【完結】こちらダンジョン前雑貨店〜お客様は神様、勇者様、魔王様〜

はれはる

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第二章〜勇者と魔王

彼の名は

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おはようございます。

今日も現実世界のテレビは朝から謎の失踪事件のニュースを流していた。最近この手の事件が急に増えたな。まったく物騒な世の中だ。

しかし異世界と違ってここは日本。法治国家だ。下手に暴力沙汰になればこっちが犯罪者になってしまう。それに何か手掛かりがあるわけでもないからな。
それに警察の捜査能力で解決できない事件にただ腕力があるだけの素人が参加しても迷惑なだけだろ。

俺は日曜朝に現れるヒーローじゃない。

現実世界では自分ができることをやるだけだ。
異世界のドロップ品で稼いだお金があれば仕事なんてしなくてもいいんじゃないかと言われそうだが、働くことをやめてしまうと堕落した生活を送りそうで怖い。
しかもただでさえ人間関係の希薄な俺。社会人をやめてしまったら孤独へまっしぐらだ。
まぁ職場の人間関係が充実しているかといえば全然そんなことはないんだが、掃除のおばちゃんと世間話をする楽しみが無くなるのはいやだ。
俺が今の職場に就職した時から気にかけてくれているおばちゃんは俺の癒しだ。

今日も一日お疲れ様です。

帰宅途中に元エルフの女王が営む質屋へ向かう。

「おや?いらっしゃい。」

「ちょっと修行の成果を見せたくてね」

俺はガルヴォルンを解放し両腕に纏わせた姿を見せる。

「いい装備ね。その子もあなたと同じね。戦いを経て成長している」

そうだ。以前勇者から聞いた言葉。


『モンスターを倒すと強くなるのか?』


女王様に尋ねに来たのだ。

「ふむ。モンんスターを倒したら強くなれるかだな?それは否だな。確かに戦闘経験の積み重ねや技術の向上といった点では強くなるのは間違いない。しかし経験値をため、レベルアップしステータスが向上するなんてあり得ると思うか?あくまでそれはゲームの世界だ。それはお主が異世界に転移する際に『神』に授けられたギフトだろう」

「神様ってのは何でそんなものくれたんだ?」

「この世界の人間は弱い。恐らくすぐに死んでもらっては困るという理由で授けたのだろう。神が向こうの世界でお主に何をさせたがっているかは知らぬが」

おそらく俺はまだ勇者や魔王には遠く及ばない。もっと強くならなければ。

その後しばらく店内を物色する。相変わらず怪しい商品ばかり置いてるな…。
そしてある物の前で立ち止まる。少なくともこの店にはあまり似合わないもので異質な雰囲気を放つソレをつい手にとってしまう。


「ほう…良いものに目をつけるね。ソレは私も気に入っててね。君になら売ってあげてもいいよ」


俺は普段なら絶対買わないだろうソレを何故か購入していた。


遅くなってしまったな。
相棒の赤いクロスバイクに跨り走り出す。




何で…ちょっといつもと違う道を通っただけなのに
何でこんな目に…
私の目の前にいるのは何?
赤黒い肌、鋭い爪、禍々しい牙、そして頭には2本の角


そこにいたのは『鬼』だ


その鬼はこれから私を殺そうと近づいてくる
いや…私を喰らおうとしている


やめて…それ以上来ないで!


「いやぁぁぁぁっ!!」


誰か助けて!



「待てぇぇぇ!」

私と鬼の間に赤いクロスバイクが滑り込む。

「大丈夫ですか?」

逞しい背中。
優しい声。
そして長くて赤い鼻……彼は天狗のお面を被っていた

「あ、あの」

「大丈夫か?私の名前はお面ライダー!ここは俺に任せて逃げるんだ!」

「え?仮面「お面ライダーだ!」」

「お面パーンチ!」

彼はダサい技名を叫び鬼を殴る。
すると鬼は冗談のように吹き飛び地面を転がる。

「いくぞ!必殺!お面キーーック!!」

お面ライダーは5メートルほど飛び上がり、電柱を蹴り鬼に向かって飛びかかる。

嘘のような威力で鬼は弾け飛び砂のように散っていく。

きっとこれは夢に違いない……私の意識はそこで消えていた



「大丈夫ですか!?」

気がつくと私は交番の前に倒れていたらしく、そこのお巡りさんに介抱されていた。

「痛っ!」

私の手には転んだ時の擦り傷があった…お面ライダー…彼は一体…




「どうした?何か忘れ物か?」

「なあ女王様!なんか街中にモンスターがいたんだが!?」

俺は鬼を倒した時にドロップした角を渡す。

「これはオーガのドロップ品。正直私にもわからん。今までこちらの世界にモンスターが転移することなんてなかったからの。しかし現に私たちがこちらに来れていることを考えるとモンスターが何かの拍子でこちらの世界に転移する可能性はゼロではない」

確かに…そもそも俺が異世界とこっちの世界を行き来できている理由も原理もわかっていないんだった。何が起きても不思議じゃないよな。

とりあえず店の異世界っメンバーにも聞いてみよう。



俺は天狗のお面を手に取りソレを眺めながら考えた。


出来ればもうちょいかっこいいお面が良かったな…
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