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第2章
94. 立ち直ります
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あの後、家の場所を決めるのは帝都が復興する前の方が良いということに話が纏まったから、お屋敷の中に戻って夕食の準備を始める私達。
エイブラム家の方々はもう夕食を済ませているみたいだから、厨房を借りて自分達で作っているのだけど……。
「流石は侯爵邸ね。広すぎて持て余してしまうわ」
「ここまで広いと返って不便だな。新しい家の参考にしよう」
エイブラム家の食事は複数の料理人さんによって作られているから、これだけ広い方が効率的なのだと思う。
でも、私とクラウスだけしか居ない今は、道具を取りに行くだけでも短くない距離を歩かないといけなくて、時間がかかってしまう。
「将来のために広いのは良いと思うけれど、置く場所は工夫したいわ」
「シエルはそこまで考えていたのか……。
確かに場所はあった方が後悔することは無いと思う」
「あとはお金の問題よね……」
「俺とシエルの貯金を使えば、ここの半分くらいの土地を買っても家を建てられるくらいのお釣りは来ると思うけど、買った後は貧乏生活になるかな」
お金の問題も乗り越えられそうだから、深刻に考えなくても良さそうだ。
私もクラウスも贅沢はしないから、今のように毎日依頼をこなしていれば新しく貯金することも出来ると思う。
「お金に困ったら、難しい依頼を達成すれば大丈夫なのよね?」
「すぐにお金が入るわけではないけど、一ヶ月分の生活費があれば大丈夫だと思うよ」
私達は武器を使わないで魔物を倒しているから、剣の修理費が払えなくて冒険者を続けられなくなるようなことも起こらない。
服が燃えてしまったら出費になるけれど、着心地を妥協すれば一日分の食費で足りるのよね。
「明日、土地を探しに行きましょう」
「そうだな。空いている土地があればいいが……」
「問題はそれよね……」
「空きが無かったら、対策を考えよう」
クラウスの言葉に頷きながら、切ってある野菜をフライパンに入れていく私。
前はすぐに焦がしてしまっていたから、クラウスは私から目を離せていなかったけれど、今は一人でも失敗しなくなったから手分けして作れるようになった。
今も私はグレーティア伯爵家の令嬢ということになるから、この光景は違和感が凄いと思う。
スイーツを作るのを趣味にしている貴族の女性は珍しくないけれど、普通の食事を作っている姿は見ることが出来ないのだから。
その証拠に、何も知らなかった様子の料理人さんが明日の仕込みをしに来た時、しばらく思考を止めてしまっている様子だった。
「あの……クラウス様とシエル様で合っていますか?」
「ええ、合っていますわ」
「お二人とも、ここで一体何を……」
「夕食がまだなので、作っていますの。
料理長さんの許可は頂いていますわ。後片付けも私達がしますから、安心してくださると嬉しいです」
スイーツ作りの後は片付けをしない人が殆どだけれど、私達は迷惑をかけないと言って借りているのだから、しっかり後片付けまですると決めている。
料理長さんは後片付けをしなくて良いと言ってくれたけれど、仕事を増やしてしまうのは申し訳ないのよね。
「それはとても助かります。
それにしても、お二人とも料理まで出来たのですか。本当に驚きました」
「自分達で作った方が、のんびり食べられて楽だから、冒険者をやっている時はいつもこうしているんだ」
「なるほど、そういう考え方もあるんですね。
では、私はそこで仕込みをしますので、邪魔でしたら声をかけて頂けると幸いです」
「分かりました。
私達が邪魔でしたら、言って下さると嬉しいですわ」
お話しの途中に止めていた手を再び動かし始める私。
そんな時、野菜が一部分だけ真っ黒になっているのを見つけてしまって、何とも言えない気持ちになってしまう。
「ごめんなさい。少し焦げてしまったわ」
「それくらいなら、取り除けば良いよ。他が焦げないように気を付けて」
「ええ、ありがとう」
少し失敗してしまったけれど、食べられない程ではないから、気持ちを切り替えて炒めるのを続ける。
それからしばらくして、クラウスが作っていたお米とサラダも完成したから、借りているお皿に盛りつけをしたら完成だ。
でも、使ったばかりのフライパンをそのままにしておくと洗うのが大変になってしまうから、食べる前に手早く洗う私。
クラウスも他の道具を洗ってから、揃ってダイニングテーブルの前に腰を下ろした。
「いただきます」
「いただきます」
それからは、普段と変わらない雰囲気の夕食を楽しむことが出来たから、家を失った悲しみからも立ち直れるような気がした。
エイブラム家の方々はもう夕食を済ませているみたいだから、厨房を借りて自分達で作っているのだけど……。
「流石は侯爵邸ね。広すぎて持て余してしまうわ」
「ここまで広いと返って不便だな。新しい家の参考にしよう」
エイブラム家の食事は複数の料理人さんによって作られているから、これだけ広い方が効率的なのだと思う。
でも、私とクラウスだけしか居ない今は、道具を取りに行くだけでも短くない距離を歩かないといけなくて、時間がかかってしまう。
「将来のために広いのは良いと思うけれど、置く場所は工夫したいわ」
「シエルはそこまで考えていたのか……。
確かに場所はあった方が後悔することは無いと思う」
「あとはお金の問題よね……」
「俺とシエルの貯金を使えば、ここの半分くらいの土地を買っても家を建てられるくらいのお釣りは来ると思うけど、買った後は貧乏生活になるかな」
お金の問題も乗り越えられそうだから、深刻に考えなくても良さそうだ。
私もクラウスも贅沢はしないから、今のように毎日依頼をこなしていれば新しく貯金することも出来ると思う。
「お金に困ったら、難しい依頼を達成すれば大丈夫なのよね?」
「すぐにお金が入るわけではないけど、一ヶ月分の生活費があれば大丈夫だと思うよ」
私達は武器を使わないで魔物を倒しているから、剣の修理費が払えなくて冒険者を続けられなくなるようなことも起こらない。
服が燃えてしまったら出費になるけれど、着心地を妥協すれば一日分の食費で足りるのよね。
「明日、土地を探しに行きましょう」
「そうだな。空いている土地があればいいが……」
「問題はそれよね……」
「空きが無かったら、対策を考えよう」
クラウスの言葉に頷きながら、切ってある野菜をフライパンに入れていく私。
前はすぐに焦がしてしまっていたから、クラウスは私から目を離せていなかったけれど、今は一人でも失敗しなくなったから手分けして作れるようになった。
今も私はグレーティア伯爵家の令嬢ということになるから、この光景は違和感が凄いと思う。
スイーツを作るのを趣味にしている貴族の女性は珍しくないけれど、普通の食事を作っている姿は見ることが出来ないのだから。
その証拠に、何も知らなかった様子の料理人さんが明日の仕込みをしに来た時、しばらく思考を止めてしまっている様子だった。
「あの……クラウス様とシエル様で合っていますか?」
「ええ、合っていますわ」
「お二人とも、ここで一体何を……」
「夕食がまだなので、作っていますの。
料理長さんの許可は頂いていますわ。後片付けも私達がしますから、安心してくださると嬉しいです」
スイーツ作りの後は片付けをしない人が殆どだけれど、私達は迷惑をかけないと言って借りているのだから、しっかり後片付けまですると決めている。
料理長さんは後片付けをしなくて良いと言ってくれたけれど、仕事を増やしてしまうのは申し訳ないのよね。
「それはとても助かります。
それにしても、お二人とも料理まで出来たのですか。本当に驚きました」
「自分達で作った方が、のんびり食べられて楽だから、冒険者をやっている時はいつもこうしているんだ」
「なるほど、そういう考え方もあるんですね。
では、私はそこで仕込みをしますので、邪魔でしたら声をかけて頂けると幸いです」
「分かりました。
私達が邪魔でしたら、言って下さると嬉しいですわ」
お話しの途中に止めていた手を再び動かし始める私。
そんな時、野菜が一部分だけ真っ黒になっているのを見つけてしまって、何とも言えない気持ちになってしまう。
「ごめんなさい。少し焦げてしまったわ」
「それくらいなら、取り除けば良いよ。他が焦げないように気を付けて」
「ええ、ありがとう」
少し失敗してしまったけれど、食べられない程ではないから、気持ちを切り替えて炒めるのを続ける。
それからしばらくして、クラウスが作っていたお米とサラダも完成したから、借りているお皿に盛りつけをしたら完成だ。
でも、使ったばかりのフライパンをそのままにしておくと洗うのが大変になってしまうから、食べる前に手早く洗う私。
クラウスも他の道具を洗ってから、揃ってダイニングテーブルの前に腰を下ろした。
「いただきます」
「いただきます」
それからは、普段と変わらない雰囲気の夕食を楽しむことが出来たから、家を失った悲しみからも立ち直れるような気がした。
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