【完結】Imagine alive『新居武はヒーローになって異世界魔人との絆で7つの大罪から世界を救う』

すんも

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 武とイマジンが話し込んでいると武の部屋をノックする音がした。異魔人が「もう追手が来たか……」と言うと、ドアの向こうから「誰かいるの? 開けるわよ」と言って武の母がドアを開けた。武の母は部屋を確認すると「話し声がするから誰か居るのかと思ったわよ」と言った。武が「独り言だよ」と言うと、母は「もう遅いから早く寝なさいよ」と言って部屋を出て行った。

 武が小声で「追手じゃなくて母ちゃんで良かったね」と言うと、異魔人は「俺が居たら迷惑になる…… 追手が来る前にここを出て行かなければ」と言った。武が「出て行くってどうやって? 行く宛はあるの?」と聞いた。異魔人は「行く宛は無いが、お前のお陰で他の物に憑依出来るまでに回復したし動ける体を手に入れるさ」と言った。武が「行く宛が無いならここに居れば良いじゃん!」と言った時、窓の外が明るくなった。

 武が「何だこの光は!?」と窓を開けると目の眩(くら)む程の強い光りに武は視界を奪われた。その光りは一瞬で消え、武は「今のは何だったんだ?」と窓を閉め振り返ると、そこには変な服を着た人が3人立っていた。武が「誰だ! さっきのヤツの仲間か!?」と言うと、その中の1人が「私は宇宙警察ジャスティスの長官でカイルと申します、怪しい者ではありません」と言った。

 異魔人が「今度は間違い無く追手が来てしまった……」と言うと、武は「急に部屋に入って来て、怪しい者じゃないって言われても」と言った。カイルは「我々は貴方に危害を加えるつもりはありません、10年前に消えた魔法道具を探しています」と言った。武が「魔法道具なんて知りません!」と言うと、カイルの後ろの1人が変な機械を見て「その少年の胸の辺りから反応が!」と言った。

 武がロザリオを掴むと、カイルは「反応で貴方が魔法道具を持っている事は分かっています、魔法道具を出して頂けますか?」と言った。武が「このロザリオは父ちゃんの形見だ! それを俺から奪おうって言うのか!?」と言った。カイルは「それは星を焼き尽くす程危険な物なのです、渡して頂けないでしょうか?」と言った。武が「それは異魔人のせいじゃない!」と言うと、カイルは「どうしても渡して頂けないとなると、貴方にも来て頂く事に……」と言った。

 武が「警察は正義の味方じゃないのか! 宇宙警察ってのはそんな横暴で良いのか!?」と言った。すると本棚にフィギュアと一緒に飾られていた縫いぐるみが「もう良い! 俺はこっちだ!」と口を開いた。その場に居た全員は驚き声のした方へ振り向くと、そこにはアニメの中に出て来るパンクな格好をした兎の縫いぐるみが有った。

 またカイルの後ろで機械を持っていた者が「今度は反応がその縫いぐるみから!」と言った。異魔人は縫いぐるみの口を借りて「ロザリオは武の亡くなった父親の形見だ! 俺はこっちだ! だから勘弁してやってくれ!」と言った。カイルは「お前が魔法道具か!? 大人しく捕まるか?」と言った。異魔人が「ああ! だから武は……」と言うと、武は「嫌だ! 折角ヒーローになれたのに! また化け物が出たらどうすんだよ!」と言った。

 異魔人は「力を貸すのは今回だけだと言ったろ!」と武に言った。それから「俺はどうなる?」とカイルに聞いた。カイルは「とりあえず10年前の事件について裁判に掛けられる」と言った。異魔人は「武、俺はこいつらと一緒に行く、10年間お前と一緒に居られて良かったよ、お陰でヒーロー好きになっちまった」と言った。武は「異魔人は悪く無いんだから大丈夫だよね!? 釈放されたら戻って来てよ!」と言った。

 異魔人が「故意では無いにせよ、俺がした事に間違いは無いからな……」と言うと、武は泣きながら「もう会えないの?」と言った。異魔人は「恐らく…… 最後に武にお願いが有るんだが……」と言った。武が「お願いって?」と聞くと、異魔人は「魔空忍者隊兜(まくうにんじゃかぶと)のDVD貰えるか?」と言った。武は泣きながら笑顔で「しょうがないなぁ~ お気に入りだけどaliveにしてくれた御礼にあげるよ!」と言った。

 カイルが「それでは、そろそろ……」と言って兎の縫いぐるみを抱き上げると、武がカイルにDVDを渡した。武はそんなカイルの姿を見て「ぷっ」と笑った。カイルは「ゴホン」と咳払いをしてから「それでは……」と言うと、また窓の外が明るくなった。その光りが消えた時にはカイル達の姿も縫いぐるみも消えて居なくなっていた。
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