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一年生
我がクラス
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「今日から六年間お前たちの担任をするジョージ・ロウガルドだ。よろしくな」
先生が教卓から私たちを見る。
入学式が終わったあと、私たちは六年を過ごす教室に移動した。
私の席は一番後ろの左端。机は階段みたいに段々と高くなっている。
教室の天井も高く、丸く優しい光を放つ物体が弧を描くようにずらりと並んでいた。
生徒の人数分浮いているらしく、それぞれ一個持ち歩くことが可能らしい。夜トイレに行きたくなったら使おう。
修学旅行などにも使われるらしく、私はそのときを楽しみにした。
「アダムス・モア」と言えば球体がこちらに来るらしく、暗がりで見にくかったりすれば呼んでもいいとのこと。最初に呼んでみたが、とてもモチモチしていた。自分より大きくしたり、手のひらサイズまで小さくすることもできると伝えられてちょっとワクワクした。
隣の席の子はまだ来ていないけど、どんな子なんだろう。
私のクラスには、平民なんて全然いなかった。
学校で見たら平民は三分の一ぐらいだから全体で見ても貴族の方が多いからだろう。
周りには貴族と思われる子ばかりで、動きにくそうなフリフリのドレス、絶対かかと痛いでしょって思うくらいの高いヒール(舞踏会かな?)。十二歳でばっちりのメイク。ある意味尊敬した。
栗毛もそのまま下ろして持て余していた私より、めっちゃ輝いていたと思う。
さすがに私も髪の毛は梳かすし、身だしなみだって整える。でもやはり美容という概念ではあちらの方が強かった。
「それじゃあまず自己紹介からしようか。全員揃ってるか?」
「先生!まだ王子が来ていません」
「フィン様もいらっしゃらないわ」
まだ何人か来ていないらしい(多分みんな貴族)。
私の隣の席の子もまだなので、その中の誰かだろう。
早く来ないかなー。
ウズウズしていると前の方の扉がガラッと音を立てて開いた。
「すみません、先生。少し遅れました」
「準備が手間取ってしまって」
そんなことを言いながら五人ほどの男子が教室に入ってきた。みんなが上質そうな衣服を身にまとっているので、彼らは貴族だ。
あ、さっきのガイル王子もいる。
その隣には金髪男子がいた。
「始まったばかりだから安心しろ。五人とも早く席に着け」
はい。と返事をしながら貴族たちが散り散りに移動する。
王子と金髪男子はこっち方面に歩いてきて、机を通るたびにご令嬢たちが頬を赤くして見つめ続けていた。
ははーん。これはなかなかモテているな。
すると金髪の子が私の横に来る。
「はじめまして、フィン・ロゼです。よろしく」
にこりと砂糖菓子のような甘いほほ笑みを浮かべる男の子。
「よろしくお願いします」
こちらも笑顔で軽く頭を下げた。
「うん」
男の子が席に座る。
私は急に体中に悪寒が走った。
(お母さん・・・・・・?私何か忘れ物でもした・・・・・・?)
いやそれはオカンだろ。
十人に聞かせたら十人がぶっ倒れそうだオヤジギャグを心の中でかましつつ、本当の悪寒の理由に気づく。
貴族の女の子の目が、ギンっと音がするぐらい鋭く光ったのだ。
なんか呪詛とか込められていそうで怖い。
「よーし。今度こそ全員揃ったな」
先生が名簿帳をパタンと閉じた。
先生が教卓から私たちを見る。
入学式が終わったあと、私たちは六年を過ごす教室に移動した。
私の席は一番後ろの左端。机は階段みたいに段々と高くなっている。
教室の天井も高く、丸く優しい光を放つ物体が弧を描くようにずらりと並んでいた。
生徒の人数分浮いているらしく、それぞれ一個持ち歩くことが可能らしい。夜トイレに行きたくなったら使おう。
修学旅行などにも使われるらしく、私はそのときを楽しみにした。
「アダムス・モア」と言えば球体がこちらに来るらしく、暗がりで見にくかったりすれば呼んでもいいとのこと。最初に呼んでみたが、とてもモチモチしていた。自分より大きくしたり、手のひらサイズまで小さくすることもできると伝えられてちょっとワクワクした。
隣の席の子はまだ来ていないけど、どんな子なんだろう。
私のクラスには、平民なんて全然いなかった。
学校で見たら平民は三分の一ぐらいだから全体で見ても貴族の方が多いからだろう。
周りには貴族と思われる子ばかりで、動きにくそうなフリフリのドレス、絶対かかと痛いでしょって思うくらいの高いヒール(舞踏会かな?)。十二歳でばっちりのメイク。ある意味尊敬した。
栗毛もそのまま下ろして持て余していた私より、めっちゃ輝いていたと思う。
さすがに私も髪の毛は梳かすし、身だしなみだって整える。でもやはり美容という概念ではあちらの方が強かった。
「それじゃあまず自己紹介からしようか。全員揃ってるか?」
「先生!まだ王子が来ていません」
「フィン様もいらっしゃらないわ」
まだ何人か来ていないらしい(多分みんな貴族)。
私の隣の席の子もまだなので、その中の誰かだろう。
早く来ないかなー。
ウズウズしていると前の方の扉がガラッと音を立てて開いた。
「すみません、先生。少し遅れました」
「準備が手間取ってしまって」
そんなことを言いながら五人ほどの男子が教室に入ってきた。みんなが上質そうな衣服を身にまとっているので、彼らは貴族だ。
あ、さっきのガイル王子もいる。
その隣には金髪男子がいた。
「始まったばかりだから安心しろ。五人とも早く席に着け」
はい。と返事をしながら貴族たちが散り散りに移動する。
王子と金髪男子はこっち方面に歩いてきて、机を通るたびにご令嬢たちが頬を赤くして見つめ続けていた。
ははーん。これはなかなかモテているな。
すると金髪の子が私の横に来る。
「はじめまして、フィン・ロゼです。よろしく」
にこりと砂糖菓子のような甘いほほ笑みを浮かべる男の子。
「よろしくお願いします」
こちらも笑顔で軽く頭を下げた。
「うん」
男の子が席に座る。
私は急に体中に悪寒が走った。
(お母さん・・・・・・?私何か忘れ物でもした・・・・・・?)
いやそれはオカンだろ。
十人に聞かせたら十人がぶっ倒れそうだオヤジギャグを心の中でかましつつ、本当の悪寒の理由に気づく。
貴族の女の子の目が、ギンっと音がするぐらい鋭く光ったのだ。
なんか呪詛とか込められていそうで怖い。
「よーし。今度こそ全員揃ったな」
先生が名簿帳をパタンと閉じた。
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