7 / 31
第六話 森の探索
しおりを挟む
くまごろうをベッドに寝かせ、リュックを背負い、杖を持って、今度こそ出発です!
今日は森の探索をします。小さい頃から今までずっと森で遊んだり修行したりしてきたので、森はわたしの庭のようなものでっ!?
ぐっと右足の爪先が何かに引っかかったと思うと、地面が急接近!
とっさに杖を放り出して両手が前に出たので、なんとか衝撃を緩和できました。すりむいてしまったのでしょうか、手のひらがひりひりします。
……、こほん。自分の庭でだって、たまには転ぶこともありますよね?
気を取り直して、探索に向かいましょう。まずはこの森のあちこちに生えている薬草から集めます。わたしの膝くらいの背丈の薬草についている緑の葉っぱを、先生がくれたナイフで、葉っぱの部分を丁寧に切り採ります。葉っぱだけ採ることで、残った葉軸からまた葉っぱが生えてくるのです。黙々と作業をこなし、小袋一つ分集めました。
次に、池の近くに来ました。ここにしかない木の実を集めるためです。木の上の方になっているので、飛ばないと届きません。杖に跨って両手で杖を握り、飛ぶことだけに意識を集中させます。
飛べ……、飛べ……。
ふわっと体が浮き上がりました。成功です! 木の実のなっている高さまで上昇して……。
あれっ? 止まりません。目的の高さを超えてもなお、上昇し続けています。このままでは、枝にぶつかってしまいます。
「止まって、止まってぇーーー!」
思わず叫んでしまいましたが、帽子が枝に触れたところでギリギリ止まることができました。慎重に、慎重に、方向転換して、木の実のところへ……。
あっ! 木に当たってずれてしまっていた帽子が風に飛ばされ、池の真ん中へ落ちてしまいました。
そのとき、小さな白い小鳥が落下した帽子に向かって飛んでいきました。そしてその小鳥は、帽子をクチバシでつつき、池の淵まで押して運んでくれました。
わたしが帽子を拾うと、小鳥は空中をくるっと一周、輪っかを描くように飛んだあと、木の枝に留まりました。わたしも鳥のように自由自在に飛び回れるようになりたいなあ。
再び杖に跨り、慎重に飛行して、木の実に手が届くところまでたどり着きました。わたしは、青くてかたい殻に包まれているビー玉ほどの大きさの木の実を、一つひとつ摘み取っていきます。
バランスをとりながら摘み取るのは大変でしたが、どうにか収集を終えました。
最後に、とっても酸っぱい木の実、タンガーを採るために森の南へと向かいます。移動の間は、飛ぶ練習も兼ねて、杖で飛んでいきました。前方向に移動するのはできるのですが、左右への方向転換や上昇・下降は難しくて、なかなか思うようにいきません。
ふらふらと危なっかしく飛行しているうちに、タンガーの群生地へとたどり着きました。タンガーは、とっても甘い香りを放っています。味はとっても酸っぱいのに、不思議です。
わたしはぎこちなく上昇し、オレンジの果実を一つ採りました。
これで森で採れるものは全部集まりました。今日の仕事はお終いです。
家に帰ろうと杖に跨った時のことです。遠くから、男の人たちの話し声が聞こえます。わたしは声のする方に向かいました。すると、茂みの隙間から銀の鎧をまとった兵隊さんが二人、話をしているのが見えました。
「おい、そっちはどうだった?」
「いえ、こっちにもありませんでした」
どうやら、何かを探しているようです。困っているなら私もお手伝いしましょう。
……でも、知らない大人の人とお話しするのは、なんだか緊張してしまいます。
こんな時は勇気が出るおまじないです。左手に星を描いて、ごくんっと飲み込みます。
「よーし!」
手をぎゅっと握って立ち上がり、茂みから出ます。
「……あのー……」
……。
そこには誰もいませんでした。どうやらわたしがもたもたしている間に、兵隊さんたちはどこかに行ってしまったようです。
……、次はがんばろー!
今日は森の探索をします。小さい頃から今までずっと森で遊んだり修行したりしてきたので、森はわたしの庭のようなものでっ!?
ぐっと右足の爪先が何かに引っかかったと思うと、地面が急接近!
とっさに杖を放り出して両手が前に出たので、なんとか衝撃を緩和できました。すりむいてしまったのでしょうか、手のひらがひりひりします。
……、こほん。自分の庭でだって、たまには転ぶこともありますよね?
気を取り直して、探索に向かいましょう。まずはこの森のあちこちに生えている薬草から集めます。わたしの膝くらいの背丈の薬草についている緑の葉っぱを、先生がくれたナイフで、葉っぱの部分を丁寧に切り採ります。葉っぱだけ採ることで、残った葉軸からまた葉っぱが生えてくるのです。黙々と作業をこなし、小袋一つ分集めました。
次に、池の近くに来ました。ここにしかない木の実を集めるためです。木の上の方になっているので、飛ばないと届きません。杖に跨って両手で杖を握り、飛ぶことだけに意識を集中させます。
飛べ……、飛べ……。
ふわっと体が浮き上がりました。成功です! 木の実のなっている高さまで上昇して……。
あれっ? 止まりません。目的の高さを超えてもなお、上昇し続けています。このままでは、枝にぶつかってしまいます。
「止まって、止まってぇーーー!」
思わず叫んでしまいましたが、帽子が枝に触れたところでギリギリ止まることができました。慎重に、慎重に、方向転換して、木の実のところへ……。
あっ! 木に当たってずれてしまっていた帽子が風に飛ばされ、池の真ん中へ落ちてしまいました。
そのとき、小さな白い小鳥が落下した帽子に向かって飛んでいきました。そしてその小鳥は、帽子をクチバシでつつき、池の淵まで押して運んでくれました。
わたしが帽子を拾うと、小鳥は空中をくるっと一周、輪っかを描くように飛んだあと、木の枝に留まりました。わたしも鳥のように自由自在に飛び回れるようになりたいなあ。
再び杖に跨り、慎重に飛行して、木の実に手が届くところまでたどり着きました。わたしは、青くてかたい殻に包まれているビー玉ほどの大きさの木の実を、一つひとつ摘み取っていきます。
バランスをとりながら摘み取るのは大変でしたが、どうにか収集を終えました。
最後に、とっても酸っぱい木の実、タンガーを採るために森の南へと向かいます。移動の間は、飛ぶ練習も兼ねて、杖で飛んでいきました。前方向に移動するのはできるのですが、左右への方向転換や上昇・下降は難しくて、なかなか思うようにいきません。
ふらふらと危なっかしく飛行しているうちに、タンガーの群生地へとたどり着きました。タンガーは、とっても甘い香りを放っています。味はとっても酸っぱいのに、不思議です。
わたしはぎこちなく上昇し、オレンジの果実を一つ採りました。
これで森で採れるものは全部集まりました。今日の仕事はお終いです。
家に帰ろうと杖に跨った時のことです。遠くから、男の人たちの話し声が聞こえます。わたしは声のする方に向かいました。すると、茂みの隙間から銀の鎧をまとった兵隊さんが二人、話をしているのが見えました。
「おい、そっちはどうだった?」
「いえ、こっちにもありませんでした」
どうやら、何かを探しているようです。困っているなら私もお手伝いしましょう。
……でも、知らない大人の人とお話しするのは、なんだか緊張してしまいます。
こんな時は勇気が出るおまじないです。左手に星を描いて、ごくんっと飲み込みます。
「よーし!」
手をぎゅっと握って立ち上がり、茂みから出ます。
「……あのー……」
……。
そこには誰もいませんでした。どうやらわたしがもたもたしている間に、兵隊さんたちはどこかに行ってしまったようです。
……、次はがんばろー!
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
8
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる