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第十ニ話 ポタージュ
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「夕食の用意、できました!」
体を拭き終わってから少しして、ミルファが部屋に戻ってきた。オレンジのエプロンを付けて、ロールパンとポタージュを乗せたお盆を持っている。
「お疲れさま、ミルファ」
リースさんが労いの言葉を掛けると、ミルファはえへへと表情を緩ませた。
そしてミルファは僕の隣のイスに腰を下ろし、淡い黄色のポタージュをスプーンですくってふぅふぅと息を吹きかけた。
「ツバサさん、あーん」
そう言ってスプーンを僕の口元に運ぶミルファ。年下の女の子にあーんしてもらうというのは、なんとも気恥ずかしいが、十年以上動かしていなかった鉛のように重たい腕で食事をするのは難しそうなので、
「それじゃあ、えっと……いただきます」
と言って口を開けた。そこに温かいポタージュが流し込まれる。トロっとした口当たりのポタージュの所々に小さなジャガイモの食感。丁度良い塩の味付け。
「おいしい!」
僕のコメントを聞いたミルファの表情がぱあっと明るくなった。
「お口に合ってよかったです!」
そう言うとまたスプーンでポタージュを掬い、ふーふーしはじめる。そんなミルファを隣で見つめるリースさんは、いつものクールな表情や、穏やかな微笑みとは違う、デレっとにやけた少しだらしない顔をしていた。
体を拭き終わってから少しして、ミルファが部屋に戻ってきた。オレンジのエプロンを付けて、ロールパンとポタージュを乗せたお盆を持っている。
「お疲れさま、ミルファ」
リースさんが労いの言葉を掛けると、ミルファはえへへと表情を緩ませた。
そしてミルファは僕の隣のイスに腰を下ろし、淡い黄色のポタージュをスプーンですくってふぅふぅと息を吹きかけた。
「ツバサさん、あーん」
そう言ってスプーンを僕の口元に運ぶミルファ。年下の女の子にあーんしてもらうというのは、なんとも気恥ずかしいが、十年以上動かしていなかった鉛のように重たい腕で食事をするのは難しそうなので、
「それじゃあ、えっと……いただきます」
と言って口を開けた。そこに温かいポタージュが流し込まれる。トロっとした口当たりのポタージュの所々に小さなジャガイモの食感。丁度良い塩の味付け。
「おいしい!」
僕のコメントを聞いたミルファの表情がぱあっと明るくなった。
「お口に合ってよかったです!」
そう言うとまたスプーンでポタージュを掬い、ふーふーしはじめる。そんなミルファを隣で見つめるリースさんは、いつものクールな表情や、穏やかな微笑みとは違う、デレっとにやけた少しだらしない顔をしていた。
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