛を利用して作る衣服など。
「なるほど、じゃあ別に取っても問題無いものなんだな?」
「はいなのです!むしろ必要の無い物なのです!」
良かった、元の世界での毛皮を獣人でやると悲惨な光景しか出来ないからな。
「じゃあ、あくまで自然にできた物をうちで輸入するといった形で頼む、無理矢理とか身を削ってとかは無しでな?」
「…………勿論なのです!」
「おい、なんだ今の間は?」
一抹の不安を残しつつ、獣王国との会議は滞りなく終わった。
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「マーメティアからはぁ、お魚をお渡ししますぅ」
うーん、海洋国は大体予想どおりである。
「じゃあそれで、あと海藻や貝なんかもお願いします」
「はいぃ、観賞ようでいいですかぁ?」
「いや、できれば食用を頼む」
「食用?出汁に使うのですか?」
「そうだな、他にはスープの具にしたり、サラダにしたり」
「…………」
なぜか知らないがウェティアさんが絶句した。
「どうしました?」
「た、食べるのですかぁ?貝をぉ?」
「食べるけど?」
「海藻もぉ?」
「ああ、食べるよ?」
味噌汁の具際はあさりかワカメ派だ。
「あ、あり得ないですぅ」
聞けば人魚からしたら、人間視点で言うところの海藻は観賞用の生花、貝は真珠を作る苗床なのだそうだ、そりゃ食わないわな。
その後ある程度海藻や貝を使った料理を教え話し合いは終わった。
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次は帝国なのだが、大いに悩んでいた、それと言うのも。
「帝国の自慢は軍事製品なんだが、お前ら必要か?」
「いえ、全く要らないです」
剣や盾何かを大量に渡されても困る、何より。
「だよなぁ、お前の所の従者なら、うちの物より百倍良いもの作れるしな、なんだったらうちが貰いたい位だぜ」
これである、物作りに関してはクロノの右に出る者は居ない。
「タクト様、飛竜の素材を頂いてはどうでしょう?」
「おお、そりゃ良い!」
話によると、帝国は保有する膨大な飛竜の鱗の処分に困っていたそうだ。
「自国では使わないんですか?」
「そんなもんとっくに使ったよ、うちの兵士は全員鱗を使った装備さ」
なるほど、消費しきれないとな。
「わかりました、では飛竜素材を貰います」
「おう、よろしくな」
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さて、最後は妖精国なんだが。
「…………」
「…………」
き、気まずい、入って来てから十分位こんな感じだぞ。
「えーっと……」
「………まずは謝罪を、これまでの無礼、お許し頂ければ幸いです」
喋り出したかと思うと、頭を下げるエルフの女王。
「はぁ、まぁ、構いませんが……」
何か変わった?
「改めまして、妖精国女王、エルフィでございます」
「あ、ああ、よろしく……」
握手を交わし、貿易の話へ。
「妖精国からは森の果実や薬草をお渡しします」
「そうだな、それで頼む」
特に問題なく貿易は締結された。
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タクトとエルフィの話し合いの後。
「どう言った風の吹き回しですかな?」
会議室を出たエルフィに、扉の影からクロノが問いかける。
「別に貴殿方に話す程の事ではありません、強いて言うのであれば、物の見方を変えただけです」
エルフィは影を見ることもせず、淡々と答えた。
「ふむ、まぁ良いでしょう、ただ、タクト様に危害を加えた場合、今後は容赦しませんので、お忘れなく」
「承知しています」
そのまま気配は消えた。
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会議が終わった後、会議室ではタクトが背伸びをしていた。
「あー、やっと終わった」
「お疲れ様ですタクト様」
メロウがお茶を出しながら労ってくれる。
「この後は如何しますか?」
「うーん、そうだなぁ、とりあえず貰った土地に家を作らなきゃなぁ」
各国からそれぞれ貰った土地は全て未開の地らしい、まずは住む所を確保しなければならない。
「畏まりました、では明日より移動で宜しいですかな?」
クロノが聞いて来たので頷く。
「そうだな、何だかんだ時間掛かったしな、明日から移動、で、開拓かな」
まだ見ぬ新天地に胸を踊らせ、その日は終わった。
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タクトが各国と貿易を締結した日の夜。
エリシア王国ファストの街冒険者ギルドでは。
「えっと、何かご用でしょうか?」
ギルド長メグミが客人を迎えていた。
「いえ、少々お願いがございまして」
「お願いですか?」
客人は一枚の紙を差し出した、それを見たメグミ。
「これは、移民の募集?」
「ええ、ギルドの掲示板に貼って頂けますか?」
「それは構いませんが、あの、これ変な魔力を感じるんですけど……」
「普通の方には影響はありませんので、お気になさらず」
「は、はぁ……」
何となく触れてはならないと思いメグミは口を継ぐんだ。
「それと、あの屋敷は自由にして宜しいですかな?」
「あ、はい、あれは差し上げたものなので大丈夫ですよ」
「それはありがたい、では遠慮なく」
客人は頭を下げると、すっと影に消えていった。
「急に現れたと思ったら、本当にお願いだけ?な、なんだろう何となく嫌な予感がするんだけど?」
渡された紙を見て、もう一度ため息が出たメグミだった。
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