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羽田は商店街の中にある床屋の前で立ち止まった。赤青白のサインポールがクルクルと回っている。
「何?急に」
夏生の問いには答えず羽田は店の扉を開けて中に入った。
「あれ!雄星じゃん」
出迎えたのはがっしりした体格の青年で、はにかむような笑顔を見せた。
雄星というのは羽田の名前だ。
「健吾久しぶり、元気そうだな。あ、こっちはウチの新人の広瀬」
「ども⋯、って、おい!お前も新人だろうが」
夏生は健吾に会釈をして羽田を肘で小突いた。キャッと逃げる羽田を見て健吾は目を見開いた。
「なんだ?雄星がはしゃいでるとか珍しい」
羽田の同級生だという健吾は床を掃き終えると二人を奥へと招いた。
「いや、再開発の事でウチの親父も頭かかえてるよ。床屋は場所移ったら客ついてこんし」
「やっぱ揉めてるんだな」
羽田が頷く。
「ああ、うちの場合新しい複合施設に優先的に入れてくれるって案と、他の土地になるけど市内の立地のいい所を都合してくれるって案があって」
「それはどっちも同じ会社が提案してるってこと?」
夏生が聞くと健吾は首を振った。
「いや、別だよ。土地を用意してくれるのは蘭月の方。親父は絶対路面店が良いから蘭月にするって言ってんだけど⋯他のとこの店はみんな出される案がバラバラで双葉が良いつったり蘭月が良いつったり、まとまらねぇんだ」
「協力してる地主か不動産屋がいるんだろうな」
「ここらで不動産握ってるつったら兼六開発だろ」
え?
聞き覚えのある社名だ。
というか、今夏生が住んでいるマンションはその会社で契約している。
つまり「硝子」のオーナー、松田の会社ということだ。
松田に話を聞かなくては。
「は、羽田、帰ろう!」
「「え?」」
「急に悪い、用事があったの思い出した!健吾くん、ごめん、話聞かせてくれてありがとな!」
健吾は目をパチパチさせて「お、おう、また来いよ」と言った。
来た時とは逆で今度は夏生が羽田の腕を掴んで理髪店を後にした。
「何?急に」
夏生の問いには答えず羽田は店の扉を開けて中に入った。
「あれ!雄星じゃん」
出迎えたのはがっしりした体格の青年で、はにかむような笑顔を見せた。
雄星というのは羽田の名前だ。
「健吾久しぶり、元気そうだな。あ、こっちはウチの新人の広瀬」
「ども⋯、って、おい!お前も新人だろうが」
夏生は健吾に会釈をして羽田を肘で小突いた。キャッと逃げる羽田を見て健吾は目を見開いた。
「なんだ?雄星がはしゃいでるとか珍しい」
羽田の同級生だという健吾は床を掃き終えると二人を奥へと招いた。
「いや、再開発の事でウチの親父も頭かかえてるよ。床屋は場所移ったら客ついてこんし」
「やっぱ揉めてるんだな」
羽田が頷く。
「ああ、うちの場合新しい複合施設に優先的に入れてくれるって案と、他の土地になるけど市内の立地のいい所を都合してくれるって案があって」
「それはどっちも同じ会社が提案してるってこと?」
夏生が聞くと健吾は首を振った。
「いや、別だよ。土地を用意してくれるのは蘭月の方。親父は絶対路面店が良いから蘭月にするって言ってんだけど⋯他のとこの店はみんな出される案がバラバラで双葉が良いつったり蘭月が良いつったり、まとまらねぇんだ」
「協力してる地主か不動産屋がいるんだろうな」
「ここらで不動産握ってるつったら兼六開発だろ」
え?
聞き覚えのある社名だ。
というか、今夏生が住んでいるマンションはその会社で契約している。
つまり「硝子」のオーナー、松田の会社ということだ。
松田に話を聞かなくては。
「は、羽田、帰ろう!」
「「え?」」
「急に悪い、用事があったの思い出した!健吾くん、ごめん、話聞かせてくれてありがとな!」
健吾は目をパチパチさせて「お、おう、また来いよ」と言った。
来た時とは逆で今度は夏生が羽田の腕を掴んで理髪店を後にした。
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